物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理Ⅰ
科目番号 0060 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 総合科学系(広瀬キャンパス一般科目) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 「初歩から学ぶ基礎物理学 力学I」 (大日本図書),「 改訂版 フォトサイエンス 物理図録」 (数研出版),「漆原の物理 物理基礎・物理 明快解法講座」 (旺文社)
担当教員 穂坂 紀子

到達目標

いろいろな物理量をきちんと理解し,速度および加速度についてはその定義を説明することができる。
物体に働く力を正しく示すことができ,適切に成分分解することができる。
いろいろな運動について,運動方程式を正しく記述することができ,物体の運動に関する基礎的な計算ができる。
運動の法則や力学的エネルギー保存則,運動量保存則をいろいろな問題に応用することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安基礎的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
さまざまな物理量と単位,ベクトル量の計算様々な物理量の単位を正しく示すことができ,関係を理解してそれらを計算することができる. 速度,加速度の定義を説明し,微分及び積分の式で示すことができる. 速度の合成,相対速度について,ベクトルに結びつけて説明し,計算することができる.スカラー量,ベクトル量について理解し,様々な物理量の単位を正しく示し,それぞれを計算することができる. 速度,加速度の定義を説明し,等加速度直線運動の式を示すことができる. 2次元の速度の合成,相対速度の計算ができる.スカラー量,ベクトル量の違いを説明することができ,様々な物理量の単位を正しく示すことができる. 速度,加速度の定義を説明することができる. ベクトルの合成の計算ができる. 1次元の速度の合成,相対速度の計算ができる.スカラー量とベクトル量の違いを説明することができない. 物理量の単位を正しく示すことができない. 速度,加速度の定義を説明することができない. ベクトルの合成の計算ができない.
力のつり合いと運動方程式互いに力を及ぼしあう複数の物体に働く力を,物体ごとに区別して,すべて示すことができ,それらの力の大きさを適切に求めることができる. 力のつり合いの式,および運動方程式を適切に書くことができ,その物理的な意味を説明することができる. 運動方程式を連立して加速度を求め,物体の座標,速度,時間に関する計算ができる. 」パスカルの法則やアルキメデスの原理を説明し,必要な物理量を適切に求めることができる。 静水中の物体について,運動方程式,力のつり合いの式を適切に示し,物理量を求めることができる。物体に働く力について,何が何に及ぼす力か説明できる. 物体に働く力をすべて示すことができる. 弾性力,および摩擦力の大きさを適切に求めることができる. 力の成分分解を適切に行い,力のつり合いの式,および運動方程式を書くことができる. 運動方程式から加速度を求め,物体の座標,速度,時間に関する計算ができる. 圧力と力の違いを説明し,パスカルの法則から力や圧力を求めることができる。 アルキメデスの原理を説明でき,静水中の物体の運動方程式,力のつり合いの式を書くことができる。物体に働く力を示すことができる. 弾性力,摩擦力の大きさを求めることができる. 力の成分分解をすることができる. 力のつり合いの式を書くことができる. 運動方程式を書くことができる. 運動方程式から加速度を求めることができる. 速度,加速度,変位の関係を式に書くことができる. 密度,圧力の定義を説明できる。 パスカルの法則を式に示すことができる。 アルキメデスの原理から浮力を求めることができる。力を示すことができない. 力の成分分解ができない. 弾性力,摩擦力の大きさを求めることができない. 力のつり合いの式を書くことができない. 運動方程式を書くことができない. 運動方程式から加速度を求めることができない. 速度,加速度,変位の関係を式に書くことができない. 密度,圧力の定義を説明できない。 パスカルの法則,アルキメデスの原理を式に書くことができない。
力積と運動量2次元の運動について,力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書き,物理量を求めることができる. 反発係数の式と運動量保存則の式を用いて様々な物理量を計算できる.力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書き,物理量を求めることができる. 反発係数の式と運動量保存則の式を用いて速度を計算することができる.力積と運動量を求めることができる. 力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書くことができる. 反発係数の式を書くことができる.力積と運動量を求めることができない. 力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書くことができない. 反発係数の式を書くことができない.
仕事と力学的エネルギー仕事と力学的エネルギーの関係を理解し,その関係式や力学的エネルギー保存則の式を書き,様々な物理量を求めることができる.仕事,力学的エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギー保存則の式を書き,速さや高さを求めることができる.仕事,運動エネルギー,位置エネルギー,弾性エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギー保存則の式を書くことができる.仕事,運動エネルギー,位置エネルギー,弾性エネルギーを求めることができない. 力学的エネルギーを理解していない. 力学的エネルギー保存則の式を書くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の事物や諸現象を,科学的に解明,また探究するための物理的な見方,考え方を身に付ける。
力学の基本的な物理量の表し方と,力と運動の関係について学習する。直線運動,平面の運動,等速円運動,単振動など,典型的かつ理想的な物体の運動を学習する。また,音や光を把握する波動の物理,そして熱力学の基礎についても学習する。
