電気回路Ⅱ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気回路Ⅱ
科目番号 0121 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 西巻、森、荒井 : 電気回路の基礎(第3版)、森北出版
担当教員 佐藤 隆

到達目標

・ キルヒホッフの法則や重ねの理等の定理を理解し、電気回路の計算に用いることができる。
・ 瞬時値、フェーザ、複素数表示を理解し、これらを正弦波交流回路の計算に用いることができる。
・ 共振回路や結合回路等を計算できる。
・ 三相交流回路を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
知識・理解学習内容を十分に理解し、知識として身につけている。学習内容をおおむね理解し、基本的な知識が定着している。左の規準に達していない。
関心・意欲・態度授業の度に理解を深め、それ以上の発展の問題に積極的に取り組み、関心を深めている。集中して授業を受け、基礎的な問題に主体的に取り組み、関心を深めている。左の規準に達していない。
技能・表現定義、定理、法則などから数学的な規則性を正しく導くことができ、またそのことを利用して、発展的な問題に対処することができる。定義、定理、法則などを理解し、それを利用するところまで導くことができる。左の規準に達していない。

学科の到達目標項目との関係

資格 1 電気主任技術者
資格 2 電気工事士試験

教育方法等

概要:
 電気工学を専門とする技術者にとって、電気回路の知識は必要不可欠である。
この科目では、第2学年次に学習した交流回路や、交流でのコイル、コンデンサの性質を基礎とし、より一般的・実用的な交流回路の意味や性質を理解する。
授業の進め方・方法:
<授業の進め方> 
 毎回、次の1.~3.の流れで授業を進める。
 1.教員が、その日に学ぶテーマの背景と目的、概要を説明する(時間配分:30%)
 2.学生が、グループワークをおこなう(時間配分:50%)
 3.学生が、その日のテーマに関する振り返りテストを受ける(時間配分:20%)
<授業内容>
 1.交流回路の計算法、共振回路
 2.交流電力の計算
 3.三相交流回路
 4.電磁誘導結合回路
<方法>
 配布されたワークシート(プリント)に、各自、教員の説明および板書内容の中から必要と思う部分を加筆する。

【予習と復習について】
・予習:前回までの授業内容のなかで、「自分は何がわかっていないのか」を明確に整理する。
・復習:ワークシートの内容を自主学習用のノートに整理する。
注意点:
・配布されたワークシートや問題集プリントは重要な記録(ポートフォリオ)となるので、なくさないように各自ファイリングするべし。
・自主学習用のノートを準備するべし。
・教科書は、授業での教員の説明を補足する参考書であると考えるべし。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 正弦波交流の表現方法のまとめ(瞬時値、複素数、フェーザ式、ベクトル図)
・ワークシート0
交流の瞬時値表現を、複素数表示に変換できる
2週 直流回路を題材にした回路解析法の復習(電位分布と重ね合わせの原理)
・ワークシート1
基準点に対する任意の点の電位を求めることができる
3週 直流回路を題材にした回路解析法の復習(テブナンの定理と網目電流法)
・振り返りテスト
テブナンの定理を用いて回路の計算ができる
4週 網目電流法のつづき(交流回路を少し扱う)
・ワークシート2
網目電流法を用いて回路の計算ができる
5週 網目電流法のつづき(交流回路)
・問題プリント
・グループ学習
網目電流法を用いて回路の計算ができる
6週 直列共振回路、誘導性・容量性リアクタンス
・ワークシート3
回路の抵抗とリアクタンスを求めることができる
7週 並列共振回路、Q値
・ワークシート4
共振条件を求めることができる
8週 並列共振回路(回路電流がゼロになる場合)、アドミタンスの直列・並列接続
・ワークシート5
・前期中間試験
アドミタンスを用いて回路の計算ができる
2ndQ
9週 前期中間試験問題の振り返りとやり直し 自分の理解が不十分であった点を確認できる
10週 交流電力の計算、電力ベクトル(複素電力)による計算について
・ワークシート6
有効電力と無効電力と皮相電力の関係をベクトルで説明できる
11週 力率の改善(ベクトル的解法)、進相コンデンサ
・ワークシート7
力率を1にする(無効電力をゼロにする)ことができる
12週 力率の改善
・問題プリント
・グループ学習
力率改善のための進相コンデンサの容量をもとめることができる
13週 三相交流の波形表現、三角関数表現、フェーザ式表現、複素数表現、ベクトル図
・ワークシート8
対称三相交流を数式、図で表現できる
14週 三相交流の原理と接続法(Δ接続とY接続)
・ワークシート9
三相交流の結線図が描ける
15週 Δ接続とY接続の相電圧と線間電圧の関係
・ワークシート10
Y接続では、線間電圧の大きさは相電圧の√3倍で、線間電圧の位相は相電圧より30°進むことを説明できる
16週 前期のまとめ、振り返り
・ワークシート11
前期の内容の要点をまとめることができる
後期
3rdQ
1週 回転磁界発生の様子
・ワークシート12
三相交流電流が作る磁界の向きが、回転する様子を説明できる
2週 Δ接続とY接続の相電流と線電流の関係
・ワークシート13
Δ接続では、線電流の大きさは相電流の√3倍で、線電流の位相は相電流より30°遅れることを説明できる
3週 Δ-Δ回路とY-Y回路の計算
・ワークシート14
三相交流回路を3つの単相交流回路に分解できる
4週 平衡三相負荷のΔ⇔Y変換、Δ-Y回路とY-Δ回路の計算
・ワークシート15
・グループ学習
平衡三相負荷のΔ⇔Y変換ができる(スーパースターのデルタさん:Y→Δは3倍)
5週 三相交流電力の計算
・ワークシート16
電力は抵抗でしか消費されないことを理解できる
6週 電験三種過去問の演習
・問題プリント
・グループ学習
グループのメンバと協力して演習問題を解くことができる
7週 電験三種過去問の演習
・グループ発表
・問題の解説
グループのメンバと協力して演習問題を解くことができる
8週 電験三種過去問の演習
・グループ発表
・問題の解説
・後期中間試験
グループのメンバと協力して演習問題を解くことができる
4thQ
9週 後期中間試験問題の振り返りとやり直し 自分の理解が不十分であった点を確認できる
10週 結合回路のイントロ(相互誘導とその応用例について) 身の回りにある電磁誘導の例を挙げることができる
11週 電磁誘導結合回路(1):誘導起電力の正方向、Mの扱い、基本式
・ワークシート17
電流の方向と磁束の方向、および誘導起電力の方向の関係を説明できる
12週 電磁誘導結合回路(2):例題と演習
・問題プリント
・グループ学習
グループのメンバと協力して演習問題を解くことができる
13週 電磁誘導結合回路の演習
・解説プリント
・グループ学習
グループのメンバと協力して演習問題を解くことができる
14週 変圧器結合回路(巻数比と電圧・電流比、1次換算)
・グループ学習
変圧器の原理を説明できる
15週 演習問題の解説
・解説プリント
変圧器結合回路における巻数比と電圧比、電流比の関係を説明できる
16週 後期のまとめ、振り返り
・ワークシート18
後期の内容の要点をまとめることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3前5
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。3前1
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。3前1
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3前4,前5
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3前4,前5
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3前5,前6,前7
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3後11
理想変成器を説明できる。3後14
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3前10
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3前14,後2
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。3後4
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3後3

評価割合

試験発表相互評価態度ワークシート小テスト合計
総合評価割合7000101010100
基礎的能力150055530
専門的能力500055565
分野横断的能力5000005