材料物性Ⅱ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料物性Ⅱ
科目番号 0140 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 マテリアル環境工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 浅田 格

到達目標

材料のもつ物理的性質を左右する物質中の電子の振る舞いについてイメージでき、材料開発の基礎的素養を身につける。電子物性Iに継続する内容を理解した上で、さまざまな物性を実際の現象と理論やそれに基づく数式などを用いて、自らの理解の上で説明していくことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
固体の比熱固体の比熱のモデルを導出でき、比熱の温度変化を説明できる。また、格子振動に由来する固体の熱伝導・熱膨張について、その変化を比熱と関連させて説明できる。固体の比熱の温度変化を説明できる。また、格子振動に由来する固体の熱伝導・熱膨張について説明できる。固体の比熱のモデルを説明できない。熱伝導・熱膨張が格子振動に関連することを理解していない。
古典的自由電子モデル古典的な自由電子モデルにより、移動度や緩和時間を理解して計算できる。電流密度を計算できる。古典的な自由電子モデルにより、移動度や緩和時間を計算できる。古典的な自由電子モデルにより、移動度や緩和時間を計算できない。
エネルギーバンドの形成結晶中のエネルギー状態について、エネルギーバンドの形成を理解し、自由電子、周期ポテンシャル中のエネルギー状態を式で記述できる。結晶中のエネルギー状態について、エネルギーバンドの形成を理解し、自由電子、周期ポテンシャル中のエネルギー状態を説明できる。結晶中のエネルギー状態について、エネルギーバンドの形成を理解しておらず、自由電子、周期ポテンシャル中のエネルギー状態を式で説明できない。
導体・半導体・絶縁体導体、半導体、絶縁体のエネルギーバンドと導電性の違いを図示して説明できる。導体、半導体、絶縁体のエネルギーバンドと導電性の違いを図示して説明できる。導体、半導体、絶縁体のエネルギーバンドと導電性の違いを説明できない。
半導体真性半導体の状態密度を導出して模式図を描き、伝道機構を説明できる。真性半導体の状態密度の模式図を描き、伝道機構を説明できる。真性半導体の状態密度を理解しておらず、伝道機構を説明できない。
不純物半導体真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる。p型、n型半導体の違いをエネルギーバンド図を用いて説明できる。不純物半導体の導電率の温度変化を図示して、その機構を説明できる。真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる。p型、n型半導体の違いをエネルギーバンド図を用いて説明できる。真性半導体と不純物半導体の違いを理解していない。p型、n型半導体の違いをエネルギーバンド図に描くことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
新たな材料の開発には、材料の持つ物理的、化学的性質の理解が一層重要となっている。特に物性の理解は、材料に機能性を持たせる際に重要な電気的、熱的、光学的、磁気的な諸性質を左右する基本的な現象を捉える上で必要である。これら性質と現象の本質的な理解を目的とする。
授業の進め方・方法:
授業では教科書と配布図面を利用しながら説明を進める。その復習として、物性の理解を確認するために、説明問題、物性値を求める問題などの演習課題を配付するので、次回授業の時に提出すること。
予習:シラバスに示した授業内容について、テキストを読んでおくこと。 
復習:授業内容について、現象の理解として、図を用いて説明する文章が書けるようにすること。
注意点:
物理、応用物理および電子物性Iでの学習内容を十分理解しておくこと。また、第2、3回の授業では物質を扱う上で放射性元素を除く元素記号を学習するテストする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.量子数と状態 量子数とエネルギー状態の演習を通して理解を深める。
2週 2.格子振動 格子振動の復習。原子振動、1次元格子振動モデルを理解し導出できる。格子振動が関わる物性とフォノンを説明できる。
3週 3.固体の比熱
〜固体の比熱,アインシュタインモデル〜
比熱,定積モル比熱の考え方を理解できる。アインシュタインモデルの比熱モデルを理解する。
4週 3.固体の比熱
〜デバイモデル〜
デバイの比熱モデルを理解する。
5週 3.固体の比熱
〜固体の熱伝導・熱膨張〜
比熱と関連する物性の説明ができる。
6週 4.結晶中のエネルギー状態
〜エネルギーバンドの形成〜
エネルギーバンドの形成を理解する。
7週 4.結晶中のエネルギー状態
〜自由電子模型と電気伝導〜
電気伝導の古典的モデルの理解をする。
8週 4.結晶中のエネルギー状態
〜金属の自由電子モデル〜
固体中の自由電子の挙動を説明できる。
2ndQ
9週 4.結晶中のエネルギー状態
〜周期ポテンシャル場中の電子〜
周期ポテンシャル場中にある電子の運動を説明できる。
10週 4.結晶中のエネルギー状態
〜周期ポテンシャル場中の電子〜
周期ポテンシャルと電気伝導性を理解する。
11週 5.半導体材料と物性
〜半導体の種類〜
半導体の種類について説明できる。
12週 5.半導体材料と物性
〜真性半導体の性質〜
不純物半導体の特徴を真性半導体と区別して説明できる。
13週 5.半導体材料と物性
〜不純物半導体の性質〜
不純物半導体の添加元素の特徴、エネルギーバンドと不純物準位および伝導機構について説明できる。
14週 6.磁性材料と物性
〜磁性の起源〜
磁性の基礎、磁気モーメントの導出ができる。
15週 6.磁性材料と物性
〜物質の磁性〜
磁性の分類と基本的な物質の持つ磁性を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。3
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3
代表的な結晶構造の原子配置について説明でき、充填率の計算ができる。3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4前1
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4前1
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。4前1
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。4前1
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4前1
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4前1
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。3
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。3
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。4前1,前2
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。4前2,前6,前7,前8,前9,前10
半導体の種類について説明できる。3前11
不純物半導体の特徴を真性半導体と区別して説明できる。3前12
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。3前13
無機材料主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3
殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。3
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。3
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。3
拡散係数の物理的意味を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力0000000
専門的能力90000010100
分野横断的能力0000000