科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 倫理
科目番号 0007 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合科学系(広瀬キャンパス一般科目) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 実教出版『高校倫理』
担当教員 笠松 直

到達目標

諸思想や諸宗教において,人間がいかにあるべきと考えられてきたかを理解する。現代社会の直面する課題や問題点を構造的に理解し,好ましい社会と人間との関わりとそこへ至る道程を考察する基礎力を得る。学習内容を自己自身に照らして捉えなおし,社会の中で生きてゆくための倫理的規範を形成する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基礎事項の定着:基礎知識の定着本講義の理解に必要な歴史的・思想史的事項の名称を概ね9割程度記憶している同,概ね8割程度記憶している同,7割未満の記憶に留まり,選択肢問題の回答にも支障をきたす
諸事項の思想史的・歴史的・地理的連関の理解諸事項の定義を概ね理解し,相互の連関を正しく指摘できる同,概ね7割程度の概念について関連事項の連関を正しく指摘できる同,6割未満に留まり,論理的に的確な文章を構築できない
概念の運用能力学習した概念を用いて,あるいは不明点について教員に質問し,会話できる学習した事項を利用して意味の通る文章を構築できる概念の記憶に不足があり,その理解に至らず,論理的な文を作れない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
「倫理」の概念と意味を理解し、人間固有の性質や行動を他の生き物と比較しながら考える。また、自我意識を形成する青年期の特徴、子供と大人、老いや死といった人生の問題について考察を深める。さらに、様々な宗教や思想家たちのの思想にふれ,人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解する。人間についての理解を深め、社会に生きる者として、倫理的態度で現代の問題と向き合い、自己と他者のよりよい在り方を探求していく精神を養うことを目標とする。
授業の進め方・方法:
本講義では,指定教科書に準じつつ,古代ギリシャから近現代の正義論に至るまで,世界の思想史を概観する。履修者は予習として教科書を精読し,基本概念を理解し,倫理学に関わる基礎的知識を身につけるよう努力すること。
注意点:
講義に際しては,「世界史」(二年)の動向について基礎的な知識を持つこと。特に後期に集中的に取扱う,社会を巡る諸思想については,「政治経済」(三年)の理解の基礎となる。過去の思想家たちが取り組んだ問題は解決し尽くされたわけではない。履修者は先人の問い掛けに応え,自分なりに論理的な答えを検討すること。その際,日々のニュース等々を題材とするのは良いアイディアである。毎日新聞記事を読み,教科書のどの論題と関わるかを週2-4時間程度,自分なりに検討するとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 倫理を学ぶ意義と青年期の意義 青年期にある自分たちの心理状況を理解し,倫理を学ぶ意義を理解できる
2週 イオニア自然哲学者とソクラテス 世界文化の基層としてのギリシア文化及びソクラテスについて基礎知識を身につける
3週 プラトンの哲学 プラトンの思想について基礎知識を身につけ,その歴史的背景と価値について理解できる
4週 アリストテレスとヘレニズムの思想 アリストテレスとヘレニズム期の思想について基礎知識を身につけ,その歴史的背景と価値について理解できる
5週 旧約の世界とイエスの登場 ユダヤ教の成立と展開,相互の関係について理解できる
6週 キリスト教の誕生と展開 キリスト教の成立と展開,キリスト教における人間と神の関係について理解できる
7週 イスラーム イスラームの成立と展開,ユダヤ教等との関係について理解できる
8週 バラモン教とブッダの思想 世界文化の基層のひとつとしての古代インドの思想の基礎知識を身につけ,その価値について理解できる
2ndQ
9週 大乗仏教の成立と展開 仏教思想の基礎知識を身につけ,その価値について理解できる
10週 孔子と孟子,荀子の思想 東アジア世界の文化の基層のひとつとしての儒教思想の基礎知識を身につけ,その価値について理解できる
11週 老荘思想 老荘思想に関する基礎知識を身につけ、その価値について理解する
12週 古代日本人の思想と奈良仏教 日本人の文化の基層について理解を深める
13週 平安時代の仏教 日本における仏教思想の受容と展開について知識を身につける
14週 鎌倉新仏教 鎌倉時代に新たな仏教思想が展開した事情を理解する
15週 期末試験 1~14週の学習内容の定着の程度を確認する
16週 期末試験返却・講評 期末試験を返却し,講評する。
後期
3rdQ
1週 ルネサンスと宗教改革 ルネサンスから宗教改革に至るまでの次第を理解する
2週 モラリストの思想,科学革命 近現代人の世界観とその形成過程について理解できる
3週 経験論と合理論 ベーコンやデカルトを通じて科学的思考の方法を理解する
4週 社会契約説 自然法思想と社会契約説の形成と展開過程およびその歴史的価値を理解できる
5週 カントの思想 カントの存在論と倫理思想について理解できる
6週 ヘーゲルの思想 ヘーゲルの存在論と倫理思想について理解できる
7週 功利主義 功利主義の考え方を理解し,社会の公正と正義について考えることができる
8週 社会の構造と変革:マルクスの功罪 社会的な存在としての人間のあり方を理解し,社会の公正と正義について考えることができる
4thQ
9週 実存主義の諸思想家(1) キルケゴールに始まる実存主義の論点を把握する
10週 実存主義の諸思想家(2) ハイデガーにいたる実存主義の課題と論点を理解する
11週 フロイトと言語論的転回 主体性を問う諸思想の問題の所在について理解ができる
12週 批判的理性と構造主義 人間性の疎外の状況について,歴史的文脈において理解し,人間性の回復について考えることができる
13週 社会参加と幸福 社会的現実を直視しつつ,自らの将来の社会参画について考えることができる
14週 現代の諸課題と倫理 一年間の学習を踏まえた発展的講義を行う
15週 期末試験 1~14週の学習内容の定着の程度を確認する
16週 期末試験返却・講評 期末試験を返却し,講評する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地歴文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。2後1,後2
公民哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。2前1,前3,前10,前11,前12,前13,後3,後5,後6,後11
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。2前5,前6,前7,前8,後9,後10
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。2前2,前9,前14
民主政治の基本的原理、日本国憲法の成り立ちやその特性について理解できる。2後4
現代社会の政治的・経済的諸課題、および公正な社会の実現に向けた現在までの取り組みについて理解できる。2後7,後8,後12,後13,後14
地歴・公民現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。1後14
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。1後14
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。1後5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力80000200100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000