数値計算

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 数値計算
科目番号 0301 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 情報システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は用いない。必要に応じて資料等を配布する。
担当教員 力武 克彰,早川 吉弘

到達目標

1.コンピュータ上で数値計算する際に発生する誤差が処理結果に悪影響を与えることを理解する。
2.代数方程式の解法や連立一次方程式の解法のアルゴリズムを理解しプログラミングができること。
3.数値積分と微分方程式の基礎的なアルゴリズムを理解しプログラミングができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1計算誤差と計算効率を定量的に評価できる計算誤差を考慮してプログラムできる計算誤差が説明できない
評価項目2代数方程式の解法をプログラムを定量的に評価できる代数方程式の解法をプログラムできる代数方程式の解法を説明できない
評価項目3数値積分と微分方程式のアルゴリズムの定量的な評価ができる数値積分と微分方程式の基礎的なアルゴリズムがプログラミングできる数値積分と微分方程式の基礎的なアルゴリズムが説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 情報システムの中核となるソフトウェアの知識とスキルの体系的で確実な修得

教育方法等

概要:
数値計算は,自然科学,工学,社会科学においてモデルの検証,事象の解明,設計を具体的かつ数量的に実施していく際に不可欠な方法である。その数値計算の標準的事項として誤差,非線形方程式の解法,補間と関数近似,数値積分,微分方程式の解法,連立方程式の解法,行列式と逆行列,固有値問題について学習するほか,より高度な方法の紹介や研究方法について習得する。
授業の進め方・方法:
注意点:
本科目は4年までの数学,応用数学,ならびにプログラミングと関連する。特に,代数方程式,微分・積分,線形代数の知識が必要である。
「数理の散策」高橋秀俊(日本評論社),「数値計算夜話」森口繁一(日本評論社),「数値計算術」森口繁一(共立出版),「数値解析法」森正武(共立出版),「Cアルゴリズム全科」千葉則茂,村岡一信,小沢一文,海野啓明(近代科学社)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 2の常用対数を小数点以下5桁求める問題に対する色々な解答を紹介し数値計算法を理解する。
2週 方程式 I 方程式の二分法,ニュートン法,割線法を理解する。
3週 方程式 II 代数方程式の平野法,DK法を理解する。
4週 連立方程式 I
ガウスの消去法とビボット選択法などを理解する。
5週 連立方程式 II ガウス・ザイデル反復法を理解する。
6週 補間と補外 ラグランジェ補間法などについて理解する。
7週 数値積分 I 台形則,シンプソン則,およびロンバーグ積分法,ガウス積分法について理解する。
8週 後期中間試験 後期中間試験の実施。
4thQ
9週 後期中間試験の解説,数値積分 II 後期中間試験の答案返却と解説。積分公式の誤差評価について理解する。
10週 微分方程式 I オイラー・台形則法について理解する。
11週 微分方程式 II ルンゲ・クッタ法について理解する。
12週 行列の固有値 I ヤコビ法,ハウスホルダー法について理解する。
13週 行列の固有値 II 大型疎行列の解法を理解する。
14週 図形の変換 線形写像,投影図,立体視画像について理解する。
15週 学年末試験 学年末試験の実施。
16週 学年末試験の解説 学年末試験の答案返却と解説。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。4
分数式の加減乗除の計算ができる。4
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。4
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。4
簡単な連立方程式を解くことができる。4
無理方程式・分数方程式を解くことができる。4
1次不等式や2次不等式を解くことができる。4
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。4
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4
2点間の距離を求めることができる。4
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。4
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。4
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。4
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。4
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。4
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。4
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。4
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。4
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。4
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。4
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。4
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。4
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。4
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。4
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。4
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
専門的能力分野別の専門工学情報系分野情報数学・情報理論離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。4
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。4
コンピュータ向けの主要な数値計算アルゴリズムの概要や特徴を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力3000002050
専門的能力1500001025
分野横断的能力1500001025