応用数学B

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 応用数学B
科目番号 0015 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報システム工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 【複素関数】「新応用数学」高遠節夫 他(大日本図書)【線形代数】「詳解演習 線形代数」水田義弘(サイエンス社)
担当教員 下田 泰史,岡本 圭史

到達目標

工学の基本的問題を解決するために必要な数学の知識、計算技術および応用能力を修得させ、この知識および技術等を工学における現象面と関連づけて活用する能力を養う。具体的には複素関数に於いては,複素関数の基本的性質を理解し,複素積分を行うことができる。線形代数に於いては,ベクトル,行列の基本的性質を理解し,行列の対角化,及び固有値と固有ベクトルを求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
複素解析複素関数の基本的性質を理解し,抽象的な複素積分の計算ができる。具体的な複素積分の計算ができる。複素積分の計算ができない。
線形代数ベクトル,行列の基本的性質を理解し,行列の対角化,及び固有値と固有ベクトルを求めることができる。行列の対角化,及び固有値と固有ベクトルを求めることができる。行列の対角化,及び固有値と固有ベクトルを求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
複素関数は回路の問題や信号処理に用いられるラプラス変換の逆変換を初めとし,電磁気学,電気回路,量子力学などの物理的,工学的問題の解法に欠かせない数学的手段である。学生が将来技術者となったときに数学を理工学の道具として使えることを目的とし,第3学年までに学んできた実数上の概念を拡張し,複素関数の基本的性質の理解とその取り扱いに習熟するとともに,理工学分野への応用という観点からの理解を深めさせる。
授業の進め方・方法:
複素関数・線形代数ともに講義形式の授業である。理解を深めるために演習問題を解く機会を出来るだけ多く取るので,積極的に取り組むこと。
注意点:
本科目の学習内容は,物理学,工学分野への応用に欠かせない。第3学年までに学習したベクトル,行列,数列,級数,極限などの数学的基礎を理解し,行列式の計算,三角関数や実関数の微分・積分など基本的計算には充分習熟していることが望まれる。各自が電気回路や力学のイメージを持ちながら数式を学ぶようにするとよい。週4時間のうち2時間を複素関数(担当:岡本),2時間を線形代数(担当:下田)の講義とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【複素関数】
1. 正則関数
複素数と極形式表現
絶対値と偏角
【線形代数】
1. 行列1
【複素関数】
複素数の基本的性質を理解し,2次元複素平面での極形式表現に習熟する。
【線形代数】
行列の定義を理解し,和・差・積の計算ができる。
2週 【複素関数】
複素関数
【線形代数】
行列2
【複素関数】
複素数を変数とする関数の基本的性質を理解できる。
【線形代数】
逆行列の定義を理解し,正方行列の逆行列を求めることができる。
逆行列の定義を理解し,正方行列の逆行列を求めることができる。
3週 【複素関数】
正則関数1
【線形代数】
2. 連立1次方程式
掃き出し法,連立1次方程式の解法1
【複素関数】
正則とは何かを理解し,複素関数の導関数を求められる。
【線形代数】
掃き出し法を用いて連立1次方程式が解ける。
4週 【複素関数】
正則関数2
【線形代数】
掃き出し法,連立1次方程式の解法2
【複素関数】
コーシー・リーマンの微分方程式の持つ意味を理解する。
【線形代数】
連立1次方程式の解と係数行列の階数との関係を理解する。
5週 【複素関数】
正則関数による写像
【線形代数】
3. 行列式
行列式の性質,行列式の計算
【複素関数】
関数が正則な領域の概念を理解する。
【線形代数】
行列式の定義および性質を理解し,基本的な行列式の値を求めることができる。
6週 【複素関数】
逆関数
【線形代数】
余因子行列
【複素関数】
正則関数の逆関数について理解する。
【線形代数】
余因子行列を求めることができ余因子展開による行列式の計算ができる。
【線形代数】
余因子行列を求めることができ余因子展開による行列式の計算ができる。
7週 【複素関数】
中間試験
【線形代数】
4. n次元ベクトル空間
【複素関数】
これまで講義された基本的事項を理解している。
【線形代数】
任意次元のベクトルの基本的な計算ができる。
8週 【複素関数】
2. 積分
複素積分(線積分)
【線形代数】
中間試験
【複素関数】
複素平面上で曲線を表現でき,その曲線にそった複素積分を求められる。
【線形代数】
これまで講義された基本的事項を理解している。
2ndQ
9週 【複素関数】
コーシーの積分定理
【線形代数】
5. 線形空間
線形空間の定義,線形部分空間,線形空間の基底と次元
【複素関数】
コーシーの積分定理を理解し,その応用ができる。
【線形代数】
線形空間の定義を理解し,基底と次元を求めることができる。
10週 【複素関数】
コーシーの積分表示
【線形代数】
6. 線形写像
線形写像の像と核
【複素関数】
コーシーの積分表示を用いて複素積分の評価ができる。
【線形代数】
線形写像の概念を理解し,具体的な線形写像にについて像と核を求められる。
11週 【複素関数】
数列と級数
【線形代数】
線形写像の表現行列
【複素関数】
複素数列に対する理解を深め,実数列同様の計算ができる。
【線形代数】
表現行列の概念を理解し,具体的な線形写像の表現行列を求められる。
12週 【複素関数】
関数の展開
【線形代数】
7. 行列の対角化
固有値と固有ベクトル
【複素関数】
正則関数のテイラー展開ができる。
【線形代数】
固有値と固有ベクトルを求めることができる。
13週 【複素関数】
孤立特異点と留数
【線形代数】
対角化可能性
【複素関数】
孤立特異点について理解し留数を計算できる。
【線形代数】
与えられた正方行列が対角化可能かどうか判定できる。
14週 【複素関数】
留数の定理
【線形代数】
8. 2次形式
【複素関数】
特異点と留数定理についての基本的概念が理解できる。
【線形代数】
2次形式を標準形にすることができる。
15週 【複素関数】
期末試験の返却
【線形代数】
期末試験の返却
【複素関数】
期末試験の答案返却と解説
【線形代数】
期末試験の答案返却と解説
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
行列の和・差・数との積の計算ができる。3
行列の積の計算ができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力80000020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000