物理Ⅲ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理Ⅲ
科目番号 0240 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合科学系(広瀬キャンパス一般科目) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「初歩から学ぶ基礎物理学 力学I」 (大日本図書), 「改訂版 リードα 物理基礎・物理」 (数研出版),「チャート式シリーズ 新物理 物理基礎・物理」 (数研出版)
担当教員 穂坂 紀子

到達目標

物体のいろいろな運動について,運動方程式,力学的エネルギー保存則,運動量保存則を正しく記述することができる。
物体のいろいろな運動に関する基礎的な計算をすることができる。
剛体の運動について,力のモーメントのつり合いの式、角運動量保存則を正しく記述することができる。また,剛体の運動に関する基礎的な計算ができる。
熱に関する様々な現象を物理法則と関連づけて考えることができる。
波に関する様々な現象を物理法則と関連づけて考えることができ,波の波長,周期,振動数,速さについて計算することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安基礎的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
円運動と単振動、単振り子円運動,単振動および単振り子の様々な物理量の定義を説明し,関係を理解してそれらを計算することができる。 等速円運動,単振動および単振り子の運動を適切に式に示すことができる。 円運動,単振動の速度,加速度と変位の関係について微分を用いて説明できる。円運動,単振動および単振り子の様々な物理量の定義を説明し,それぞれを計算することができる。 慣性力について説明し,等速円運動,単振動について運動方程式や力のつり合いの式を示すことができる。角速度,回転数,円運動の周期の定義を説明でき,これらの物理量を求めることができる。 角振動数,振動数,単振動の周期,および振幅の定義を説明でき,これらの物理量を求めることができる。 円運動の速度,加速度の計算ができる。 向心加速度,向心力,遠心力について説明できる。角速度,回転数,円運動の周期の定義を説明できない。 角振動数,振動数,単振動の周期,および振幅の定義を説明できない。 円運動の速度,加速度の計算ができない。 向心加速度,向心力,遠心力について説明できない。
惑星の運動と万有引力ケプラーの法則を説明し,惑星の速度や公転周期などの基本的な物理量をもとめることができる。 惑星の運動について,運動方程式やつり合いの式を適切に示すことができる。 宇宙速度について説明し、第1宇宙速度および第2宇宙速度を求めることができる。ケプラーの法則を説明し,遠日点や近日点での惑星の速度を求めることができる。 万有引力を用いて運動方程式やつり合いの式を示すことができる。 宇宙速度について説明し,地球および太陽を中心とした公転運動の条件を式に示すことができる。ケプラーの法則を説明することができる。 万有引力を説明し,式で示すことができる。 宇宙速度について説明し,地球を中心とした公転運動を式で示すことができる。ケプラーの法則を説明することができない。 万有引力を説明し,式で示すことができない。
剛体の運動重心の定義を説明し,その位置を求めることができる。また,簡単な場合について,重心を積分を用いて求めることができる。 剛体の運動について,力のモーメント,慣性モーメントを理解し,剛体の基本的な運動について回転系,ならびに並進系の運動方程式,つり合いの式や運動量保存則を適切に示すことができる。重心の定義を説明し,その位置を求めることができる。 力のモーメントのつり合いの式,角運動量保存則の式を示し、物理量を求めることができる。 回転系の運動方程式を示すことができる。 重心の位置,力のモーメント,角運動量を求めることができる。 力のモーメントのつり合いの式を示すことができる。 角運動量保存則の式を示すことができる。 重心の位置,力のモーメント,角運動量を求めることができない。 力のモーメントのつり合いの式を示すことができない。 角運動量保存則の式を示すことができない。
気中や静水中における物体の運動パスカルの法則やアルキメデスの原理を説明し,必要な物理量を適切に求めることができる。 静水中の物体について,運動方程式,力のつり合いの式を適切に示し,物理量を求めることができる。圧力と力の違いを説明し,パスカルの法則から力や圧力を求めることができる。 アルキメデスの原理を説明でき,静水中の物体の運動方程式,力のつり合いの式を書くことができる。密度,圧力の定義を説明できる。 パスカルの法則を式に示すことができる。 アルキメデスの原理から浮力を求めることができる。密度,圧力の定義を説明できない。 パスカルの法則,アルキメデスの原理を式に書くことができない。
