機能材料Iに続いて、機能材料の特異な物性発現原理と応用材料について学ぶ。また機能材料を製造する上で重要な材料作製法に関する基礎知識を習得する。電子物性で学んだ物性の基礎知識を元に材料への応用展開できる。
概要:
多様な機能性材料から主に光学材料および半導体材料を取り上げる。物質の特異な光学・半導体特性の発現の仕組みについて理解する。物質の光学的および半導体的性質の特徴をどのように電子デバイスの機能発現へ利用するか学習する。
磁性材料と水素吸蔵材料を中心に基本的性質、応用例について取り上げる。物質に特異な磁気的特性をどのようにしてデバイスの機能発現へ応用するかについて理解する。
水素エネルギーの貯蔵・輸送を可能にする水素吸蔵材料の基礎特性と応用に関して理解する。
光物性を応用した様々な光材料について原理と応用を理解する。
授業の進め方・方法:
この科目は、電子物性I、Ⅱに続く科目であり、その実践的応用に当たる。特に電子物性Iで学んだ量子力学の基礎知識を必要とする。機能材料の性質の理解には、材料組織学や電子物性などの学習内容を総合的に応用して理解する必要がある。これら専門科目の学習内容を十分学習しておくこと。
事前に配布するテキスト(スライド資料)を参照して予習しておくこと。演習課題を課すのでテキストを参照して解くこと。
予習:事前に配布テキストをよく読んでおく。
復習:配布テキスト等を参照し、演習問題を解く。
注意点:
授業内容に関する演習課題を配布する時には、予習・復習に利用して自ら学習すること。その解答は講義内容で各自確認を行い、復習しながらすべての問題に対して解答を作ること。解答に際しては、科学的観点に基づく理由を伴った説明が成されていることに注意すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。 | 4 | 前1 |
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。 | 4 | 前1 |
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。 | 4 | 前1 |
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。 | 4 | 前1 |
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。 | 4 | 前1 |
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。 | 4 | 前1 |
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。 | 4 | 前10 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | |
14種のブラベー格子について説明でき、描くことができる。 | 4 | |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 4 | |
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。 | 4 | 前15 |
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。 | 4 | 前15 |
半導体の種類について説明できる。 | 4 | |
不純物半導体の特徴を真性半導体と区別して説明できる。 | 4 | |
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。 | 4 | |
無機材料 | Bohrの原子模型について説明できる。 | 4 | 前1 |
主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 4 | 前1 |
殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 4 | 前1 |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | 前1,前2 |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | 前1 |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1 |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | 前1 |
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | 前15 |
原子価結合法により、共有結合を説明できる。 | 4 | 前15 |
電子配置から混成軌道の形成について説明できる。 | 4 | 前15 |
簡単な分子に対する分子軌道法から共有結合を説明できる。 | 4 | 前15 |
イオン結合の形成について理解できる。 | 4 | 前10 |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | |
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。 | 4 | 前6,前10 |
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などに必要な材料合成法について説明できる。 | 4 | 前10 |
物質表面が外界からうける作用を考察し、物理的、あるいは化学的な表面相互作用について説明できる。 | 4 | 前6 |
材料組織 | 2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。 | 4 | |
相分離型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。 | 4 | |
固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。 | 4 | |
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。 | 4 | |
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。 | 4 | |
凝固過程での状態変化や特徴を説明できる。 | 4 | |
析出過程での状態変化や特徴を説明できる。 | 4 | |
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。 | 4 | |
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。 | 4 | |
環境 | エネルギー資源問題について説明できる。 | 3 | |
環境の現状について説明できる。 | 3 | |
廃棄物処理問題について説明できる。 | 3 | |
廃棄物処理の目的と資源化について説明できる。 | 3 | |
資源化について説明できる。 | 3 | |