概要:
2学年の物質の構造を引き継ぐ科目である。材料を構成する原子の挙動、結晶構造に関する理解を基に、金属の組織や相反応の基本概念と、その集大成である状態図を理解する。
材料を開発・製造するための知識として不可欠な物質の結晶構造、原子の挙動、材料の組織と状態図の見方などを学習する。
授業の進め方・方法:
教室で講義を行い、講義時間の終盤に授業進度に応じて演習問題を行う。授業ごとに課題を課しているのですべての課題を提出すること。
予習:教科書の授業内容に関わる内容を確認する。
復習:授業内容をA4用紙1枚にまとめて次回授業時に提出する。
注意点:
2学年までに学習した物質の構造、化学、物理、数学などの基礎科目を理解していること。
本科目はマテリアル環境工学実験I、4年次以降開講科目である材料組織学Ⅱ、材料強度学等にも深く
関連する科目であることを留意して授業に臨むこと。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
基本結晶構造の復習 |
金属の一般的な性質について説明できる。 代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。
|
2週 |
1成分系状態図の基礎(1) |
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について理解できる。
|
3週 |
1成分系状態図の基礎(2) |
熱分析の原理について説明できる。
|
4週 |
1成分系状態図の基礎(3) |
水の状態図を説明できる。
|
5週 |
2成分系状態図の基礎(1) |
系、相、成分など基本用語を説明できる。 ギブスの相律から自由度を導出でき、系の自由度を説明できる。
|
6週 |
2成分系状態図の基礎(2) |
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を理解できる。
|
7週 |
混合比と原子拡散原子 |
原子パーセントと重量パーセントの意味が説明できる。原子パーセントから重量パーセント、重量パーセントから原子パーセントの換算ができる。 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 カーケンドール効果を説明できる。
|
8週 |
中間試験 |
|
2ndQ |
9週 |
てこの法則と相の組成 |
2成分系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算でき、相の組成を求めることができる。
|
10週 |
全率固溶型状態図 |
全率固溶型の状態図を説明できる。 状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
|
11週 |
共晶反応型状態図(1) |
共晶反応型の状態図を説明できる。 共晶反応、一般的な共晶組織を説明できる。
|
12週 |
共晶反応型状態図(2) |
熱分析曲線から共晶反応型における組織変化を説明できる。 状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
|
13週 |
包晶反応型状態図(1) |
包晶反応型の状態図を説明できる。 包晶反応、一般的な共晶組織を説明できる。
|
14週 |
包晶反応型状態図(2) |
熱分析曲線から包晶反応型における組織変化を説明できる。 状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
|
15週 |
偏晶反応型状態図(1) |
偏晶反応型の状態図を説明できる。
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
偏晶反応型状態図(2) |
熱分析曲線から偏晶反応型における組織変化を説明できる。 状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
|
2週 |
中間相を含む状態図 |
中間相、金属間化合物、規則合金が説明できる。
|
3週 |
同素変態する元素を含む合金の状態図 |
同素変態する元素を含む合金状態図の説明ができる。 共析反応型、包析反応型状態図の説明ができる。
|
4週 |
基本状態図の復習 |
間違った状態図を見て、その状態図の間違えている箇所と理由を説明できる。
|
5週 |
状態図と合金特性との関係 |
全率固溶型状態図、共晶反応型状態図から合金の性質をおおまかに予想できる。
|
6週 |
2成分系合金状態図の熱力学(1) |
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。 自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。 全率固溶型合金の状態から自由エネルギー曲線を予想できる。
|
7週 |
2成分系合金状態図の熱力学(2) |
共晶反応型合金の状態から自由エネルギー曲線を予想できる。
|
8週 |
中間試験 |
|
4thQ |
9週 |
Al-Cu合金状態図 |
Al-Cu合金状態図に含まれる基本状態図を説明できる。
|
10週 |
Fe-C合金状態図(1) |
Fe-C合金状態図に含まれる基本状態図を説明できる。 共析鋼、亜共析鋼、過共析鋼に含まれる組織を状態図から説明できる。
|
11週 |
Fe-C合金状態図(2) |
A1変態、A2変態、A3変態、A4変態を説明できる。 αFe、γFeの結晶構造と炭素の固溶限との関係を説明できる
|
12週 |
Fe-C合金状態図(3) |
A1変態の過程を定性的に説明できる。
|
13週 |
3成分系合金状態図(1) |
3成分系状態図の成分の表し方を説明できる。 全率固溶型3成分系状態図から等温断面図、垂直断面図が描ける
|
14週 |
3成分系合金状態図(2) |
3成分系等温断面図からてこの法則を用いて相の割合を計算できる
|
15週 |
3成分系合金状態図(3) |
共晶反応型3成分系状態図から等温断面図が描ける
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 4 | |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | |
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。 | 4 | |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 4 | |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | |
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。 | 4 | |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | |
金属材料 | 純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 4 | |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 4 | |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 4 | 前1 |
無機材料 | 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | |
材料組織 | 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。 | 3 | |
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。 | 4 | |
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。 | 4 | |
熱分析の原理について説明できる。 | 4 | |
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 4 | |
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | |
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | |
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | |
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | |
偏晶型の反応と状態図を説明できる。 | 4 | |
中間相生成型の反応と状態図を説明できる。 | 4 | |
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。 | 4 | |
カーケンドール効果を説明できる。 | 4 | |