波動波の波長,周期,振動数,速さの定義を説明し、これらの関係を理解してそれらを計算することができる。 波の性質について説明できる。 ドップラー効果について説明し、式を示して必要な物理量を求めることができる。 光の性質について理解し,反射や屈折の法則を用いて必要な物理量を求めることができる。 光の干渉について説明し,式を用いて現象をあらわすことができる。波の波長,周期,振動数,速さの定義を説明し,それぞれを求めることができる。 波の性質について説明し,反射や屈折の法則を式に示すことができる。 ドップラー効果について説明し、必要な物理量を求めることができる。 光の性質について理解し,反射角および屈折角を求めることができる. 光の干渉について説明し,具体例を挙げることができる。波の波長,周期,振動数,速さについて説明し,これらの物理量を求めることができる。 波の反射,屈折,回折,干渉について説明できる。 ドップラー効果について説明し、式を示すことができる。 光の反射や屈折において、法則を用いて反射角および屈折角を求めることができる. 光の干渉によって生じる現象ついて,具体例を挙げることができる。波の波長,周期,振動数,速さについて説明できない。 波の反射,屈折,回折,干渉について説明できない。 ドップラー効果について説明できない。 光の反射や屈折において、法則を用いて反射角および屈折角を求めることができない. 光の干渉によって生じる現象ついて,具体例を挙げることができない。
熱力学で取り扱う様々な物理量の定義を説明し,これらの関係を理解してそれらを計算することができる。 熱量の保存則を説明し,これを用いて様々な物理量を求めることができる。 気体の熱力学過程について説明し,過程ごとに適切な式を示し,必要な物理量を求めることができる。熱力学で取り扱う様々な物理量の定義を説明し,それぞれを求めることができる。 熱量の保存則や理想気体の状態方程式,熱力学第1法則を式に示し,物理量を求めることができる。 気体の熱力学過程について説明できる。 等温変化,断熱変化について式を示し,必要な物理量を求めることができる。熱容量や比熱,熱量の定義を説明し,これらの物理量を求めることができる。 熱量の保存則から,熱容量や比熱を求めることができる. 理想気体の状態方程式や熱力学第1法則を式に示すことができる。 気体の熱力学過程について説明できる。熱容量や比熱,熱量の定義を説明することができない。 熱量の保存則から,熱容量や比熱を求め ることができない. 理想気体の状態方程式や熱力学第1法則を式に示すことができない。 気体の熱力学過程について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の事物や諸現象を,科学的に解明,また探究するための物理的な見方,考え方を身に付ける。
等速円運動,単振動など,典型的かつ理想的な物体の運動を学習する。また,音や光を把握する波動の物理,そして熱力学の基礎についても学習する。
本科目は基礎数学A,基礎数学B,微分・積分,代数・幾何,物理II,電磁気学に関連する。
授業の進め方・方法:
物理Ⅲの授業はアクティブラーニング形式を取り入れた方法で行う。調べ学習や教え合いを通して知識の習得と定着を図るので、授業への主体的な参加が前提である。
授業では,物理量の定義や物理法則について学び,その数学的表現方法を習得する。また,問題演習を通して,物理の概念の確認と習得および知識の定着を図る。物理Ⅱで学んだ「力,力学的エネルギー,運動量」について理解している必要がある。また,常に諸物理量の単位に注意をはらって学習すること。
物理の理解に必要な数学は主に、三角比および三角関数,べクトル,微分積分,二次方程式,連立方程式で,種々の解法をきちんと習得している必要がある。2年次までに既習の数学について,きちんと習得出来ていない場合には、自主的に復習しておくこと。
注意点:
図やグラフを自ら描き,物体や波の動きの具体的なイメージを持つように意識して学習すること。
学習した内容を理解し,身に着けるためには問題演習が必須である。解法を会得するだけでなく,実際に自分で多くの問題を解けるようになることが特に重要である。授業中にも問題演習の機会を出来るだけ多くとるが,自主学習として問題演習に取り組むことが望ましい。
各自の学習の必要に応じて参考書等を利用する場合,市販の参考書から以下の3点に留意して自分に合ったものを探すと良い。
 1.いろいろな問題を同じ方針で説明していること。
 2.例題が多く,その解法が行間を想像しなくても追えるようにきちんと説明されていること。
 3.解答例に図とその説明が書かれていること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 円運動1 角速度,回転数,周期,速度および加速度の関係を式に記述できる。
これらの物理量を求めることができる。
2週 円運動2 等速円運動の運動方程式を示し,加速度を求めることができる。
運動方程式から、角速度,回転数,周期,速度などの物理量を求めることができる。
3週 単振動1 角振動数,振動数,単振動の周期,速度および加速度の関係を式に記述できる。
これらの物理量を求めることができる。
4週 単振動2 単振動の運動方程式を示し,加速度を求めることができる。
運動方程式から、角振動数,振動数,周期,速度などの物理量を求めることができる。
5週 単振り子 単振り子における諸量の表現ができる.
