流体力学A

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 流体力学A
科目番号 0173 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 水力学第2版 森北出版 
担当教員 永弘 進一郎

到達目標

流体力学の基本を学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
圧力計の計算ができる教員の助言がなくてもできる教員の助言があればできる教員の助言があってもできない
ベルヌーイの定理をつかった計算が出来る教員の助言がなくてもできる教員の助言があればできる教員の助言があってもできない
運動量の保存則から、流体力を推定できる教員の助言がなくてもできる教員の助言があればできる教員の助言があってもできない

学科の到達目標項目との関係

学科到達目標 1  機械工学に関する確かな基礎力を備えること。
学校教育目標 2 創造的で高度な実践的技術者の養成
JABEE 設計・企画・デザインする能力 D1 専門分野に関する工業技術を理解し、応用する能力

教育方法等

概要:
流体の基本的な性質を学んだあと、流体の運動方程式であるオイラーの方程式と、エネルギー保存を表すベルヌーイの定理の2つを主要な手段として、工学的に重要な主な二つの問題をあつかう。一つは、物体が流れから受ける力を求めること。もう一つは、管を流れる流体が受ける摩擦抵抗を求めること、である。前者の解説に際して、流体版の運動量の保存則と翼の理論も扱う。また後者については、乱流の理論を少々扱う。また、この授業では粘性流体の従うNavier-Stokes方程式までは到達しない。また、potential flowの理論や2次元非圧縮流体の複素関数論も基本的かつ重要であるが、この授業では扱わない。
授業の進め方・方法:
講義による解説のあと、演習問題を解く時間をなるべく多く取る。また授業で関連する話題について、デモ実験を行う。デモ実験の種類は前期5回、後期5回ほどであるが、さらに充実させていく予定である。
注意点:
この授業を受けて内容が理解できないとしたら、それは永弘の説明が下手なせいもあるかも知れないが、多くの場合は流体力学がそれほど簡単な学問ではないためである。高専の4学年より上で行われる講義は授業のみで理解できる者はごく少数であり、本当の理解のためでは、落ち着いた状態で自分の頭をつかいじっくり悩む時間が必要である。質問はいつでも歓迎するので、積極的に教官室まで足を運んでほしい。ただし「テストは何がでるのですか?」という質問は受け付けない。毎回の授業前までに、授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。毎回の授業後には、指定された演習問題を行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 授業の進め方など
2週 流体の基本的な性質ー流体を特徴付ける物理量、示量変数と示強変数とはなにか? 力と圧力の復習。密度ρで表現された理想気体の状態方程式を理解する。
3週 流体の基本的な性質ー体積をかえると圧力はどう変化するか 気体の等温変化と断熱変化を理解する。ポアソンの関係式を理解し、演習問題を解く。
4週 一様重力下で静止した流体の圧力はどう変化しているか 深さと圧力の関係、圧力差による浮力の発生を理解する。大気の圧力変化と地球の大気の厚さについての演習問題。
5週 圧力計 ー 圧力は"差"しか計れない 圧力の測定方法としてU字管と逆U字管。ゲージ圧と絶対圧。PaやmmHg,atm, mmAqを再復習。
6週 演習の時間 これまでの演習
7週 ベルヌーイの定理へ向けて、幾つかの準備をしよう 流線と流管の導入。流体の運動方程式と”移流項”。オイラーの運動方程式
8週 ベルヌーイの定理は、流れの運動量保存則である ニュートン運動方程式を積分して、エネルギー保存則が出ることを確認した後、オイラーの運動方程式を積分して、流れのエネルギー保存則(ベルヌーイの定理)を導出する。
2ndQ
9週 穴と水漏れーベルヌーイの定理の応用1 穴があいた容器からの水漏れ、重力と圧力差。排水に要する時間、その近似計算と厳密な計算(演習)
10週 流速を計るーベルヌーイの定理の応用2 ピトー管とベンチュリー管。U字管と逆U字管のどちらを用いるか
11週 演習の時間 これまでの演習
12週 物体が流れから受ける力ー運動量の保存 作用・反作用の法則と運動量の保存則について復習したあと、流れの運動量を求める。保存則によって、物体が受ける力を求める。
13週 噴流の力、ペットボトルロケットの推力ー運動量の保存則の応用1 単純な問題を解いて、結果を吟味する。力が速度の2乗に比例することを理解する。
14週 ファインマンの逆スプリンクラー問題ー運動量の保存則の応用2 関連して、幾つかの高度な話題を照会する。旗のはためきやPIV測定など
15週 試験前の最後の演習 最後の演習
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。1
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
質量保存則と連続の式を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
オイラーの運動方程式を説明できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
ピトー管、ベンチュリー管、オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合705010150100
基礎的能力705010150100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000