電磁気学にかかわる物理量の定義及び法則を正しく理解し,電磁気現象を正しく把握できる。それに基づき電磁気の問題を解決でき,さらにそれを簡単な問題に応用できるようにする。
概要:
本講義ではまず電磁気学で重要な役割を担うベクトル解析,線・面・体積積分,微分方程式と波動論など数学的な計算力を簡潔に解説する。それから目に見えない電界と磁界の概念を導入し,ベクトル解析など数学知識に基づき電磁気学の重要な概念,法則,現象などの定性的かつ定量的に理解する。そこで,クーロンの法則に基づく静電界と力,ガウスの法則に基づく電界,電位等,アンペアの法則とビオ・サバールの法則に基づく磁界,磁界中の電流(電荷)に作用する力等について学習し,電磁気学の「静電気」と「静磁気」における諸現象の理論的な理解を深める。また,時間的に変化する磁界と電界の振る舞いを学び,変位電流と物質中のマクスウェルの方程式を導出し,電磁波伝搬などの電磁界現象を説明する。
授業の進め方・方法:
・座学と練習で組み合わせで進み、また小テストで理解度を確認する。
・この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートを実施する。
注意点:
・3学年の物理IIの内容は既知とする。
・ベクトル解析,線・面・体積積分,微分方程式と波動論を予習または復習すること。
・テキストを自分でしっかり読んで予習・復習する習慣を養うこと。
・数式を暗記するのではなく,その意味を視覚的にとらえることにより確実に理解し,物理現象との対応を確認する習慣をつけること。
・電磁気学に関する概略を理解できるように努めること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 3 | 前1 |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 3 | 前1,前2 |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 3 | 前2 |
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。 | 3 | 前2 |
自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | 前1 |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 3 | 前1 |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | 前4 |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | 前1 |
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。 | 3 | 前1 |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | 前1 |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | 前1 |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | 前1 |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | 前1 |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 3 | 前1 |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | 前1 |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | 前1 |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | 前4 |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | 前1 |
運動の法則について説明できる。 | 3 | 前1 |
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。 | 3 | 前1 |
最大摩擦力に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
動摩擦力に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
仕事と仕事率に関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | 前4 |
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 3 | 前1 |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | 前1 |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | 前1 |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | 前1 |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | 前1 |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる. | 3 | 前4 |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | 前1 |
角運動量を求めることができる。 | 3 | 前1 |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 3 | 前1 |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
重心に関する計算ができる。 | 3 | 前1 |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 3 | 前1 |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 3 | 前1 |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 前14 |
電気 | 電場・電位について説明できる。 | 4 | 前4 |
クーロンの法則が説明できる。 | 4 | 前4 |
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 4 | 前4 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電磁気 | 電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。 | 4 | 前4 |
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。 | 4 | 前4 |
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。 | 4 | 前7 |
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。 | 4 | 前4 |
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。 | 4 | 前5 |
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。 | 4 | 前7 |
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。 | 4 | 前7 |
静電エネルギーを説明できる。 | 4 | 前7 |
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。 | 4 | 前8 |
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。 | 4 | 前9 |
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。 | 4 | 前12 |
磁界中の電流に作用する力を説明できる。 | 4 | 前11 |
ローレンツ力を説明できる。 | 4 | 前11 |
磁気エネルギーを説明できる。 | 4 | 前11 |
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。 | 4 | 前8 |
自己誘導と相互誘導を説明できる。 | 4 | 前10 |
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。 | 4 | 前10 |