本科目は基礎数学A,基礎数学B,微分・積分,代数・幾何,物理II,物理III,電磁気学に関連する。
授業の進め方・方法:
物理Ⅰの授業はアクティブラーニング形式を取り入れた方法で行う。調べ学習や教え合いを通して知識の習得と定着を図るので、授業への主体的な参加が前提である。
授業では,物理量の定義や物理法則について学び,その数学的表現方法を習得する。また,問題演習を通して,物理の概念の確認と習得および知識の定着を図る。
物理の理解に必要な数学のうち,2年生で学習するべクトル,微分積分については,随時確認を行いながら授業を進める。二次方程式や連立方程式は頻繁に使うので,種々の解法をきちんと習得している必要がある。また,二次方程式は式とグラフの関係を理解していることも重要である。三角比および三角関数についても理解できていることが前提である。1年次までに既習の数学について,きちんと習得出来ていない場合には、自主的に復習しておくこと。
注意点:
図やグラフを自ら描き,物体の動きの具体的なイメージを持つように意識して学習すること。
学習した内容を理解し,身に着けるためには問題演習が必須である。解法を会得するだけでなく,実際に自分で多くの問題を解けるようになることが特に重要である。授業中にも問題演習の機会を出来るだけ多くとるが,自主学習として問題演習に取り組むことが望ましい。
各自の学習の必要に応じて参考書等を利用する場合,市販の参考書から以下の3点に留意して自分に合ったものを探すと良い。
 1.いろいろな問題を同じ方針で説明していること。
 2.例題が多く,その解法が行間を想像しなくても追えるようにきちんと説明されていること。
 3.解答例に図とその説明が書かれていること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理のための数学(三角関数の復習とベクトルの確認)
二次元のベクトルの足し算,引き算ができる.
三角関数を使ったベクトルの成分分解ができる.
2週 速度の合成と相対速度
次元と単位,変位と速度・加速度
二次元の速度ベクトルの加減計算ができる.
2物体の相対速度を求めることができる.
スカラー量とベクトル量の概念を理解し,物理量を正しく記述することができる.
速度,加速度の定義を説明し,式にすることができる.
3週 等速直線運動と等加速度直線運動
いろいろな力
速度,加速度,変位,時間の関係を式に記述できる.
等加速度直線運動の式を用いて,物体の変位(座標),時間,速度に関する計算ができる.
物体に働く力について,何が何に及ぼす力か説明できる.
弾性力の大きさを求めることができる.
物体に作用する力を図示することができる.
4週 力のつり合い
運動の法則(慣性の法則,作用反作用の法則)
物体に働く複数の力をすべて図に描き出すことができる.
摩擦力が働く場合の力のつりあいについて理解している.
最大静止摩擦力に関する計算ができる.
力が作用することの意味を理解する.
慣性の法則について説明できる.
作用と反作用の関係を具体例を挙げて説明できる.
5週 運動の法則(運動方程式) 物体に働く力と加速度の比例関係,質量と加速度の反比例関係について理解する.
運動方程式の書き方を理解する.
6週 自由落下 運動方程式を書くことができる.
運動方程式から加速度を求めることができる.
速度,加速度,変位の関係を式に書くことができる.
自由落下した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
7週 中間試験
8週 鉛直投上 運動方程式を書くことができる.
運動方程式から加速度を求めることができる.
速度,加速度,変位の関係を式に書くことができる.
鉛直投上した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
2ndQ
9週 斜面上の物体の運動 力の成分分解をし,斜面に平行および垂直な方向の力を示すことができる.
動摩擦に関する計算ができる.
斜面上を動く物体について,運動方程式を書くことができる.
物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
10週 複数の物体の運動
互いに力を及ぼしあう物体について,物体に働く力をそれぞれ区別して示すことができる.
互いに力を及ぼしあう物体の運動について,運動方程式を立て,連立方程式を利用して加速度を求めることができる.
11週 水平投射
水平投射した物体の運動方程式を書くことができる.
加速度,速度,変位をベクトル表示できる.
水平投射した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
12週 斜方投射
斜方投射した物体の運動方程式を書くことができる.
加速度,速度,変位をベクトル表示できる.
斜方投射した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
13週 力積と運動量
運動量保存則
反発係数
物体の質量と速度から運動量を求めることができる.
運動量と力積の関係を理解し,関係式を作ることができる.
運動量の差が力積に等しいことを理解している.
運動量保存則について理解し、様々な物理量の計算に利用できる.
反発係数について理解し,物理量の計算に利用できる.
14週 期末試験
15週 仕事
運動エネルギーと位置エネルギー
仕事と仕事率に関する計算ができる.
物体の運動エネルギーに関する計算ができる.
重力による位置エネルギーに関する計算ができる.
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる.
16週 力学的エネルギー保存則
仕事と力学的エネルギー
力学的エネルギーの概念を理解し,状況に応じた力学的エネルギーを書き出すことができる.
力学的エネルギー保存則について理解し,様々な物理量の計算に利用できる.
力学的エネルギーと仕事の関係式を作り、利用できる.
様々な物理量の計算に仕事と力学的エネルギーの関係を利用できる.
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。3
大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。3

評価割合

試験課題等合計
総合評価割合80200100
基礎的能力80200100
専門的能力0000
分野横断的能力0000