概要:
環境負荷の低い材料を開発するためには、環境中の微量物質の成分や含有量を調査する手法を習得する事が極めて重要である。この科目では、機器を用いたいくつかの分析方法について、その原理を学び、さらに具体的な分析評価方法を学ぶ。
授業の進め方・方法:
はじめに実験ガイダンスを行い、加えて各実験テーマの事前説明も行う。その後、6テーマ(原子吸光、赤外分光、走査電子顕微鏡による組織観察と組成分析、核磁気共鳴、熱分析、電気化学)を6班、3週サイクルで進めていく。実験レポートの提出は開始週から4週目が基本となる。レポートについては、科学技術形式でのグラフ作成、実験結果に対しての考察、および調査内容、など自分で取り組んでいるかで評価する。
注意点:
本科目の内容は、化学的な現象から物理的な現象まで広範囲にわたる。機器分析のほか、化学、物理、応用物理などの復習も必要である。グラフ用紙と関数電卓を携帯し、統計処理によって得られたデータをプロットしながら結果について考察すること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1.実験ガイダンス(1) |
実習の目標と、心構えがわかる。 災害防止と安全確保のためにすべきことがわかる。 レポートの作成の仕方がわかる。
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2週 |
1.実験ガイダンス(2) |
実習の目標と、心構えがわかる。 災害防止と安全確保のためにすべきことがわかる。 レポートの作成の仕方がわかる。
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3週 |
2.原子吸光分析(AAS)による定量分析① |
光吸収について理解し、代表的な分析方法について理解している。 Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。 金属材料実験、機械的特性評価試験、化学実験、分析実験、電気工学実験などを行い、実験の準備、実験装置および実験器具の取り扱い、実験結果の整理と考察ができる。 代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、携帯観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 分析機器を用いて、成分などの定量評価をすることができる。
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4週 |
2.原子吸光分析(AAS)による定量分析② |
金属材料実験、機械的特性評価試験、化学実験、分析実験、電気工学実験などを行い、実験の準備、実験装置および実験器具の取り扱い、実験結果の整理と考察ができる。 分析機器を用いて、成分などの定量評価をすることができる。 特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。 代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、携帯観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。
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5週 |
2.データ整理とレポートの書き方 |
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。 金属材料実験、機械的特性評価試験、化学実験、分析実験、電気工学実験などを行い、実験の準備、実験装置および実験器具の取り扱い、実験結果の整理と考察ができる。 光学顕微鏡や電子顕微鏡などで材料を観察し、組織について評価することができる。 分析機器を用いて、成分などの定量評価をすることができる。 実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。 特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。
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6週 |
3.赤外分光分析(FT-IR)① |
標準試料を用いてFT-IR装置を操作でき、赤外スペクトルを測定することができる。
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7週 |
3.赤外分光分析(FT-IR)② |
試料を考慮して適切な測定準備ができ、赤外スペクトルを測定することができる。
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8週 |
3.データ整理とレポートの書き方 |
FT-IRで得たデータを正しく整理し、理論的な考察を行い、レポートを書くことができる。
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2ndQ |
9週 |
4.走査型電子顕微鏡による組織観察と組成分析(SEM, EDX)① |
走査型電子顕微鏡による組織観察を行うことができる。
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10週 |
4.走査型電子顕微鏡による組織観察と組成分析(SEM, EDX)② |
走査型電子顕微鏡による組成分析を行うことができる。
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11週 |
4.データ整理とレポートの書き方 |
走査型電子顕微鏡で得たデータを正しく整理し、理論的な考察を行い、レポートを書くことができる。
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12週 |
5.核磁気共鳴(NMR)① |
NMR測定の原理と1H NMRのデータの解析法を説明できる。 NMRスペクトルのピークを帰属し、化合物の同定ができる。
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13週 |
5.核磁気共鳴(NMR)② |
未知試料をNMR測定し、得られたデータを解析し化合物の同定ができる。 複数の化学種が混入した溶液についてNMR測定し、得られたデータを解析し化合物の同定ができる。
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14週 |
5.データ整理とレポートの書き方 |
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15週 |
6.熱分析(TG/DTA)① |
熱分析の原理について説明できる。 TG/DTAを用いて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。
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16週 |
6.熱分析(TG/DTA)② |
熱分析の原理について説明できる。 TG/DTAを用いて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
6.データ整理とレポートの書き方 |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。
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2週 |
7.電気化学① |
サイクリックボルタンメトリーの原理を理解して説明できる。
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3週 |
7.電気化学② |
サイクリックボルタンメトリー測定を行い、データの解析ができる。
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4週 |
7.データ整理とレポートの書き方 |
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5週 |
8.X線回折(XRD)① |
標準試料を用いてXRD測定を行い、物質の構造を同定することができる。
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6週 |
8.X線回折(XRD)② |
未知試料を用いてXRD測定を行い、物質の構造を同定することができる。
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7週 |
8.データ整理とレポートの書き方 |
XRDで得たデータを正しく整理し、論理的な考察を行いまとめることができる。
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8週 |
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4thQ |
9週 |
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10週 |
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11週 |
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12週 |
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13週 |
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14週 |
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15週 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 3 | 前9,前10,前11 |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 3 | 前12,前13 |
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。 | 3 | 前12,前13 |
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。 | 3 | |
無機材料 | 酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。 | 3 | |
酸化還元電位と代表的な電極系について理解できる。 | 3 | |
電気分解に関する知識を用いてファラデーの法則の計算ができる。 | 3 | |
材料組織 | 熱分析の原理について説明できる。 | 3 | 前15 |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。 | 3 | |
力学 | 荷重の方向、性質と物体の変形様式との関係について説明できる。 | 3 | 前9,前11 |
化学・生物系分野 | 分析化学 | 強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。 | 2 | |
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。 | 2 | |
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。 | 4 | 前3 |
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。 | 4 | 前3 |
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。 | 4 | 前5,前12,前13 |
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。 | 4 | 前4,前5,前12,前13 |
分野別の工学実験・実習能力 | 材料系分野【実験・実習能力】 | 材料系【実験実習】 | 実験・実習の目標と心構えを理解し実践できる。 | 3 | 前1,前2 |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し実践できる。 | 3 | 前1,前2 |
レポートの書き方を理解し、作成できる。 | 3 | 前1,前2,後1 |
金属材料実験、機械的特性評価試験、化学実験、分析実験、電気工学実験などを行い、実験の準備、実験装置および実験器具の取り扱い、実験結果の整理と考察ができる。 | 4 | 前3,前4,前5,前9,前10,前11 |
光学顕微鏡や電子顕微鏡などで材料を観察し、組織について評価することができる。 | 4 | 前9,前10 |
分析機器を用いて、成分などを定量的に評価をすることができる。 | 4 | 前3,前4,前5,前9,前10 |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭での説明またはプレゼンテーションができる。 | 4 | 前5,前11,後1 |
化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 3 | 前3,前4,前9,前10,前11,前12,前13,前15,前16,後1 |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 3 | 前4,前11,前12,前13 |