有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 0014 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 マテリアル環境工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学 著者:John E McMurry他  発行所:東京化学同人
担当教員 浅田 格,伊東 航,北川 明生,関戸 大,森 真奈美

到達目標

有機化合物についてIUPAC命名法に基づき、構造から名前をつけることができる。また、名前から構造を書くことができる
混成軌道を用い結合の種類と分子の形を予想できる
分子についている官能基と分子の形からその性質を説明できる
付加反応について反応機構を書き、得られる生成物が予想できる

ルーブリック

模範的要改善
命名法命名法に従い、化合物名と構造を正確に変換できる命名法に従い、化合物名と構造を変換できる。その際、官能基の位置などが曖昧であっても主鎖の構造が正しく表記されていて、構造・名前を再現することができる命名法に従い、化合物名と構造を変換する際、主鎖に誤りがあり、構造を正しく再現できない
混成軌道sp,sp2、sp3混成軌道を用い結合と分子の形を説明できるsp,sp2、sp3混成軌道を判別できるが、結合や分子の形の説明に曖昧さがある混成軌道を用いて結合を説明できない
分子の性質分子の性質について、官能基と分子の形から論理的な予測ができる分子の性質について、説明することができるが、論理性に欠ける分子の性質について、説明できない
反応機構反応について、反応機構を記述し、生成物を予測することができる反応について、生成物を予測することができるが、反応機構に間違いがある反応について、生成物を正しく予測できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
現在様々な製品に使われているプラスチック材料、新しいディスプレイ材料として使われ始めたOLED(有機EL)、医薬品、塗料などこれらは全て炭素と水素を基本とする有機物質です。
この授業ではこれら有機物質の名前の付け方、性質、化学反応の仕組みについて学びます。この分野の学問を有機化学と言います。
4年生で学ぶ有機化学II、5年生で学ぶ有機材料の基礎となる科目で、これらの科目群を学ぶことで将来、生体関連材料、石油化学、プラスチックなどの化学関連分野の研究を行うために必要な基礎知識と考え方を身につけます。
現在様々な製品に使われているプラスチック材料、新しいディスプレイ材料として使われ始めたOLED(有機EL)、医薬品、塗料などこれらは全て炭素と水素を基本とする有機物質です。
この授業ではこれら有機物質の名前の付け方、性質、化学反応の仕組みについて学びます。この分野の学問を有機化学と言います。
4年生で学ぶ有機化学II、5年生で学ぶ有機材料の基礎となる科目で、これらの科目群を学ぶことで将来、生体関連材料、石油化学、プラスチックなどの化学関連分野の研究を行うために必要な基礎知識と考え方を身につけます。
授業の進め方・方法:
・この授業は講師による講義(インプット)を授業の前半に、ジグソー法、ピアインストラクションなどのグループワーク(アウトプット)を授業の後半に行うように構成されています。この授業形式は、対人的なアウトプットが知識の定着度を向上させるという認知心理学の知見に基づいていて講義だけの授業よりも身につきやすい形式の授業です。最初はグループワークに抵抗があるかも知れませんが、積極的に参加して下さい。
・講義内容として教科書1章「構造と結合」、2章「有機化合物の性質」、3章「有機反応の性質」、4章「アルケンとアルキンの反応」、5章「芳香族化合物」を学び、有機化合物の名称、混成軌道と結合、有機分子の性質、反応機構について基本的な知識と考え方を身につけます。
・授業で用いたスライドはブラックボード上に当日中に公開します。授業ではノートを取ることより議論への参加に集中して下さい。
・授業を受講するにあたっての予習復習は以下の通りになります。
予習:次回の授業トピックについて前提となる知識を教科書を用いて確認して下さい。予習内容は授業の最後に指示します。
復習:ブラックボードに掲載される授業スライドを用いて復習して下さい。毎回授業冒頭に前回の内容について小テストを行い、知識の定着を確認します。
注意点:
・毎回の講義においてシャトルカードを提出して下さい。シャトルカードには毎回の授業の評価と改善希望点を記入します。講師と共に、良い授業を作るため忌憚無い意見をフィードバックして下さい。この講義の主役は学習者である君達です。
・シャトルカードと小テストの提出を以って出席とします。欠席が5回を超えた場合、単位は認定しません。
・授業への質問はシャトルカードに書いてくれれば回答します。
また、オフィスアワーに直接質問に来ること、メールでの質問どちらも歓迎します。
オフィスアワー 金曜日16:10~17:10、月曜日4校時
メール:sekido@sendai-nct.ac.jp

