ディジタル技術

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 ディジタル技術
科目番号 0208 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報ネットワーク工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「論理回路の基礎」長島他 著(日刊工業新聞社),「レジスタと演算回路」加藤他 著(日刊工業新聞社),「アナログ ディジタル変換」 鹿股他 著 (日刊工業新聞社)
担当教員 平塚 眞彦,矢島 邦昭

到達目標

カウンタ等の設計を通じて順序論理回路の設計法を習得する。また,アナログ・ディジタル(A/D), ディジタル・アナログ(D/A)変換器の学習を通じてアナログ回路とディジタル回路をつなぐ技術を習得する。さらに,ゲートの内部構造と電気的特性を学習する。これらを通じて小規模なディジタル回路を解析・設計できるようになることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1カウンタ等の設計を通じて順序論理回路の設計法を理解し,正しく利用することができる。カウンタ等の設計を通じて順序論理回路の設計法の基本的な仕組みを理解している。カウンタ等の設計を通じて順序論理回路の設計法の基本的な仕組みを理解できていない。
評価項目2アナログ・ディジタル(A/D), ディジタル・アナログ(D/A)変換器の学習を通じてアナログ回路とディジタル回路をつなぐ仕組みを理解し,正しく利用することができる。アナログ・ディジタル(A/D), ディジタル・アナログ(D/A)変換器の学習を通じてアナログ回路とディジタル回路をつなぐ基本的な仕組みを理解している。アナログ・ディジタル(A/D), ディジタル・アナログ(D/A)変換器の学習を通じてアナログ回路とディジタル回路をつなぐ基本的な仕組みを理解できていない。
評価項目3F/Fを用いた順序論理回路の設計,アナログ・ディジタル変換の原理を理解し,正しく利用することができる。F/Fを用いた順序論理回路の設計,アナログ・ディジタル変換の原理の基本的な仕組みを理解している。F/Fを用いた順序論理回路の設計,アナログ・ディジタル変換の原理の基本的な仕組みを理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
基本的なフリップフロップ(F/F)であるRS-F/F,JK-F/Fについて理解し,他のF/Fの動作を学習する。カウンタ,レジスタ,シフトレジスタを理解し,データの操作を学習する。さらに,アナログ・ディジタル変換について,変換原理および回路構成を学習する。
F/Fを用いた順序論理回路の設計,アナログ・ディジタル変換の原理について修得する。
授業の進め方・方法:
授業は,講義(約67%)と演習・実験・実習(約33%)から構成される。
実習では,課題の答えをあらかじめ考え,それを実際の回路で確認する姿勢が大切である。すべての実験・実習には,報告書を提出させる。技術的な文書をまとめる能力を身につけることも重要である。
授業中はしっかりノートをとり,自学自習としてはテキスト,授業ノート,配布(Web)プリント資料をよく読み復習を重視すること。
注意点:
2年次の「ディジタル技術基礎」に継続する科目である。
授業を休んだ場合も,必ず欠席した部分を学習して,次の授業に備えることが大切である。
提出課題は,期限厳守であることを忘れないこと。
参考書等:
「基礎から学べる論理回路」速水治夫著(森北出版)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 DTL NAND回路の動作解析 DTL NAND回路の内容を理解した上で,実験・実習を行う。
DTL NAND回路の内部状態を解析できる。
2週 伝達特性,負荷特性の測定1 伝達特性,負荷特性からDTL NAND回路の特性を説明できる。
3週 伝達特性,負荷特性の測定2 伝達特性,負荷特性からDTL NAND回路の特性を説明できる。
4週 ノイズマージン,ファンアウト数
 演習1
実験・実習により動作確認をする。
DTL NAND回路の電気的特性を基に回路の利用法を習得する。また,TTL,CMOS NAND回路の特性を比較する。
5週 ノイズマージン,ファンアウト数
 演習2
実験・実習により動作確認をする。
DTL NAND回路の電気的特性を基に回路の利用法を習得する。また,TTL,CMOS NAND回路の特性を比較する。
6週 中間試験 中間試験の答案返却と解説
7週 フリップフロップの復習 RS-F/F,JK-F/Fをはじめ種々のF/Fの動作を理解できる。
8週 非同期式/同期式カウンタ 同期式と非同期式のカウンタの違いを理解し,順序論理回路の設計法により,同期式と非同期式のカウンタを設計する。非同期式カウンタと同期式カウンタの違いを説明できる。
2ndQ
9週 順序論理回路の設計法1 カウンタを中心とする順序論理回路を解析・設計できる。
