固体物性工学

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 固体物性工学
科目番号 0038 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システムデザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 量子物理学入門-物質工学を学ぶ人のために- 青野朋義 他2名 共著
担当教員 鈴木 勝彦

到達目標

・ハイゼンベルグの不確定性原理が理解できる。
・井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の波動関数、エネルギー準位が計算できる。
・1次元調和振動子の波動関数、エネルギー準位が計算できる。
・量子統計が理解できる。・比熱、分子の吸収波長の計算が理解できる。・量子統計を導きせる。
・SPMの原理、測定方法が理解できる。・SQUIDの原理が理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
シュレディンガー方程式と不確定性原理シュレディンガー方程式を導き出すことができ、不確定性原理を箱型ポテンシャルの例で計算できる。シュレディンガー方程式と不確定性原理の物理的意味が理解できる。ボルン近似について理解していない。
量子統計F-D統計、B-E統計、M-B統計を導きだすことができ、Anyonについて理解できる。F-D統計、B-E統計、M-B統計の違いが理解できる。M-B統計しか理解していない。
量子力学と量子統計に関する計算比熱のデータからフェルミ近傍の状態密度が計算できる。吸収波長が計算できる。比熱の計算方法、吸収波長の計算方法が理解できる。Einsteinの比熱が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE D2 専門分野と周辺の工業技術を理解し、デザインに応用展開できる能力

教育方法等

概要:
マイクロテクノロジー、ナノテクノロジー、両テクノロジーの融合技術は次世代の技術の発展を支える重要な技術と考えられ、日々発展を遂げている。固体物性工学はそれを支える重要な学問の一つである。固体物性工学は量子力学と統計力学を基本としている。それを基本としてアインシュタインの挑戦した物体の比熱の計算、分子の吸収波長の計算や応用例(走査プローブ顕微鏡(SPM)、超伝導量子干渉磁束計(SQUID)など)を学び、先端科学技術を駆使したものづくりに役立てられるよう心がけて講義する。
授業の進め方・方法:
なるべく平易に理解しやすい説明し、微積分を使い不確定性原理の式を導きだしたり、実験データから状態密度を計算したり、吸収波長を計算したりして、理解して使える講義を心がける。
事前学習(予習):毎回の授業前までに、授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。
事後学習(復習):毎回の授業後に、授業で学んだことを振り返り、今後へ活かす方法を考えること。
注意点:
前期量子論、熱力学の初歩、微分方程式の解法の知識があれば内容の深いところまでの理解につながる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 先端技術と物理学(先端と物理学の相互依存の理解)授業内容、教科書など。量子力学使い活用し応用した例を提示。量子力学の考え方Ⅰ(古典力学との違い) 量子力学と古典力学の違いが説明でき、その応用例も説明できる。
2週 量子力学の考え方Ⅱ(Schrödinger方程式とHeisenbergの不確定性原理) Heisenbergの不確定性原理の確認のための計算。固有関数とエネルギー固有値Ⅰ(井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の波動関数、エネルギー準位)
Heisenbergの不確定性原理の意味を説明できる。井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の波動関数、エネルギー準位が計算できる。
3週 トンネル効果(トンネル効果の説明、TMR、SPM)。1次元調和振動子 トンネル効果、一次元調和振動子について理解し、説明できる。
4週 水素原子の解法Ⅰ(水素原子の電子の波動関数の計算)。水素原子の解法Ⅱ(水素原子の電子のエネルギー準位の計算) 水素原子の波動関数、エネルギー準位の求め方を理解し、説明できる。
5週 スピンとパウリの排他律(スピン演算子、ゼーマン効果、パウリの排他律)。統計力学の考え方(統計集団、統計力学の基本定理) スピンに関する基本が説明できる。統計力学の考え方を理解し、説明できる。
6週 量子統計(Fermi-Dirac統計、Bose-Einstein統計、Maxwell-Boltzmann統計)。固体の比熱(格子比熱)(比熱に関するEinsteinの理論、デバイの理論) 量子統計、それを応用した一例として固体の比熱の理論につい理解して、説明できる。
7週 固体の比熱(電子比熱)(電子比熱、フェルミ準位近傍の状態密度の計算)。超伝導(マイスナー効果、ジョセフソン効果、SQUID) 電子比熱の求め方を理解し説明できる。超伝導現象を理解し、ジョセフソン効果、SQUIDの原理を理解し説明できる。
8週 分子の吸収波長の計算(自由電子模型よる分子の吸収波長の計算) 自由電子模型を用いて分子の光吸収波長を計算できる。
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4前1
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4前1
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4前1
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4前1
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。4前1,前2
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。4前2,前6,前7,前8,前9,前10
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。3前13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000