通信工学基礎実験

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 通信工学基礎実験
科目番号 0046 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報ネットワーク工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 教員作成資料
担当教員 佐藤 公男,鈴木 哲,脇山 俊一郎,速水 健一

到達目標

・電気・電子回路基礎実験では,各テーマの実験要項から,実験の目的,原理,方法等を正しく読み解き,回路図に基づいて実際の回路を正しく接続でき,その動作を確認できる。
・ネットワーキング基礎実験では,ルータ及びルーティングの設定方法を習得し,与えられた条件のもとで小規模なネットワークを設計・構築ができる。
・実験で得られた結果について,グループディスカッションを通じて,要点を的確に整理できる。
・わかりやすい実験レポートの作成とプレゼンテーションを行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 電気回路基礎実験実験が完了でき,その動作原理を正しく理解している。実験が完了でき,その動作原理を概ね理解している。実験は完了できたが,その動作原理の理解が不十分である。
評価項目2 電子回路基礎実験実験が完了でき,その動作原理を正しく理解している。実験が完了でき,その動作原理を概ね理解している。実験は完了できたが,その動作原理の理解が不十分である。
評価項目3 ネットワーキング基礎実験ネットワークの基本構成が理解でき,与えられた条件下での設計・構築が正しくできる。ネットワークの基本構成を理解でき,与えられた条件下での設計・構築が概ねできる。ネットワークの基本構成の理解と与えられた条件下の設計・構築がともに不十分である。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 通信機器や情報通信システム構築に必要なハードウェア・ソフトウェアの知識と技術の習得
学習・教育到達度目標 2 コンピュータネットワークを設計・構築・運用できる知識と技術の習得

