概要:
自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の事物や諸現象を,科学的に解明,また探究するための物理的な見方,考え方を身に付ける。
等速円運動,単振動など,典型的かつ理想的な物体の運動を学習する。また,音や光を把握する波動の物理,そして熱力学の基礎についても学習する。
本科目は基礎数学A,基礎数学B,微分・積分,代数・幾何,物理II,電磁気学に関連する。
授業の進め方・方法:
物理Ⅲの授業はアクティブラーニング形式を取り入れた方法で行う。調べ学習や教え合いを通して知識の習得と定着を図るので、授業への主体的な参加が前提である。
授業では,物理量の定義や物理法則について学び,その数学的表現方法を習得する。また,問題演習を通して,物理の概念の確認と習得および知識の定着を図る。物理Ⅱで学んだ「力,力学的エネルギー,運動量」について理解している必要がある。また,常に諸物理量の単位に注意をはらって学習すること。
物理の理解に必要な数学は主に、三角比および三角関数,べクトル,微分積分,二次方程式,連立方程式で,種々の解法をきちんと習得している必要がある。2年次までに既習の数学について,きちんと習得出来ていない場合には、自主的に復習しておくこと。
注意点:
図やグラフを自ら描き,物体や波の動きの具体的なイメージを持つように意識して学習すること。
学習した内容を理解し,身に着けるためには問題演習が必須である。解法を会得するだけでなく,実際に自分で多くの問題を解けるようになることが特に重要である。授業中にも問題演習の機会を出来るだけ多くとるが,自主学習として問題演習に取り組むことが望ましい。
各自の学習の必要に応じて参考書等を利用する場合,市販の参考書から以下の3点に留意して自分に合ったものを探すと良い。
1.いろいろな問題を同じ方針で説明していること。
2.例題が多く,その解法が行間を想像しなくても追えるようにきちんと説明されていること。
3.解答例に図とその説明が書かれていること。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
円運動1 |
角速度,回転数,周期,速度および加速度の関係を式に記述できる。 これらの物理量を求めることができる。
|
2週 |
円運動2 |
等速円運動の運動方程式を示し,加速度を求めることができる。 運動方程式から、角速度,回転数,周期,速度などの物理量を求めることができる。
|
3週 |
単振動1 |
角振動数,振動数,単振動の周期,速度および加速度の関係を式に記述できる。 これらの物理量を求めることができる。
|
4週 |
単振動2 |
単振動の運動方程式を示し,加速度を求めることができる。 運動方程式から、角振動数,振動数,周期,速度などの物理量を求めることができる。
|
5週 |
単振り子 |
単振り子における諸量の表現ができる. 振り子の等時性について理解している.
|
6週 |
中間試験 |
|
7週 |
慣性力
|
慣性力を考えるかどうかについて,物体の運動の観察者の位置の違いを理解する。 慣性力が働く場合の物体の運動について,運動方程式や力のつり合いの式を適切に示すことができる。
|
8週 |
惑星の運動と万有引力1 |
運動方程式や力のつり合いの式を適切に示すことができる。 物体間に働く万有引力を求めることができる。
|
2ndQ |
9週 |
惑星の運動と万有引力2 |
周期や速度などの諸量を求めることができる。 万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。
|
10週 |
重心と力のモーメント |
重心の定義について理解し,重心に関する計算ができる. 力のモーメントの計算ができる.
|
11週 |
剛体のつり合い
|
剛体のつり合いに関する計算ができる.
|
12週 |
角運動量と慣性モーメント
|
角運動量を求め,保存則を計算に利用することができる. 1次元の物体について慣性モーメントの計算ができる。
|
13週 |
剛体の運動方程式 |
剛体の回転運動について,回転の運動方程式を立てて解くことができる.
|
14週 |
期末試験 |
|
15週 |
圧力 |
圧力の概念を理解し、説明することができる.
|
16週 |
パスカルの原理
|
パスカルの原理を式に書くことができる.
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
アルキメデスの原理 |
密度の概念を理解し、アルキメデスの原理を式に書くことができる.
|
2週 |
波の性質1 |
波の波長,周期,振動数,速さについて説明できる.また,波の重ね合わせの原理を理解している.
|
3週 |
波の性質2
|
波の反射,屈折,回折,干渉について説明できる.
|
4週 |
音の性質と固有振動
|
共振,共鳴現象について具体例を挙げることができる。 固有振動数を説明し、計算することができる。
|
5週 |
ドップラー効果
|
ドップラー効果による振動数変化を求めることができる.
|
6週 |
光の性質1
|
光の反射,屈折について式を用いて説明し、反射角、屈折角を求めることができる. 全反射を理解し,説明することができる.
|
7週 |
光の性質2
|
偏光について理解し,偏光板の役割や利用方法を説明することができる.
|
8週 |
光の性質3 |
光の分散について説明できる。 光の干渉現象について理解し,具体例をあげることができる.
|
4thQ |
9週 |
中間試験 |
|
10週 |
熱エネルギー 熱量の保存
|
原子,分子の熱運動と絶対温度の関係を理解している. 熱量の移動により熱平衡状態に達することを理解している. 熱量の保存則から,熱容量や比熱を求めることができる.
|
11週 |
内部エネルギー |
気体の内部エネルギーについて理解している.
|
12週 |
状態方程式と熱力学第1法則 |
熱力学の第一法則,理想気体の状態方程式を書くことができ,これらを利用して種々の物理量を求めることができる.
|
13週 |
気体の状態変化1
|
等温変化,断熱変化について理解し,説明できる.
|
14週 |
気体の状態変化2
|
定積変化,定圧変化について理解し,定積モル比熱,定圧モル比熱を示すことができる.
|
15週 |
期末試験 |
|
16週 |
気体の分子運動論 |
原子,分子の運動エネルギーが熱エネルギーとなっていることを理解している.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | |
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる. | 3 | |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力のモーメントを求めることができる。 | 3 | |
角運動量を求めることができる。 | 3 | |
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。 | 3 | |
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | |
重心に関する計算ができる。 | 3 | |
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。 | 3 | 前12 |
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。 | 3 | |
熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 3 | |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 3 | |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 3 | |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 3 | |
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。 | 3 | |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 3 | |
気体の内部エネルギーについて説明できる。 | 3 | |
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。 | 3 | |
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。 | 2 | |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 2 | |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 3 | |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | |
波の独立性について説明できる。 | 3 | |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 3 | |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | |
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。 | 3 | 前13 |
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。 | 3 | |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | |
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。 | 3 | |
自然光と偏光の違いについて説明できる。 | 3 | |
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。 | 3 | |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 3 | |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 2 | |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 2 | |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 2 | |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | |
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |