環境化学概論

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 環境化学概論
科目番号 0106 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システムデザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考図書:環境と化学 グリーンケミストリー入門 第3版 東京化学同人
担当教員 遠藤 智明,関戸 大

到達目標

(目的)
環境問題についてデータや論文などの科学的根拠に基づく提案や議論ができるようになることを目的とする。そのために、環境問題に関する用語などの基礎知識を身につけると共に、獲得した知識を用い論文やデータの解釈を行い議論するスキルを身につける。
(目標)
環境問題に関する用語を説明できる
環境問題に関する文献を読み、その内容を要約できる
環境問題についてデータと文献を参照しながら、現状について議論できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
環境問題に関するデータと解釈環境問題に関する事項についてデータを用い説明し、説得力のある解釈ができる。環境問題に関する事項についてデータを用い説明できるが、データの解釈に説得力が無い。環境問題に関する事項についてデータを用い説明できない。
環境問題の知識環境問題に関する用語について、その意味を分かりやすく説明できる。環境問題に関する用語について、その意味を説明できるが、曖昧さがある。環境問題に関する用語についての説明が明確でない。
環境問題に関する考え環境問題に関して、データと化学的理解に基づく説得力のある意見を述べることができる。環境問題に関して、データと化学的理解に基づく意見を述べることができるが、意見に飛躍があり説得力に欠ける。環境問題に関して、意見を述べることができるが、根拠が不十分であり曖昧である。

学科の到達目標項目との関係

JABEE A1 数学・自然科学を理解し、使いこなせる基礎能力

教育方法等

概要:
現在、持続可能な社会を目指し様々な環境問題に関する取り組みがなされています。そのため大学での研究や企業での製品開発、サービスの開発では環境問題の解決に関連づけたものが増えて来ています。一方、環境問題については地球温暖化をはじめ、メディアでは様々な報道がなされていますが、中には科学的な根拠が不十分で、事実と異なる解釈も多くあります。その結果、環境問題について誤解を元に議論がなされている場面が多く見られます。
本授業では、環境問題に関しての基礎知識、問題の根拠とされるデータとその解釈の仕方を学びます。本授業を修了すると、環境問題に関するデータを正しく解釈し。データに基づいた説得力のある意見を持てるようになります。研究や製品開発、サービス開発を行う際に正しい前提に基づいた提案ができるようになるため、皆さんの将来に活きることでしょう。
授業の進め方・方法:
本授業では授業前半は教員による講義を通じて知識の獲得を行い、授業後半は四人一組でジグソー法、ピアインストラクション、ポスターツアーなどのグループワークにより受講者が知識を活用し議論する構成になっているため積極的な授業参加が求められます。
授業後半では論文やデータをwebで調査する活動を行います。端末は自身のPC、タブレットを持参して構いませんが、各グループに一台ずつタブレット端末を準備しています。

予習:授業トピックについて動画などのweb教材を用いた事前学習を行う。
復習:授業トピックについてレポートなどの事後課題を行う。
注意点:
成績評価方法
授業への参加状況 20
課題の提出状況及び質的評価 80
授業の参加状況については毎回の授業でのシャトルカードで評価します。
課題の質的評価については課題と共に配布するルーブリックに基づき評価します。レポート課題は授業内で、グループワークで行った議論と同じ課題について更に調査を行い記入して下さい。

受講者の皆さんへのメッセージ
本授業は皆さんと一緒に作りあげる授業です。環境問題の中でもこれからの時代のキーワードになるものを厳選し、それについて皆さんが説得力のある意見を持てるようになることをお手伝いしたいと思います。
毎回、簡単なアンケートを取りますが、一緒に良い授業を作るために忌憚無い意見をフィードバックして下さい。この講義の主役は学習者である君達です。

連絡先
授業への質問はシャトルカードに書いてくれれば回答します。
また、オフィスアワーに直接質問に来ること、メールでの質問どちらも歓迎します。
オフィスアワー 月曜日4校時、金曜日16:10~17:10
メールアドレス:sekido@sendai-nct.ac.jp

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「ガイダンス〜環境化学を学ぶ意味〜」
「空気をきれいに〜PM2.5とは何か?〜」
Think・Pair・Share、ピアインストラクション
大気汚染物質であるNOx, SOx, SPMについて原因と地球環境への負荷を説明できる
2週 「空気をきれいに〜世界一きれいな空気の国は?〜」
Think・Pair・Share、ポスターツアー
大気汚染を防止、抑制するための手法とを説明できる
大気汚染を防止、抑制するための法規制について化学的根拠に基づき自分の意見を述べることができる
3週 「貴重な水資源〜日本は水不足?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
水資源について定義を説明できる
ヴァーチャルウォーターの概念を用い水資源の過不足について説明できる
水資源の用途を3つ挙げることができる
4週 「貴重な水資源〜水資源の作り方〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
浄水処理の仕組みを説明できる
海水から水資源を作る仕組みを説明できる
水質汚濁について汚濁物質と評価指標を説明できる
5週 「公害と防止策〜環境保全のための取り組みは?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
主な公害を原因と関連づけて説明できる
公害防止の法律の有効性を評価できる
6週 「地球温暖化〜温暖化は起きているのか?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
温室効果の役割を説明できる
地球温暖化のデータを説明できる
7週 「地球温暖化〜CO2削減で何が変わったのか?〜」
Think・Pair・Share、ディベート
地球温暖化についてCO2削減の持つ意味を説明できる
地球温暖化のデータについて説得力のある意見を述べることができる
8週 振り返り
Think・Pair・Share、ピアインストラクション
1週から7週の内容について、演習問題を解き解説することができる
2ndQ
9週 「オゾン層を守ろう〜紫外線はなぜ体に悪い?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
紫外線の生物への影響を説明できる
オゾン層の役割を説明できる
オゾン層が破壊される化学的機序を説明できる
10週 「エネルギーを大切に〜日本のエネルギーを考える〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
エネルギーの変換効率について説明できる
火力発電の仕組みと効率化について説明できる
11週 「エネルギーを大切に〜持続可能エネルギーとは?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
太陽光発電、燃料電池、バイオ燃料について説明できる
太陽光発電、燃料電池、バイオ燃料について有用性をデータに基づき説明できる
12週 「エネルギーを大切に〜メガソーラーはどうなった?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
太陽光発電、燃料電池、バイオ燃料について有用性をデータに基づき説明できる
13週 「廃棄物のリサイクル〜リサイクルは環境に優しいか?〜」
Think・Pair・Share、ジグソー法
ライフサイクルアセスメントの考え方から、製品のリサイクルを評価できる
14週 振り返り
Think・Pair・Share、ピアインストラクション
8週から13週の内容について、演習問題を解き解説することができる
15週 振り返り
ケースメソッド
1~14週の内容に基づき、環境問題の解決について議論する
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野環境日本の公害の歴史について説明できる。4
公害・環境汚染の防止策について説明できる。4
地球温暖化の現象を科学的に説明できる。4
温暖化防止の必要性について説明できる。4
エネルギー資源問題について説明できる。4
オゾン層の破壊について説明できる。4
酸性雨や森林の減少について説明できる。4
大気汚染や水質汚濁について説明できる。4
廃棄物処理の目的と資源化について説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合02000080100
基礎的能力000002020
専門的能力0100004050
分野横断的能力0100002030