到達目標
【学習・教育目標】
(C)情報工学あるいは電子工学の分野で,人間性豊かなエンジニアとして活躍するための知識を獲得すること。
・ダイオード,トランジスタで構成された回路の基本的特性を理解し,その動作原理を説明できる。
・差動増幅回路の動作原理を理解,説明できる。
・デシベルの計算ができる。
・オペアンプの回路構成や動作原理を理解し,電圧増幅率の計算ができる。
・各種演算回路の動作原理を理解し,必要に応じて回路設計できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
オペアンプ回路の動作原理 | 非反転・反転増幅回路について,動作原理を理解し,電圧増幅率の計算ができる。ヴァーチャルショート,ヴァーチャルグランドを説明できる。簡単な回路設計ができる。 | 非反転・反転増幅回路について,動作原理を理解し,電圧増幅率の計算ができる。ヴァーチャルショート,ヴァーチャルグランドを説明できる。 | 非反転・反転増幅回路について,動作原理と電圧増幅率の計算ができない。 |
各種演算回路の動作原理 | 線形演算回路(加算・減算・微分・積分回路)の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途およびスルーレートを説明できる。 | 線形演算回路(加算・減算・微分・積分回路)の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途を理解できる。 | 線形演算回路(加算・減算・微分・積分回路)の動作原理を理解ない。 |
フィルタ回路,発振回路の動作原理 | ローパス・ハイパスフィルタ回路,各発振回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。 | ローパス・ハイパスフィルタ回路,各発振回路の動作原理を理解できる。 | ローパス・ハイパスフィルタ回路,発振回路の動作原理を理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 1 通信機器や情報通信システム構築に必要なハードウェア・ソフトウェアの知識と技術の習得
JABEE d 当該分野で必要な知識と応用能力
教育方法等
概要:
3年の電子回路基礎で学んだトランジスタ増幅回路の知識を基にして,より高度で複雑な回路について学習する。オペアンプ内部の回路構成,負帰還を施したオペアンプ回路,線形演算回路である加算回路,減算回路,微分回路,積分回路について原理と設計法を学習する。さらに,非線形回路,発振回路,アクティブフィルタについても原理と設計法を学習する。
電気信号の増幅回路の大部分はオペアンプを用いて構成されている。このオペアンプの基本的特性を理解し,線形演算回路の動作原理や設計法などを修得する。
この科目は,無線従事者長期型養成課程の対象科目である。
授業の進め方・方法:
「電子回路」ではオペアンプに関する基本的内容を理解し,並行して開講される「通信工学実験」での実習を通して,回路の動作を理解する。
この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習として,演習やレポートを実施することがある。
注意点:
本科目は,3年までに学習した「電子回路基礎」,「電気回路学」の知識が基礎になっている。また,後期の「高周波回路」に繋がる科目であるため,オペアンプの基礎をしっかり身につけることが重要である。自学自習方法として,授業で出された演習や配布資料をしっかりと復習することが大事である。また,必要に応じて,交流の正弦波の基礎,ダイオードとトランジスタの基本的特性,トランジスタの増幅作用と各種バイアス回路を復習するとよい。回路の解析においては,三角関数,微分・積分などの数学的知識も重要である。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
半導体素子の性質 |
トランジスタなど,ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。
|
2週 |
ダイオード,トランジスタ回路 |
ダイオードの整流作用を理解し,クリップ回路などの動作原理を説明できる。
|
3週 |
差動増幅回路 |
差動増幅回路の動作とその特性を理解できる。電圧・電流利得のデシベル(dB)の計算ができる。
|
4週 |
オペアンプの概要 |
負帰還を施したオペアンプ回路の基本的動作を説明できる。
|
5週 |
非反転増幅回路,反転増幅回路 |
非反転・反転増幅回路について,動作原理を理解し,電圧増幅率の計算ができる。ヴァーチャルショート,ヴァーチャルグランドを説明できる。簡単な回路設計ができる。
|
6週 |
加算回路 |
加算回路,減算回路の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途を説明できる。スルーレートを説明できる。
|
7週 |
減算回路 |
加算回路,減算回路の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途を説明できる。スルーレートを説明できる。
|
8週 |
前期中間試験 |
|
2ndQ |
9週 |
微分回路,積分回路1 |
微分回路,積分回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
|
10週 |
微分回路,積分回路2 |
微分回路,積分回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
|
11週 |
アクティブフィルタ回路1 |
ローパス・ハイパスフィルタ回路の動作原理を理解できる。
|
12週 |
アクティブフィルタ回路2 |
ローパス・ハイパスフィルタ回路の動作原理を理解できる。
|
13週 |
発振回路1 |
ウィーンブリッジ型発振回路など,各発振回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
|
14週 |
発振回路2 |
ウィーンブリッジ型発振回路など,各発振回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
|
15週 |
前期期末試験 |
|
16週 |
|
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 4 | |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 4 | |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 4 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 4 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 4 | 前2 |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 前2 |
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。 | 4 | 前3 |
演算増幅器の特性を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
発振回路の特性、動作原理を説明できる。 | 4 | 前13,前14 |
電子工学 | 真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 4 | 前1 |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 4 | 前2 |
計測 | オシロスコープの動作原理を説明できる。 | 4 | |
情報系分野 | その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 4 | 前3,前5 |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 4 | 前1 |
分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | 増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。 | 4 | |
論理回路の動作について実験結果を考察できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 5 | 65 |
専門的能力 | 30 | 5 | 35 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |