電気回路学

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気回路学
科目番号 0207 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報ネットワーク工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「電気回路の基礎」 西巻正郎・森武昭・荒井俊彦 著 (森北出版),「続 電気回路の基礎」 西巻正郎・下川博文・奥村万規子 (森北出版)
担当教員 佐藤 公男

到達目標

 直流回路と交流回路の取り扱い方や電気回路の過渡現象の解析方法を習得し,情報系における電気電子関連科目を履修するのに必要な基礎能力を養うこと。
 正弦波交流回路の複素計算を確実なものとし,基本法則や諸定理を用いた電気回路のより高度な解析手法や知識を習得すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 過渡現象の基礎過渡現象の原理と応用について,正しく理解している。過渡現象の原理について,概ね理解している。過渡現象の原理について,理解していない。
評価項目2 交流回路の基礎交流回路の電力や周波数特性などの基礎的な計算力が十分に身についている。交流回路の電力や周波数特性などの基礎的な計算力が概ね身についている。交流回路の電力や周波数特性などの基礎的な計算力が身についていない。
評価項目3 交流回路の応用結合回路,共振回路,四端子回路など,交流回路の展開力が十分に身についている。結合回路,共振回路,四端子回路などについて,概ね理解している。結合回路,共振回路,四端子回路などについて,理解していいない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 交流回路網と等価回路の解析,交流回路の電力,交流回路のキルヒホッフの法則,重ね合わせの理,鳳・テブナンの定理を学習する。
 さらに,進んだトピックスとして交流回路の周波数特性,フィルタ回路,共振回路,誘導結合回路,過渡現象,四端子回路などについて学習する。正弦波交流回路の基本法則や諸定理,およびこれらを用いた回路網解析法を修得する。
授業の進め方・方法:
 各回の授業では,前半は板書による解説,後半はそれに関する演習を行い,それらの内容及び解答のすべてをノートに確実に記すことを基本とする。
注意点:
 正弦波交流の問題を扱う場合は,電圧・電流の複素数表現から瞬時値表現に変換できてはじめて交流回路を理解したといえる。すなわち,瞬時値表現が電圧・電流の実体であって,複素数表現はそこに至る計算手段であることを常に意識すること。
 演習については提出の際に口頭でその理解度を確認するので,必ず自分で納得してから提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 過渡現象1 RC回路について,キャパシタの充電・放電,微分方程式,時定数,接線の足の長さ,エネルギー等が理解できる。
2週 過渡現象2 同上
3週 過渡現象3 過渡現象の直感的解法である一般式(初期値,最終値,時定数)が理解できる。
4週 過渡現象4 RL回路について,インダクタの励磁,時定数,スイッチを切るときの現象等が理解できる。
5週 過渡現象5 同上
6週 交流回路の電力1 瞬時電力,電力の平均値(有効電力),力率が計算できる。
7週 交流回路の電力2 無効電力と皮相電力について理解できる。複素電力から,有効電力,無効電力等が計算できる。
8週 前期中間試験答案返却と解説 試験の正答について確実に理解できる。
2ndQ
9週 交流回路の周波数特性1 RL,RC,RLC回路のインピーダンス軌跡とアドミタンス軌跡を描くことができる。
10週 交流回路の周波数特性2 同上
11週 交流回路の周波数特性3 ローパスフィルタ,ハイパスフィルタについて理解できる。
12週 共振回路1 RLC直列共振回路の電流の変化,共振周波数,共振時の電流電圧,共振現象の考え方,半値幅,共振の鋭さなどについて理解できる。
13週 共振回路2 同上
14週 共振回路3 RLC並列共振回路の電圧の変化,並列共振周波数について理解できる。
15週 前期期末試験答案返却と解説 試験の正答について確実に理解できる。
16週
後期
3rdQ
1週 結合回路1 自己インダクタンスと相互インダクタンスとその違いについて理解でき,結合回路の基本式を導出できる。
2週 結合回路2 結合回路の極性が理解でき,T形等価回路を導出し,合成インダクタンスが計算できる。
3週 結合回路3 同上
4週 結合回路4 理想変成器や整合変圧器の原理について理解できる。
5週 四端子回路1 インピーダンス行列(Z行列),アドミタンス行列(Y行列)及び縦続行列(F行列)について,理解することができる。
6週 四端子回路2 基本的な回路について,Z行列,Y行列及びF行列を計算できる。
7週 四端子回路3 直列,並列及び縦続接続回路について,それぞれZ行列,Y行列及びF行列を計算できる。
8週 後期中間試験答案返却と解説 試験の正答について確実に理解できる。
4thQ
9週 交流回路総合演習1 複素電圧・電流,インピーダンス,アドミタンス,実効値,位相角,瞬時値表現等について,確実に計算できる。
10週 交流回路総合演習2 同上
11週 交流回路総合演習3 交流回路におけるブリッジの平衡条件,重ねの理やテブナンの定理などの各種基本定理を確実に使うことができる。
12週 交流回路総合演習4 同上
13週 交流回路総合演習5 共振回路,結合回路,四端子回路に関する基本問題の計算を確実にできる。
14週 交流回路総合演習6 同上
15週 後期期末試験答案返却と解説 試験の正答について確実に理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。4
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。3
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力7000001080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000