複素関数論

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 複素関数論
科目番号 0258 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報ネットワーク工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 【複素関数】「新応用数学」高遠節夫 他(大日本図書)
担当教員 袁 巧微

到達目標

【学習・教育目標】
 (C)情報工学あるいは電子工学の分野で,人間性豊かなエンジニアとして活躍するための知識を獲得すること。

工学の基本的問題を解決するために必要な数学の知識、計算技術および応用能力を修得させ、この知識および技術等を工学における現象面と関連づけて活用する能力を養う。具体的には複素関数に於いては,複素関数の基本的性質を理解し,複素積分を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
複素解析複素関数の基本的性質を理解し,抽象的な複素積分の計算ができる。具体的な複素積分の計算ができる。複素積分の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE c 数学,自然科学の知識と応用能力

教育方法等

概要:
複素関数は回路の問題や信号処理に用いられるラプラス変換の逆変換を初めとし,電磁気学,電気回路,量子力学などの物理的,工学的問題の解法に欠かせない数学的手段である。学生が将来技術者となったときに数学を理工学の道具として使えることを目的とし,第3学年までに学んできた実数上の概念を拡張し,複素関数の基本的性質の理解とその取り扱いに習熟するとともに,理工学分野への応用という観点からの理解を深めさせる。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業(反転授業形式)である。理解を深めるために演習問題を解く機会を出来るだけ多く取るので,積極的に取り組むこと。
注意点:
本科目の学習内容は,物理学,工学分野への応用に欠かせない。第3学年までに学習したベクトル,行列,数列,級数,極限などの数学的基礎を理解し,行列式の計算,三角関数や実関数の微分・積分など基本的計算には充分習熟していることが望まれる。各自が電気回路や力学のイメージを持ちながら数式を学ぶようにするとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1. 正則関数
複素数と極形式表現
絶対値と偏角
複素数の基本的性質を理解し,2次元複素平面での極形式表現に習熟する。
2週 複素関数 複素数を変数とする関数の基本的性質を理解できる。
3週 正則関数1 正則とは何かを理解し,複素関数の導関数を求められる
4週 正則関数2 コーシー・リーマンの微分方程式の持つ意味を理解する。
5週 正則関数による写像 関数が正則な領域の概念を理解する。
6週 逆関数 正則関数の逆関数について理解する。
7週 中間試験 これまで講義された基本的事項を理解している。
8週 2. 積分
複素積分(線積分)
複素平面上で曲線を表現でき,その曲線にそった複素積分を求められる。
4thQ
9週 コーシーの積分定理 コーシーの積分定理を理解し,その応用ができる。
10週 コーシーの積分表示 コーシーの積分表示を用いて複素積分の評価ができる。
11週 数列と級数 複素数列に対する理解を深め,実数列同様の計算ができる。
12週 関数の展開 正則関数のテイラー展開ができる。
13週 孤立特異点と留数 孤立特異点について理解し留数を計算できる。
14週 留数の定理 特異点と留数定理についての基本的概念が理解できる。
15週 期末試験の返却 期末試験の答案返却と解説
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3後1
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3後1
分数式の加減乗除の計算ができる。3後1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3後1
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3後1
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3後1,後2
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3後1
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3後1
簡単な連立方程式を解くことができる。3後1
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3後1
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3後1
恒等式と方程式の違いを区別できる。3後1
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3後1
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後1
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3後6
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3後1
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後1
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3後1
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後1
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後1
角を弧度法で表現することができる。3後1
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後1
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3後1
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後1
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3後1
一般角の三角関数の値を求めることができる。3後1
2点間の距離を求めることができる。3後1
内分点の座標を求めることができる。3後1
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3後1
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3後1
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3後1
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3後1
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3後11
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3後11
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3後11
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3後11
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3後1
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3後1
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3後1
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3後1
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3後1
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3後1
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3後1
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3後1
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3後1
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3後1
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3後1
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3後1
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3後3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3後1
合成関数の導関数を求めることができる。3後1
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3後1
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3後1
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3後1
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3後1
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3後1
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3後1
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3後1
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3後1,後8
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3後1,後8
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3後1,後8
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3後1,後8
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3後1,後8
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3後8
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3後1
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3後1
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3後1
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3後1
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3後1
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3後1
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3後1
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3後1
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3後4
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3後8
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3後11,後12
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3後12
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3後12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合7001001010100
基礎的能力7001001010100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000