教育方法等

概要:
本実験は,低学年における専門基礎科目として重要な位置付けにある電気回路,電子回路及びネットワーキングの基礎について,講義によって学習した内容を振り返り,実験を通じて理解を確実なものとする。
授業の進め方・方法:
電気・電子回路基礎実験では,クラスを4名程度のグループに分け,全員が同じテーマで一斉に実施する。本質的な内容だけに絞り込み,授業時間内で回路の動作と原理について理解できるようにする。ネットワーキング基礎実験では,シミュレータや実際のネットワーキング機器等を用いた実習に加え,Cisco Networking Academy Programが提供するWeb教材でのオンライン試験も並行して実施する。
注意点:
各回の実験では必ずノートにメモを取り,不明な点は,担当教員と積極的にコミュニケーションをとりながら実験を進めること。得られた結果について,グループ内でディスカッションを行った上で要点を絞り込み,レポートあるいは発表資料としてまとめること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気・電子回路基礎実験ガイダンス ・授業の到達目標,実験の進め方と方法,注意点等について把握できる。
2週 電源の内部抵抗及び電圧降下法による抵抗測定 ・電源の内部抵抗の存在とその影響について確認できる。
・測定抵抗の大小に電圧計と電流計の接続順序が関係してくることを確認できる。
3週 倍率器・分流器及びホイートストンブリッジ ・抵抗を外付けすることによって,電圧計と電流計の読みを拡大できることを確認できる。
・ブリッジの平衡条件,及びその条件を用いた未知抵抗の測定方法について確認できる。
4週 交流基本回路のインピーダンス測定 ・L,Cのインピーダンスが周波数に依存すること,及びR,L単体とRL直列回路のインピーダンスの大きさの関係式について確認できる。
5週 RC回路の周波数特性と過渡現象 ・RC回路がローパスフィルタになることを確認し,グラフから遮断周波数を求めることができる。
・RC回路の過渡現象を確認し,波形から時定数を求めることができる。
6週 RLC直列共振回路 ・RLC直列回路の共振現象を確認し,グラフから共振周波数及びQ値を求めることができる。
7週 振り返りグループ演習1 ・電気回路基礎実験の関連テーマについて,PBL型の調べグループ学習等を行い,その内容を理解することができる。
8週 電気回路基礎実験発表会 ・各グループに指定された実験テーマについて,要点をスライドにまとめ,わかりやすい発表ができる。
2ndQ
9週 UTPケーブル製作実習 ・UTPケーブル(ストレートケーブル)を正しく製作し,品質検査ができる。
10週 ネットワーキング基礎実習1 ・DHCPおよび手動設定でのパソコンのLAN接続ができる。
・DNSの役割を適切に説明することができる。
11週 ネットワーキング基礎実習2 ・tracerouteコマンドやwhoisデータベースを用いて,ネットワーク地図を描くことができる。
・ネットワーク地図からインターネットのネットワークの相互接続の状況を説明できる。
12週 ダイオードの基本特性1 ・SiダイオードとGeダイオードの順方向及び逆方向の電圧-電流特性の違い,及び順方向の導通時の電圧値について確認できる。
13週 ダイオードの基本特性2 同上
14週 振り返りグループ演習2 ・前期分の実験内容を振り返り,各自が到達度について評価し,必要に応じて不足分を補うことができる。
15週 振り返りグループ演習3
同上
16週
後期
3rdQ
1週 整流・平滑回路1 ・半波・全波整流及び平滑の方法と動作原理について確認できる。
2週 整流・平滑回路2 同上
3週 トランジスタの基本特性1 ・エミッタ接地NPN型トランジスタ回路の静特性として,VBE-IB特性,IB-IC特性,VCE-IC特性について確認できる。
4週 トランジスタの基本特性2 同上
5週 振り返りグループ演習4 ・電子回路基礎実験の関連テーマについて,PBL型の調べグループ学習等を行い,その内容を理解することができる。
6週 電子回路基礎実験発表会 ・各グループに指定された実験テーマについて,要点をスライドにまとめ,わかりやすい発表ができる。
7週 ルータ設定基礎実習1 ・コマンドラインからのルータの基本設定を,指示書に従って行うことができる。
8週 ルータ設定基礎実習2 同上
4thQ
9週 振り返りグループ演習5 ・ネットワーキング基礎実験の関連テーマについて,PBL型の調べグループ学習等を行い,その内容を理解することができる。
10週 ルーティング設定実習1 ・スタティックルーティングの設定を正確に行うことができる。
・ルーティングテーブルの内容を表示し,表示内容について適切に説明することができる。
11週 ルーティング設定実習2 ・ダイナミックルーティング(RIP)の設定を正確に行うことができる。
・ダイナミックルーティングを用いることの利点を説明できる。
12週 ネットワーク構築実習1 ・与えられた条件をもとにIPアドレスの設計(サブネット設計)を行い,ルータを適切に設定し,ネットワークが正常に稼働することを確認できる。
13週 ネットワーク構築実習2 同上
14週 ネットワーク構築実技試験 ・参考書やノート等の資料を一切参照せず,単独・自力で与えられた条件をもとにネットワークを設計・構築し,動作確認ができる。
15週 振り返りグループ演習6 ・後期分の実験内容を振り返り,各自が到達度について評価し,必要に応じて不足分を補うことができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。4
安全を確保して、実験を行うことができる。4
実験報告書を決められた形式で作成できる。4
有効数字を考慮して、データを集計することができる。4
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。4
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。4
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。4
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。4
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。4
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。4
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。4
オシロスコープの動作原理を説明できる。3
情報系分野情報通信ネットワークローカルエリアネットワークの概念を説明できる。3
インターネットの概念を説明できる。3
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。3
有線通信の仕組みと規格について説明できる。3
基本的なルーティング技術について説明できる。3
その他の学習内容少なくとも一つの具体的なコンピュータシステムについて、起動・終了やファイル操作など、基本的操作が行える。3
少なくとも一つの具体的なオフィススイート等を使って、文書作成や図表作成ができ、報告書やプレゼンテーション資料を作成できる。3
少なくとも一つのメールツールとWebブラウザを使って、メールの送受信とWebブラウジングを行うことができる。3
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。4
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。4
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。4
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。4
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。4
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。4
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。4
共振について、実験結果を考察できる。4
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3

評価割合

試験プレゼンテーションレポート合計
総合評価割合402040100
基礎的能力30102060
専門的能力10102040
分野横断的能力0000