コンピュータアーキテクチャ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 コンピュータアーキテクチャ
科目番号 0249 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 情報システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 テキストは特に定めない。随時講義録として資料を配布する。参考書は「コンピュータの構成と設計ハードウェアとソフトウェアのインタフェース」 第5版 上巻 David A Patterson, John L. Hennessy著、成田光彰訳、日経BP社
担当教員 小林 秀幸

到達目標

コンピュータの基本構成と処理方式を理解し,それらを効果的に利用するための基礎技術の修得を目標とします.特に、コンピュータを構成するプロセッサ内部のデータの流れ(データパス)とその制御部に関して,具体的な構成方法と設計の原理を理解します。また、ハードウェアレベルのプログラミング言語であるアセンブラプログラミングについても学び、プロセッサの基本動作を理解します。そして、現代のコンピュータにおいて高速化の鍵となっている記憶階層について学習し、最後にネットワークや外部記憶その他の周辺装置について学びます。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1計算機の構成と動作原理,データ表現,2進数演算やディジタル回路を説明できる。計算機の構成と動作原理,データ表現,2進数演算やディジタル回路を理解している。計算機の構成と動作原理,データ表現,2進数演算やディジタル回路を理解することができない。
評価項目2マイクロプロセッサのアーキテクチャ,RISC命令セット,メモリを説明できる。マイクロプロセッサのアーキテクチャ,RISC命令セット,メモリを理解している。マイクロプロセッサのアーキテクチャ,RISC命令セット,メモリを理解することができない。
評価項目3計算機の各種のインタフェース,OS,計算機システムの信頼性を説明できる。計算機の各種のインタフェース,OS,計算機システムの信頼性を理解している。計算機の各種のインタフェース,OS,計算機システムの信頼性を理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 2 情報システムを支えるハードウェアやネットワーク等の基盤技術の修得
JABEE d 当該分野で必要な知識と応用能力

教育方法等

概要:
コンピュータの構成と設計入門では、ストアードプログラム型計算機(所謂フォンノイマン型計算機)の基本動作原理から始め、その高速化に向けた様々な工夫、努力を見て行きます。特に計算機の三種の神器とも言える、中央処理装置、主記憶、入出力装置の構成方式とそれぞれの高速化手法を概観します。高速化の鍵は並列処理の実現が基本です。命令パイプライン、演算パイプライン、スレッド・コアレベルの並列処理に触れて行きます。また、近年性能向上が頭打ち傾向にあるのを押し上げるため、マルチコア、GPGPU、やFPGAなどを併用したヘテロジニアスへ入れt処理の導入が始まっています。本講では前述の技術を俯瞰して行きます。
授業の進め方・方法:
コンピュータの構成と設計はプログラムとして記述された“命令”を如何に効率よく速く実行させるためには如何に構成すれば良いかを考える技術と言えます。命令実行にはデータが不可欠です。メモリ内にある命令列とデータ列を命令実行本体部分であるCPUに如何にして速く供給し、如何にして速くCPU内で命令列を実行(演算)するかと言う高速化技術が主題となります。その鍵となるのが並列処理の適用です。本講では“コンピュータはどのようにして動くのか”から始まり、命令セットアーキテクチャ、演算装置とパイプライン処理、メモリ階層、浮動小数点演算とGPU、マルチコア、ヘテロジニアス・コンピューティング、メニコア・アーキテクチャなどコンピュータアーキテクチャの変遷、最先端の高性能化の技術をその技術背景を含めて見て行きます。
注意点:
1.本科目は,2年の「ディジタル技術基礎」,3年の「計算機学」と関連する,その内容の復習は授業時間外に行う。2.中間試験を1回行い、最終試験を行う。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス,Computerの抽象化 Computer Architectureにおける8つの重要なアイデアを理解できる。
2週 Computerの性能評価 Computerの性能の定義を理解できる。Computerの性能の評価を説明できる。
3週 MIPS命令セット(1) MIPSのアセンブリ言語を理解できる。
4週 MIPS命令セット(2) MIPSのアセンブリ言語で簡単なプログラミングできる。
5週 Computerにおける算術演算(1):基本四則演算 基本四則演算を説明できる。
6週 Computerにおける算術演算(2):浮動小数演算 浮動小数演算を説明できる。
7週 演習問題 演習問題を解くことができる。
8週 中間試験 演習問題を解くことができる。
4thQ
9週 演習問題Computerにおける算術演算(3):並列処理とComputerの算術演算 並列処理とComputerの算術演算を理解できる。
10週 演習問題Computerにおける算術演算(3):高速化 算術演算の高速化を理解できる。
11週 プロセッサ(1):論理設計とクロック方式 Computerの論理設計とクロック方式を理解できる。
12週 プロセッサ(2):Balance処理 プロセッサのBalance処理を説明できる。
13週 プロセッサ(3):データ・ハザード プロセッサのデータ・ハザードを理解できる。
14週 プロセッサ(4):高速化 プロセッサの高速化設計を理解できる。
15週 演習問題 演習問題を解くことができる。
16週 試験答案返却・解答解説 全ての問題の正解を解答することができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミング与えられた問題に対して、それを解決するためのソースプログラムを記述できる。4
ソフトウェア生成に必要なツールを使い、ソースプログラムをロードモジュールに変換して実行できる。4
主要な言語処理プロセッサの種類と特徴を説明できる。4
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。4
プログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。4
計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。4
基数が異なる数の間で相互に変換できる。4
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4
基本的な論理演算を行うことができる。4
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4
論理式の簡単化の概念を説明できる。4
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。4
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。4
コンピュータを構成する基本的な要素の役割とこれらの間でのデータの流れを説明できる。4
プロセッサを実現するために考案された主要な技術を説明できる。4
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。4
入出力を実現するために考案された主要な技術を説明できる。4
コンピュータアーキテクチャにおけるトレードオフについて説明できる。4
コンピュータシステムネットワークコンピューティングや組込みシステムなど、実用に供せられているコンピュータシステムの利用形態について説明できる。4
デュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど、コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。4
集中処理システムについて、それぞれの特徴と代表的な例を説明できる。4
分散処理システムについて、特徴と代表的な例を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度その他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5000001565
専門的能力2500001035
分野横断的能力0000000