概要:
3年の電子回路基礎で学んだトランジスタ増幅回路の知識を基にして,より高度で複雑な回路について学習する。オペアンプ内部の回路構成,負帰還を施したオペアンプ回路,線形演算回路である加算回路,減算回路,微分回路,積分回路について原理と設計法を学習する。さらに,非線形回路,発振回路,アクティブフィルタについても原理と設計法を学習する。
電気信号の増幅回路の大部分はオペアンプを用いて構成されている。このオペアンプの基本的特性を理解し,線形演算回路の動作原理や設計法などを修得する。
この科目は,無線従事者長期型養成課程の対象科目である。
授業の進め方・方法:
「電子回路」ではオペアンプに関する基本的内容を理解し,並行して開講される「通信工学実験」での実習を通して,回路の動作を理解する。
注意点:
本科目は,3年までに学習した「電子回路基礎」,「電気回路」の知識が基礎になっている。また,後期の「電子回路C」に繋がる科目であるため,オペアンプの基礎をしっかり身につけることが重要である。自学自習方法として,授業で出された演習や配布資料をしっかりと復習することが大事である。また,必要に応じて,交流の正弦波の基礎,ダイオードとトランジスタの基本的特性,トランジスタの増幅作用と各種バイアス回路を復習するとよい。回路の解析においては,三角関数,微分・積分などの数学的知識も重要である。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
半導体素子の性質 |
トランジスタなど,ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。
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2週 |
ダイオード,トランジスタ回路 |
ダイオードの整流作用を理解し,クリップ回路などの動作原理を説明できる。
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3週 |
差動増幅回路 |
差動増幅回路の動作とその特性を理解できる。電圧・電流利得のデシベル(dB)の計算ができる。
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4週 |
オペアンプの概要 |
負帰還を施したオペアンプ回路の基本的動作を説明できる。
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5週 |
非反転増幅回路,反転増幅回路 |
非反転・反転増幅回路について,動作原理を理解し,電圧増幅率の計算ができる。ヴァーチャルショート,ヴァーチャルグランドを説明できる。簡単な回路設計ができる。
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6週 |
加算回路 |
加算回路,減算回路の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途を説明できる。スルーレートを説明できる。
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7週 |
減算回路 |
加算回路,減算回路の動作原理を理解できる。ボルテージフォロワ回路の動作と用途を説明できる。スルーレートを説明できる。
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8週 |
前期中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
微分回路,積分回路1 |
微分回路,積分回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
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10週 |
微分回路,積分回路2 |
微分回路,積分回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
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11週 |
アクティブフィルタ回路1 |
ローパス・ハイパスフィルタ回路の動作原理を理解できる。
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12週 |
アクティブフィルタ回路2 |
ローパス・ハイパスフィルタ回路の動作原理を理解できる。
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13週 |
発振回路1 |
ウィーンブリッジ型発振回路など,各発振回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
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14週 |
発振回路2 |
ウィーンブリッジ型発振回路など,各発振回路の動作原理を理解できる。簡単な回路設計ができる。
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15週 |
前期期末試験 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 3 | |
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 3 | |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。 | 3 | |
電荷と電流、電圧を説明できる。 | 4 | |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 4 | |
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 4 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 4 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 4 | 前2 |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 前2 |
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。 | 4 | 前3 |
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。 | 4 | |
演算増幅器の特性を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
発振回路の特性、動作原理を説明できる。 | 4 | 前13,前14 |
電子工学 | 真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 4 | 前1 |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 4 | 前2 |
計測 | オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。 | 4 | |
オシロスコープの動作原理を説明できる。 | 4 | |
情報系分野 | その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 4 | 前3,前5 |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 4 | 前1 |
分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | 半導体素子の電気的特性の測定法を習得し、実験を通して理解する。 | 3 | |
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。 | 4 | |
論理回路の動作について実験結果を考察できる。 | 3 | |