振り子の等時性について理解している.
6週 中間試験
7週 慣性力
慣性力を考えるかどうかについて,物体の運動の観察者の位置の違いを理解する。
慣性力が働く場合の物体の運動について,運動方程式や力のつり合いの式を適切に示すことができる。
8週 惑星の運動と万有引力1 運動方程式や力のつり合いの式を適切に示すことができる。
物体間に働く万有引力を求めることができる。
2ndQ
9週 惑星の運動と万有引力2 周期や速度などの諸量を求めることができる。
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。
10週 重心と力のモーメント 重心の定義について理解し,重心に関する計算ができる.
力のモーメントの計算ができる.
11週 剛体のつり合い
剛体のつり合いに関する計算ができる.
12週 角運動量と慣性モーメント
角運動量を求め,保存則を計算に利用することができる.
1次元の物体について慣性モーメントの計算ができる。
13週 剛体の運動方程式 剛体の回転運動について,回転の運動方程式を立てて解くことができる.
14週 期末試験
15週
圧力
圧力の概念を理解し、説明することができる.
16週 パスカルの原理
パスカルの原理を式に書くことができる.
後期
3rdQ
1週 アルキメデスの原理 密度の概念を理解し、アルキメデスの原理を式に書くことができる.
2週 波の性質1 波の波長,周期,振動数,速さについて説明できる.また,波の重ね合わせの原理を理解している.
3週 波の性質2
波の反射,屈折,回折,干渉について説明できる.
4週 音の性質と固有振動
共振,共鳴現象について具体例を挙げることができる。
固有振動数を説明し、計算することができる。
5週 ドップラー効果
ドップラー効果による振動数変化を求めることができる.
6週 光の性質1
光の反射,屈折について式を用いて説明し、反射角、屈折角を求めることができる.
全反射を理解し,説明することができる.
7週 光の性質2
偏光について理解し,偏光板の役割や利用方法を説明することができる.
8週 光の性質3 光の分散について説明できる。
光の干渉現象について理解し,具体例をあげることができる.
4thQ
9週 中間試験
10週 熱エネルギー
熱量の保存
原子,分子の熱運動と絶対温度の関係を理解している.
熱量の移動により熱平衡状態に達することを理解している.
熱量の保存則から,熱容量や比熱を求めることができる.
11週 内部エネルギー 気体の内部エネルギーについて理解している.
12週 状態方程式と熱力学第1法則 熱力学の第一法則,理想気体の状態方程式を書くことができ,これらを利用して種々の物理量を求めることができる.
13週 気体の状態変化1
等温変化,断熱変化について理解し,説明できる.
14週 気体の状態変化2
定積変化,定圧変化について理解し,定積モル比熱,定圧モル比熱を示すことができる.
15週 期末試験
16週 気体の分子運動論 原子,分子の運動エネルギーが熱エネルギーとなっていることを理解している.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前12
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前13
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。2
安全を確保して、実験を行うことができる。2
実験報告書を決められた形式で作成できる。2
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験課題等合計
総合評価割合80200100
基礎的能力80200100
専門的能力0000
分野横断的能力0000