電気回路基礎

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気回路基礎
科目番号 0040 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報ネットワーク工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 電気回路の基礎 森北出版の書籍
担当教員 矢島 邦昭

到達目標

・直流回路の合成抵抗,電流,電圧を各種定理を用いて速く正確に計算できる。
・実験機器を用いて回路を構成し,電圧・電流などの測定結果を考察して報告書にまとめることができる。
・交流回路の極表示,フェーザ表示,複素数表示を理解し,インピーダンス,アドミタンスの計算とその直列接続,並列接続における電流,電圧を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
直流回路基礎複雑な直並列回路の合成抵抗,電圧,電流をオームの法則,キルヒホッフの法則,重ねの理,鳳・テブナンの定理を駆使して,自由自在に計算することができる。簡単なな直並列回路の合成抵抗,電圧,電流をオームの法則,キルヒホッフの法則,重ねの理,鳳・テブナンの定理を駆使して,自由自在に計算することができる。簡単な直並列回路の合成抵抗,電圧,電流をオームの法則,キルヒホッフの法則の定理を駆使して,計算することができない。
交流基礎正弦波交流回路の瞬時値表示,フェーザ表示,複素数表示を理解し,それらを自在に変換できる。正弦波交流回路の瞬時値表示,フェーザ表示,複素数表示を理解できる。正弦波交流回路の瞬時値表示,フェーザ表示,複素数表示を理解できない。
交流回路基礎RL,RC正弦波交流回路のインピーダンス,アドミタンスの極表示,および,電圧,電流のフェーザ表示を表現でき,複雑な直並列回路においてそれらを自在に計算することができる。RL,RC正弦波交流回路のインピーダンス,アドミタンスの極表示,および,電圧,電流のフェーザ表示を表現できる。RL,RC正弦波交流回路のインピーダンス,アドミタンスの極表示,および,電圧,電流のフェーザ表示を表現できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 電気量と回路素子の物理的意味と計算法,直流回路網の合成抵抗,電流,電圧の計算法,キルヒホッフの法則および各種定理を用いた計算法を学習する。さらに,交流回路の極表示,フェーザ表示,複素数表示を理解し,インピーダンス,アドミタンスの計算とその直並列接続における電流,電圧の計算法も学習する。直流回路・交流回路の諸定理,計算法など電気回路の基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
 初めの1時間の授業にて基本的な内容を理解し,残りの1時間で演習問題を解くことによって実践的な理解を深める。前期の途中で直流回路の実験を行い,各実験機器の取り扱い方と電気計測の基礎について学ぶ。
注意点:
 本科目は,1年次の創造工学「電気回路入門」から継続する科目である。基本的な電気回路演習を解くことにより,回路解析法などの理解を深める。三角関数,複素数などの知識も必要である。さらに,直流回路の実験を通して,各実験機器の取り扱い方,電気計測の原理を学ぶ。3年生の「電気回路」,「電子回路基礎」に継続されるので,基礎知識をしっかり身につけることが重要である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 基礎電気量(抵抗,電流,電圧,電力,電力量) 基礎電気量と回路素子の物理的な意味を理解し,計算ができる。
2週 直流電源とオームの法則
電位と電圧降下
オームの法則の計算ができる。電位、電圧降下の説明ができる。
3週 抵抗の並列接続とキルヒホッフの第1法則 抵抗の並列接続が理解でき、それによる電流の分配(分流)について説明することができる。
4週 抵抗の直列接続とキルヒホッフの第2法則 抵抗の並列接続が理解でき、それによる電圧の分配(分圧)について説明することができる。
5週 抵抗の直並列回路の回路解析
(網目電流法、閉ループ電流法)
回路網方程式を導出し、直流回路網の合成抵抗,電流,電圧を導出することができる。
6週 演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間) 直列・並列接続の分圧・分流の計算ができる。電卓を使わないで有効数字4桁程度の四則演算を速く正確にできる。
7週 電力と電力量、最大電力供給
演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間)
演習問題により、消費電力、最大電力供給条件を解くことができる。また、相互に学び合うことができる。
8週 Δ-Y変換
演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間)
回路方程式を用いて、Δ→Y、Y→Δの変換を説明することができる。また、変換を用いて、回路網を解くことができる。また、相互に学び合うことができる。
2ndQ
9週 前期中間試験
10週 ホイートストンブリッジ回路と平衡条件 ホイートストンブリッジ回路の平衡条件を理解できる。
11週 重ねの理 直流回路網を重ねの理を用いて解法することができる。
12週 鳳・テブナンの定理 鳳・テブナンの定理を重ねの理を用いて解法することができる。
13週 分流器、倍率器 分流器、倍率器がどのように活用されているかが説明できる。
14週 電力と電力量、最大電力供給
演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間)
各種定理を用いて、直流回路を解くことができる。
15週 前期期末試験 前期期末試験の実施
16週 前期期末試験の返却 前期期末試験の答案返却と解説
後期
3rdQ
1週 正弦波交流の瞬時値、平均値,実効値、位相 正弦波交流における諸定数を説明することができる。
2週 正弦波交流の極表示,複素数表示 正弦波交流の瞬時値表示と極表示、複素表示の変換をすることができる。
3週 交流における抵抗の振舞い
インピーダンス、アドミッタンス、直列接続、並列接続
交流における抵抗の働き、インピーダンス、アドミッタンスを説明することができる。
4週 交流におけるコイルの振舞い
インピーダンス、アドミッタンス、直列接続、並列接続
交流におけるコイルの働き、インピーダンス、アドミッタンスを説明することができる。
5週 交流におけるコンデンサの振舞い
インピーダンス、アドミッタンス、直列接続、並列接続
交流における抵抗の働き、インピーダンス、アドミッタンスを説明することができる。
6週 演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間) 各素子の働きを説明することができる。
複素表示、極表示を用いて、簡単な回路を解くことができる。
7週 実験(交流回路素子の実験) 交流回路における電圧測定、電流測定により、各種電圧をテスタ、オシロにて計測し、学習した内容との整合性を確認する。
8週 実験報告会(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間) KPT法による実験での自分たちの参加度の評価をすることができる。
報告を聞いて、発表者に適切な意見を述べることができる。
4thQ
9週 後期中間試験
10週 RL直列接続回路 電圧と電流の位相差、合成インピーダンスを用いて、回路を解くことができる。
11週 RC直列接続回路 電圧と電流の位相差、合成インピーダンスを用いて、回路を解くことができる。
12週 演習(アクティブラーニング【ジグソー法】による能動的学習時間) フェーザ表示,極表示および複素数表示により,インピーダンスとアドミタンスを計算し,RL,RC直列接続における電流,電圧を自在に計算できる。
13週 RLC直列接続回路と直列共振
電圧と電流の位相差、合成インピーダンスを用いて、回路を解くことができる。
直列共振について、電圧、電流、インピーダンスを用いて説明することができる。
14週 演習 フェーザ表示,極表示および複素数表示により,インピーダンスとアドミタンスを計算し,RL,RC並列接続における電流,電圧を自在に計算できる。
15週 後期期末試験 後期期末試験の実施
16週 後期期末試験の返却 後期期末試験の答案返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前2
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。4
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。4
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。2
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。2
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。2
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。2
静電エネルギーを説明できる。2
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。4
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。4
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。2
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。2
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。4
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。4
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。4
オシロスコープの動作原理を説明できる。2
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。2
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3
直流回路論における諸定理について実験を通して理解する。4
交流回路論における諸現象について実験を通して理解する。3

評価割合

試験演習合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100