有機化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 有機化学Ⅱ
科目番号 0152 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 マテリアル環境工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー 有機化学 著者:John E McMurry他  発行所:東京化学同人
担当教員 松原 正樹

到達目標

有機化合物についてIUPAC命名法を使い、構造と名前を結びつけることができる。
基礎的な化学反応について電子の構造から反応機構の説明、生成物の予想ができる。
分子の官能基、基本骨格の性質について電子的性質からその性質が説明でき、代表的な反応及び分子への導入方法を示すことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
分子の命名法化合物をIUPAC命名法または慣用名により命名し、また、化合物名から分子構造を記述できる。教員の助言があれば化合物をIUPAC命名法または慣用名により命名し、また、化合物名から分子構造を記述できる。化合物の命名ができない。
官能基の性質種々の官能基の性質を理解し、様々な有機分子の性質を論理的に説明・予測できる。教員の助言があれば種々の官能基の性質を理解し、様々な有機分子の性質を論理的に説明・予測できる。官能基の性質を理解しておらず、有機分子の性質を説明できない。
反応機構分子の反応性および反応機構を理解し、目的の化合物を合成する反応経路を設計できる。教員の助言があれば分子の反応性および反応機構を理解し、目的の化合物を合成する反応経路を設計できる。分子の反応性および反応機構を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
有機化学及び一般化学の基礎について講義を行う。種々の材料を工業的に合成するためには様々な有機反応を用いる。又、環境問題を考える上では有機化学の基礎知識が必須となる。本講義では基礎的な有機反応及びその原理を扱う事で、原料から工業的に材料が合成される過程を理解する事、環境問題について理論的に考察する能力を身につける事を狙いとする。
授業の進め方・方法:
教科書6章「立体化学」、7章「ハロゲン化アルキル」、8章「アルコール、フェノール、エーテル」、9章「アルデヒドとケトン」、10章「カルボン酸とその誘導体」、11章「カルボニル化合物のα置換と縮合反応」、12章「アミン」を講義内容とし、電子の性質と分子の構造に関連付け、有機分子の性質、反応機構について学習する。
事前に教科書および配布資料をよく読み、予習して臨むこと。また、授業の開始時に復習として前週の内容の演習問題を行うので、授業後に板書内容を復習し確認すること。
予習:事前に教科書および配布資料をよく読んでおく。
復習:次週に確認の演習問題を行うので、授業後に板書内容をよく確認する。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「立体化学」 鏡像異性体について、アキラルな分子を識別し正しく命名できる。
2週 「ハロゲン化アルキル」 ハロゲン化アルキルにIUPAC名をつけることができる。また、IUPAC名から構造を書くことができる。
ハロゲン化アルキルの製法を実例を挙げて説明できる。
3週 「ハロゲン化アルキル」 求核置換反応について反応機構を書き、SN1、SN2反応を区別し反応生成物を立体を含め正しく予想できる。
脱離反応について反応機構を書き、E1、E2反応を区別し反応生成物を立体を含め正しく予想できる。
4週 「ハロゲン化アルキル」 ハロゲン化アルキルの構造と試薬の組み合わせから正しい反応機構を予測し、生成物を予想できる。
5週 「アルコール、フェノール、エーテル」 アルコール、フェノール、エーテルにIUPAC名をつけることができる。また、IUPAC名から構造を書くことができる。
アルコール、フェノール、エーテルの製法を実例を挙げて説明できる。
6週 「アルコール、フェノール、エーテル」 アルコール、フェノール、エーテルの反応の反応機構を正しく予測し、生成物を予想できる。
7週 「アルデヒドとケトン」 アルデヒドとケトンにIUPAC名をつけることができる。また、IUPAC名から構造を書くことができる。
アルデヒドとケトンの製法を実例を挙げて説明できる。
8週 「アルデヒドとケトン」 アルデヒドとケトンの反応の反応機構を正しく予測し、生成物を予想できる。
2ndQ
9週 「カルボン酸とその誘導体」 カルボン酸とその誘導体にIUPAC名をつけることができる。また、IUPAC名から構造を書くことができる。
カルボン酸とその誘導体の製法を実例を挙げて説明できる。
10週 「カルボン酸とその誘導体」 カルボン酸とその誘導体の反応の反応機構を正しく予測し、生成物を予想できる。
11週 「カルボン酸とその誘導体」 カルボン酸を用いた高分子の縮合反応による合成について、反応機構を正しく書ける。
12週 「カルボニル化合物のα置換と縮合反応」 ケト-エノール互変異体について、共鳴構造を書き説明できる。
α置換反応の機構を書き、生成物を正しく予想できる。
13週 「カルボニル化合物のα置換と縮合反応」 エノラートイオンの生成と反応について、反応機構を書き、生成物を正しく予想できる。
14週 「カルボニル化合物のα置換と縮合反応」 エステルのClaisen縮合反応について、反応機構を書き、生成物を正しく予想できる。
15週 「アミン」 アミンにIUPAC名をつけることができる。また、IUPAC名から構造を書くことができる。
アミンの製法を実例を挙げて説明できる。
16週 「アミン」 アミンの反応の反応機構を正しく予測し、生成物を予想できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4後2,後5,後7,後9,後15
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4後2,後5,後7,後8,後9,後15
σ結合とπ結合について説明できる。4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4後2,後3,後4,後6,後7,後8,後11,後12,後13,後14,後16
共鳴構造について説明できる。4後11,後12,後13,後14
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後1
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4後1
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4後1
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4後1,後2,後5,後7,後9,後15
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4後1,後2,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4後1,後3,後4,後6,後8,後10,後11,後12,後13,後14,後16
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4後11
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4後11
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4後11
高分子の熱的性質を説明できる。4
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4後1,後3,後4,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4後1,後3,後4,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000