到達目標
我々の身の回りにある物質やその変化・性質を理解するため,「物質の成り立ち」,「原子の構造とそれから発現する性質」,「化学結合」,「化学反応」などの基礎を習得する。高校化学要領基礎化学の目標である「日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,目的意識を持って観察,実験などを行い,化学的に探究する能力と態度を獲得し,化学の基本的な概念や原理・法則を理解し,科学的な見方,考え方ができるようになる」事を基本目標にする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
化学反応と熱・光 | 具体的な反応の温度変化を調べることができる。ヘスの法則が検証できる。 | 反応熱について正確に表現できる。熱化学方程式を書くことができる。ヘスの法則を理解している。 | 化学反応に伴う熱・光の出入りに興味が無い。 |
酸・塩基、中和反応 | 酸・塩基の概念を理解し、中和反応によって生じる塩の性質について述べることができる。具体的中和反応の生成物、滴定曲線を論理的に説明できる。 | 酸・塩基の複数の定義を理解している。水素イオン濃度とpHについて理解し計算できる。中和の定義を理解し、その量的な計算ができる。 | 酸・塩基の定義が理解できていない。 |
酸化・還元 | 酸化剤、還元剤と酸化数の変化を論理的に理解し、酸化還元反応について論じることができる。酸化・還元が電池や電気分解の基本となっていることを理解している。 | 酸化と還元が電子の授受によることを理解し、酸化剤・還元剤の半反応式が書ける。酸化還元反応式が書け、量的な計算ができる。 | 酸化・還元の概念を理解していない。 |
電池・電気分解 | 金属のイオン化傾向と電池、電気分解の関係性について理解し、ファラデーの法則をもとに、原理的に考察、説明ができる。 | 電池の仕組みを理解し、具体的な反応について基本的な知識を身に付けている。電気分解の仕組みを理解し、イオン化傾向との関係、ファラデーの法則について基本的な知識を身に付け、量的な計算ができる。 | 酸化・還元と電池・電気分解の関連が理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力
教育方法等
概要:
物質の変化や化学反応を, 物質を構成する基本粒子である原子, 分子, イオンの概念を通して理解していく能力を育成する。反応熱、酸塩基,酸化還元,電池,電気分解などの化学反応の基本的な概念を分子の変化とエネルギー、分子の組み換え、電子の授受といった観点から整理する。
授業の進め方・方法:
一般的な講義に加え、アクティブラーニングにより調査、ディスカッション、知識の共有を行い、演習によって知識の定着を図る。また、必要に応じて実験を行い、レポートを提出する。事前学習として、前回の復習、次回の範囲に該当する部分の教科書の記述に目を通しておくこと。事後学習として、教科書傍用問題集によって理解度を確認しておくこと。
注意点:
本科目は「物理」, 「基礎数学A」, 「基礎数学B」, 「化学特論」に関連する。
各元素の単体の性質と周期表との関連をよく理解する。日常利用している電池のしくみや電気分解など,電子のやりとりを含めた物質量を基本にした化学変化の量的関係の計算に習熟する。
構成元素の種類は少ないが化合物の種類がきわめて多い有機化合物について官能基などを基本にして系統的に理解する。
教科書を読み予習すること, 問題集を利用して十分な問題演習を行う事が必要となる。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
反応熱と熱の出入り |
化学反応には熱の出入りがあることを理解する。反応物と生成物のエネルギー差が反応エンタルピーとなることを理解する。
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2週 |
状態変化とエンタルピー変化 |
状態変化にともなうエネルギー変化もエンタルピーを用いて表せることを理解する。
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3週 |
いろいろな反応エンタルピー |
燃焼、溶解、中和、生成の各エンタルピーを分類、説明できる。
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4週 |
反応エンタルピーの表し方 |
化学反応式の右辺の後に、発熱なら負、吸熱なら正の符号をつけ反応エンタルピーを書き加えることが出来る。
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5週 |
比熱、温度と熱量 |
比熱を説明できる。熱量と物質の質量、比熱、温度変化の関係を説明できる。
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6週 |
ヘスの法則 |
反応エンタルピーは、反応経路によらず、反応の始めの状態と終わりの状態で決まることを理解する。
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7週 |
酸と塩基の性質、定義 |
より広範囲の化学反応を酸塩基の概念で整理するための新しい定義を理解する。
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8週 |
酸と塩基の価数 |
酸、塩基の価数を理解する。
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2ndQ |
9週 |
試験 |
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10週 |
電離度と酸、塩基の強弱 |
電離度を理解する。強酸、弱酸、強塩基、弱塩基の違いを説明できる。
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11週 |
水素イオン濃度とpH |
水素イオン濃度を理解する。大きく動く水素イオン濃度を表すためのpHの考え方を理解する。
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12週 |
身近な物質のpHとpH指示薬 |
身近な物質のpHを知り、pHを可視化する指示薬を理解する。
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13週 |
中和反応と塩の生成 |