10週 順序論理回路の設計法2 カウンタを中心とする順序論理回路を解析・設計できる。
11週 同期式カウンタの設計1 カウンタを中心とする順序論理回路を解析・設計できる。
12週 同期式カウンタの設計2 カウンタを中心とする順序論理回路を解析・設計できる。
13週 カウンタの実験1 フリップフロップなどの順序回路の基本素子について,その動作と特性を説明することができる。
14週 カウンタの実験2 レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。
与えられた簡単な順序回路の機能を説明することができる。
15週 期末試験の返却 期末試験の答案返却と解説
16週
後期
3rdQ
1週 多段カウンタ 多段カウンタ,ジョンソンカウンタ,リングカウンタの動作原理を理解できる。
2週 レジスタ レジスタの動作原理を理解できる。
3週 シフトレジスタ シフトレジスタの動作原理を理解し,設計ができ,その動作を説明できる。
4週 データ転送回路 カウンタ回路やレジスタ回路を応用して作られたデータ転送回路の種類について理解できる。
5週 レジスタに関する実験演習 カウンタ回路やレジスタ回路を応用して作られたデータ転送回路の種類について,実験・実習により動作確認をする。
6週 中間試験 中間試験の答案返却と解説
7週 A/D 変換器の原理 理想オペアンプの動作を理解し,それによりアナログ加算器が構成できることを説明できる。
8週 A/D,D/A変換のための実験準備
クロックパルス回路の発生クロックの計測
実験で使用する実験ボード、実験に必要な波形観測について準備することができる。実験結果から、発生クロックの妥当性を説明できる。
4thQ
9週 ディジタルからアナログへの変換の動作原理1
R-2Rラダー形D/A変換器の動作を説明できる。
10週 ディジタルからアナログへの変換の動作原理2 逆ラダー形D/A変換器の動作を説明できる。
A/D変換器の原理が理解できる。
11週 A/D変換に関する実験 A/D変換回路の動作原理が理解・説明できる。
12週 アナログからディジタルへの変換の動作原理1
逐次比較型A/D変換器の動作を説明できる。
13週 アナログからディジタルへの変換の動作原理2
逐次比較型A/D変換器、計数型A/D変換器
逐次比較型A/D,D/A変換回路の実験・実習を行う。電気的特性や仕様・性能を理解し,その説明をすることができる。
14週 D/A変換に関する実験1 逐次比較型A/D変換器の内部動作をオシロスコープで確認できる。
逐次比較型A/D変換器を理解し,タイムチャートを用いて動作を説明できる。
15週 D/A変換に関する実験2 逐次比較型A/D変換器の内部動作をオシロスコープで確認できる。
逐次比較型A/D変換器を理解し,タイムチャートを用いて動作を説明できる。
16週 期末試験の返却 期末試験の答案返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学基本的な論理演算を行うことができる。4
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4
論理式の簡単化の概念を説明できる。4
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。4
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。4
組合せ論理回路を設計することができる。4
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。4
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。4
与えられた順序回路の機能を説明することができる。4
順序回路を設計することができる。4
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。4
情報数学・情報理論ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。3
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。3
その他の学習内容オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。3
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。3
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた数値を別の基数を使った数値に変換できる。3
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。4

評価割合

定期試験実習課題・演習等合計
総合評価割合8020100
基礎的能力35540
専門的能力351045
分野横断的能力10515