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 「原子の構造〜量子とは何か?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
原子が何で出来ているか、構成要素を3つ挙げることができる
量子とは何か説明できる
2週 「電子配置と分子の書き方〜分子の形はどうやって予想する?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
第3周期の元素の原子まで電子配置を書くことができる
分子のLewis構造が正しく書ける
3週 「π結合と混成軌道〜二重結合の結合は二本とも同じもの?〜」
「電気陰性度とイオン結合〜HClはイオン?分子?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
σ結合とπ結合の違いを説明できる
分子の構造から混成軌道を予測し、性質の説明に適用できる
4週 「分子間力と水素結合〜氷と水どっちが軽い?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
電気陰性度とは何か説明できる
分子間力を強い順に全て挙げることができる
分子の形と極性を性質に適用できる
5週 「アルカンの名前と書き方〜プロの書き方を身につけよう〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
アルカンに名前をつけることができる
骨格構造(線結合構造)でアルカンを書くことができる
6週 「シクロアルカンと立体歪み〜なぜ薬は環状構造が多いのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
立体歪みを用いて安定な分子と不安定な分子を区別することができる
7週 「シクロアルカンの立体〜なぜ薬を作るのが難しいのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
シクロアルカンのイス型配座を立体的に書ける
シクロヘキサンの安定性を立体障害から比較できる
8週 振り返り①
試験に備えて知識の定着を確認する
1~7週までの確認問題が解ける
1~7週までの内容について総合的な演習問題が解ける
4thQ
9週 「アルケンの命名と反応〜反応の種類はたったの4つ〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
アルケンに名前をつけることができる
反応の種類を4つ挙げることができる
10週 「反応機構〜なぜ生成物は決まるのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
反応エネルギー図を説明できる
活性化エネルギーとカルボカチオン中間体の関係を説明できる
11週 「Markovnikov則〜実験結果を説明するには?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
Maokovnikov則とは何か説明できる
Maokovnikov則の理由を反応機構と関連づけることができる
12週 「逆Markovnikov則と付加反応〜反応を制御して欲しい物質を得るには?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
逆Maokovnikov則の反応条件を説明できる
逆Maokovnikov則とMarkovnikov則を比較して反応機構を議論できる
anti付加、syn付加について説明できる
13週 「共役ジエン〜導電性プラスチックとは何か?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
共役とは何か、構造と性質を説明できる
酸の強さを共鳴と関連づけることができる
14週 「共役ジエンの反応〜医薬品合成に使われる化学反応〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
Diets-Alder反応の反応機構が書ける
共役ジエンの反応について反応機構を用い生成物を予測できる
15週 振り返り②
試験に備えて知識の定着を確認する
9~14週までの確認問題が解ける
9~14週までの内容について総合的な演習問題が解ける
16週 「芳香族の基礎〜なぜベンゼンは環境を破壊するのか?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
ベンゼンが安定であることを説明できる
芳香族化合物の命名ができる
求電子置換反応(Friedel-Crafts反応)の反応機構が書ける

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4
有機材料有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4後2
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造と名前の変換ができる。4後5,後6,後7,後13
σ結合とπ結合について説明できる。4後2,後3,後13,後14
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4後2,後3
ルイス構造を書くことができ、それを反応に結びつけることができる。4後2,後10,後11,後12,後14
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4後9,後11,後12
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7
構造異性体、幾何異性体、鏡像異性体などについて説明できる。4後5,後7,後9
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4後5,後7,後9
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4後4,後11,後12,後16
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4後10,後11,後12,後16
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4後10,後11,後12,後14,後16
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4後14
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4後14
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4後14
高分子の熱的性質を説明できる。4後14
無機材料パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。3
原子価結合法により、共有結合を説明できる。3
化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4後4,後6,後9,後13,後16
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4後5,後6,後9,後13,後16
σ結合とπ結合について説明できる。4後3,後9,後16
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4後3,後9,後16
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4後3
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4後3,後9
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4後10,後11,後12,後14,後16
共鳴構造について説明できる。4後13
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4後5,後6
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4後16
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後5,後6,後7,後9,後16
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4後5,後6,後7,後9,後16
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。3後5,後6,後7,後9
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4後4,後6,後10,後11,後12
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4後10,後11,後12
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4後10,後11,後12
重合反応について説明できる。4後14
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4後10,後11,後12,後14
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4後10,後11,後12,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000100100
基礎的能力2000010030
専門的能力700000070
分野横断的能力0000000