中和反応の定義とその生成物を理解する。
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14週 |
中和滴定 |
アレニウス型の酸塩基の中和では水素イオンと水酸化物イオンの数が等しくなったときに中和することを理解する。
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15週 |
塩の性質と滴定曲線 |
塩の加水分解とその結果によるpH変化、それに関連した滴定曲線について理解する。実験によって中和と中和点のpHについて理解を深める。
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16週 |
試験返却、解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
酸化と還元の定義 |
酸素の授受、水素の授受、電子の授受による各定義を理解する。
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2週 |
酸化数 |
酸化数を説明できる。
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3週 |
酸化数 |
酸化数を決めることが出来る。
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4週 |
酸化剤 |
酸化剤の働きを酸化還元反応における電子の動きとともに説明できる。
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5週 |
還元剤 |
還元剤の働きを酸化還元反応における電子の動きとともに説明できる。
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6週 |
酸化還元反応における電子に授受と半反応式(イオン反応式) |
酸化還元反応の半反応式(イオン反応式)が書ける。
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7週 |
酸化還元反応の反応式 |
酸化剤と還元剤の半反応式から酸化還元反応式が書ける。
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8週 |
試験 |
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4thQ |
9週 |
酸化剤と還元剤の量的関係 |
酸化還元反応式から量的な計算ができる。
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10週 |
イオン化傾向、金属の反応性 |
イオン化傾向について説明できる。金属の反応性について、イオン化傾向に基き説明できる。
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11週 |
電池の仕組みとボルタ電池 |
電池が酸化還元反応を利用してエネルギーを取り出す装置であることを理解する。イオン化傾向の知識をもとにボルタ電池を理解する。
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12週 |
ダニエル電池 |
ダニエル電池について、その反応が説明できる。
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13週 |
二次電池、鉛蓄電池 |
一次電池、二次電池の種類を知っている。鉛蓄電池の反応が書ける。
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14週 |
電気分解 |
電気分解を説明できる。電気分解の社会的な利用例を説明できる。
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15週 |
電気分解の量的関係 |
ファラデーの法則を使って電気分解の量的計算ができる。
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16週 |
試験返却、解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。 | 3 | 前7 |
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。 | 3 | 前8 |
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。 | 3 | 前10 |
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。 | 3 | 前11,前12 |
中和反応がどのような反応であるか説明できる。 | 3 | 前13 |
中和滴定の計算ができる。 | 3 | 前14,前15 |
酸化還元反応について説明できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9 |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | 後10 |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | 後10,後11 |
ダニエル電池についてその反応を説明できる。 | 3 | 後12 |
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。 | 3 | 後13 |
一次電池の種類を説明できる。 | 3 | 後13 |
二次電池の種類を説明できる。 | 3 | 後13 |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | 後14 |
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。 | 3 | 後14 |
ファラデーの法則による計算ができる。 | 3 | 後15 |
化学実験 | 化学実験 | 試薬の調製ができる。 | 3 | 前15 |
代表的な気体発生の実験ができる。 | 3 | 前15 |
評価割合
| 試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 10 | 70 |
専門的能力 | 20 | 5 | 25 |
分野横断的能力 | 0 | 5 | 5 |