人文科学特論

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 人文科学特論
科目番号 0309 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合科学系(広瀬キャンパス一般科目) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 指定しない(教員作成の資料・原典翻訳を随時配布する)
担当教員 笠松 直

到達目標

諸宗教の発生と展開、課題と取り組みについて発展的な知識を得る。さらに人類社会内部の出来事としての宗教減少を、歴史的・哲学的・倫理的・社会的側面から捉える視点を身につけ、応用できることを目指す。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基礎事項の定着:「倫理」「世界史」領域の基礎知識の定着本講義の理解に必要な歴史的・思想史的事項の名称を概ね9割程度記憶している同,概ね8割程度記憶している同,7割未満の記憶に留まる
諸事項の思想史的・歴史的・地理的連関の理解諸事項の定義を概ね理解し,相互の連関を正しく指摘できる同,概ね7割程度の概念について関連事項の連関を正しく指摘できる同,6割未満に留まり,論理的に的確な文章を構築できない
資料調査能力(Cinii等の適切な利用能力)自己の興味関心に従い,講義内容を踏まえて当該分野の学術論文を検索し,読解して報告できる指示された課題について学術論文を読解し,内容を報告できる課題に対して適切な学術論文を探せず,講義内容の諸概念についての理解が不足していると判断される

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
原典に即しながら古代から現代までの宗教史を概観し,宗教の担った社会的・歴史的機能を概説。さらに現代社会において宗教が占める位置について論じる。国家間や国家内で見られる,いわゆる民族問題など文化的相違に起因する諸問題について,歴史的ないし宗教的観点から理解できる。また,文化の多様性を認識し,互いの文化を尊重することの大切さを理解できること。
授業の進め方・方法:
講義担当者が作成した資料に基づき,順次講義を行う。宗教は,前近代的な遺制と見なされがちかもしれないが,実は我々の意識を深層において規定してもいる。これを問うことはある一面において我々自身の存在を反省的に捉えなおす機会となる。また,世界史的な視点から言えば,宗教は世界を動かす重要な力の一端であり続けている。将来,技術者としてグローバルに活動するなら,パートナーとなる人々の知的背景を予め知っておく必要がある。
注意点:
一年次「地理」,二年次「世界史」・「倫理」,さらに一部三年次「政治経済」の知識を前提とする。これらの一般教養項目を再確認する機会とすること。また,高学年になり,項目名を記憶するだけではなく,その内容・意義を理解したうえ,実地に応用する力の養成が求められる。毎日のニュース・新聞に注意するなど(一日30分程度でもよい),社会に対する関心を高めながら,折々に多面的に考察する試みをすること。図書室には関連参考書籍が多数収蔵されている。折に触れ言及するので,各自の興味関心に近い物を読むとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序論「宗教とは何か?」 宗教学及び宗教史学の課題と領域を理解する
2週 宗教学への導入,オットーの宗教哲学概説 「聖なるもの」の概念について理解できる
3週 宗教の芽生え―古代中近東の文学 先史時代から有史時代初期にかけて,宗教史を人類の思想史として理解できる
4週 古代Aryanの世界理解:ヴェーダ・アヴェスター 社会を律する規範がその社会の展開に応じて変化を要請され,発展していく次第を古代インド・イランを題材に順次学ぶ
5週 ウパニシャッドから仏教へ ウパニシャッド哲学の展開から仏教興起にいたる情勢を理解する
6週 初期仏教の思想:南方仏教の世界
初期仏教及び南方仏教の基礎概念を理解する
7週 大乗仏教の思想:法華経・浄土経の思想 各教典の課題とした領域を理解することができる
8週 仏教論理哲学;日本の仏教諸派 多様な文化の一端に触れ,相互の文化尊重の必要性と重要性を理解できる
2ndQ
9週 ユダヤ教展開史 「啓典の民」の起源史について理解する
10週 キリスト教展開史 キリスト教興起の事情とその歴史について理解する
11週 宗教と民族,言語:南スラブ語派の人々の歴史概略 宗教や言語,国家,民族などが,相互に密接にかかわり合っていることを理解する
12週 イスラーム史:初期イスラームの展開 イスラーム展開史を振り返り,基礎的事項を確認する
13週 イスラーム史:中世イスラームの展開 四大法学派などについて基礎的事項を確認する
14週 サラフィスト・ムーヴメント,ジャスミン革命 近現代の「西欧の衝撃」以来のイスラムの思想上の諸潮流について理解する
15週 期末試験 1-14週の学習内容の定着の度合いを確認する
16週 現代を生きる宗教:ネオブッディズムとヴィハーラ運動,「宗教とは何か?」再説 大震災後の宗教者の活動に間説しつつ,現代社会における宗教の機能について論じる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会地歴産業活動(農牧業、水産業、鉱工業、商業・サービス業等)などの人間活動の歴史的発展過程または現在の地域的特性、産業などの発展が社会に及ぼした影響について理解できる。2
人間活動と自然環境との関わりや、産業の発展が自然環境に及ぼした影響について、地理的または歴史的観観点から理解できる。2
社会や自然環境に調和した産業発展に向けた現在までの取り組みについて理解できる。2
日本を含む世界の様々な生活文化、民族・宗教などの文化的諸事象について、歴史的または地理的観点から理解できる。3
国家間や国家内で見られる、いわゆる民族問題など、文化的相違に起因する諸問題について、地理的または歴史的観点から理解できる。3
文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。3後3,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13
公民哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。3後1,後4
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。4後7,後8
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。3後1,後14
地歴・公民現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。2
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。2
今日の国際的な政治・経済の仕組みや、国家間の結びつきの現状とそのさまざまな背景について理解できる。3
環境問題、資源・エネルギー問題、南北問題、人口・食糧問題といった地球的諸課題とその背景について理解できる。3
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小試験合計
総合評価割合600002020100
基礎的能力600002020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000