化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学Ⅱ
科目番号 1012 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 数研出版「化学基礎」、数研出版「化学」、数研出版「化学図録(フォトサイエンス)」を使用。また主に自学自修用に数研出版「フォローアップドリル」を使用する。
担当教員 小松 京嗣

到達目標

我々の身の回りにある物質やその変化・性質を理解するため,「物質の成り立ち」,「原子の構造とそれから発現する性質」,「化学結合」,「化学反応」などの基礎を習得する。高校化学要領基礎化学の目標である「日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,目的意識を持って観察,実験などを行い,化学的に探究する能力と態度を獲得し,化学の基本的な概念や原理・法則を理解し,科学的な見方,考え方ができるようになる」事を基本目標にする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
化学反応と熱・光具体的な反応の温度変化を調べることができる。ヘスの法則が検証できる。反応熱について正確に表現できる。熱化学方程式を書くことができる。ヘスの法則を理解している。化学反応に伴う熱・光の出入りに興味が無い。
酸・塩基、中和反応酸・塩基の概念を理解し、中和反応によって生じる塩の性質について述べることができる。具体的中和反応の生成物、滴定曲線を論理的に説明できる。酸・塩基の複数の定義を理解している。水素イオン濃度とpHについて理解し計算できる。中和の定義を理解し、その量的な計算ができる。酸・塩基の定義が理解できていない。
酸化・還元酸化剤、還元剤と酸化数の変化を論理的に理解し、酸化還元反応について論じることができる。酸化・還元が電池や電気分解の基本となっていることを理解している。酸化と還元が電子の授受によることを理解し、酸化剤・還元剤の半反応式が書ける。酸化還元反応式が書け、量的な計算ができる。酸化・還元の概念を理解していない。
電池・電気分解金属のイオン化傾向と電池、電気分解の関係性について理解し、ファラデーの法則をもとに、原理的に考察、説明ができる。電池の仕組みを理解し、具体的な反応について基本的な知識を身に付けている。電気分解の仕組みを理解し、イオン化傾向との関係、ファラデーの法則について基本的な知識を身に付け、量的な計算ができる。酸化・還元と電池・電気分解の関連が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力

教育方法等

概要:
物質の変化や化学反応を, 物質を構成する基本粒子である原子, 分子, イオンの概念を通して理解していく能力を育成する。反応熱、酸塩基,酸化還元,電池,電気分解などの化学反応の基本的な概念を分子の変化とエネルギー、分子の組み換え、電子の授受といった観点から整理する。
授業の進め方・方法:
一般的な講義に加え、アクティブラーニングにより調査、ディスカッション、知識の共有を行い、演習によって知識の定着を図る。また、必要に応じて実験を行い、レポートを提出する。事前学習として、前回の復習、次回の範囲に該当する部分の教科書の記述に目を通しておくこと。事後学習として、教科書傍用問題集によって理解度を確認しておくこと。
注意点:
本科目は「物理」, 「基礎数学A」, 「基礎数学B」, 「化学特論」に関連する。
各元素の単体の性質と周期表との関連をよく理解する。日常利用している電池のしくみや電気分解など,電子のやりとりを含めた物質量を基本にした化学変化の量的関係の計算に習熟する。
構成元素の種類は少ないが化合物の種類がきわめて多い有機化合物について官能基などを基本にして系統的に理解する。
教科書を読み予習すること, 問題集を利用して十分な問題演習を行う事が必要となる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 気体の体積と圧力、気体の体積と温度 ボイルの法則とシャルルの法則を理解する。
2週 絶対温度 気体の体積と温度の関係から、絶対温度を理解する。
3週 気体の体積と圧力、温度 ボイル・シャルルの法則を理解する。
4週 気体の状態方程式 ボイル・シャルルの法則から気体の状態方程式を理解する。
5週 気体の状態方程式と分子量 気体の状態方程式を使った分子量の算出を理解する。
6週 混合気体の圧力 理想気体の全圧と分圧の関係を理解する。
7週 分圧と物質量・体積 分圧と物質量の関係、分圧と体積の関係を理解する。
8週 理想気体と実在気体 実在する気体と理想気体の違いを理解する。
2ndQ
9週 試験
10週 反応熱と熱の出入り 化学反応には熱の出入りがあることを理解する。反応物と生成物のエネルギー差が反応エンタルピーとなることを理解する。
11週 状態変化とエンタルピー変化 状態変化にともなうエネルギー変化もエンタルピーを用いて表せることを理解する。
12週 いろいろな反応エンタルピー 燃焼、溶解、中和、生成の各エンタルピーを分類、説明できる。
13週 反応エンタルピーの表し方。比熱、温度と熱量 化学反応式の右辺の後に、発熱なら負、吸熱なら正の符号をつけ反応エンタルピーを書き加えることが出来る。比熱を説明できる。熱量と物質の質量、比熱、温度変化の関係を説明できる。
14週 ヘスの法則 反応エンタルピーは、反応経路によらず、反応の始めの状態と終わりの状態で決まることを理解する。
15週 ヘスの法則 ヘスの法則の利用。
16週 試験返却、解説
後期
3rdQ
1週 酸と塩基の性質、定義。 より広範囲の化学反応を酸塩基の概念で整理するための新しい定義を理解する。
2週 酸と塩基の価数 酸、塩基の価数を理解する。
3週 電離度と酸、塩基の強弱 電離度を理解する。強酸、弱酸、強塩基、弱塩基の違いを説明できる。
4週 水素イオン濃度とpH。身近な物質のpHとpH指示薬 水素イオン濃度を理解する。大きく動く水素イオン濃度を表すためのpHの考え方を理解する。身近な物質のpHを知り、pHを可視化する指示薬を理解する。
5週 中和反応と塩の生成 中和反応の定義とその生成物を理解する。
6週 中和滴定 アレニウス型の酸塩基の中和では水素イオンと水酸化物イオンの数が等しくなったときに中和することを理解する。
7週 塩の性質と滴定曲線 塩の加水分解とその結果によるpH変化、それに関連した滴定曲線について理解する。実験によって中和と中和点のpHについて理解を深める
8週 試験
4thQ
9週 酸化と還元の定義。 酸素の授受、水素の授受、電子の授受による各定義を理解する。酸化数を説明できる。
10週 酸化数、酸化剤、還元剤 酸化数を決めることが出来る。酸化剤と還元剤の働きを、電子の移動方向とともに理解する。
11週 酸化還元反応における電子に授受と半反応式(イオン反応式) 酸化剤と還元剤の半反応式から酸化還元反応式が書ける。
12週 酸化剤と還元剤の量的関係 酸化還元反応式から量的な計算ができる。
13週 イオン化傾向、金属の反応性。電池の仕組みとボルタ電池,、ダニエル電池 イオン化傾向について説明できる。金属の反応性について、イオン化傾向に基き説明できる。電池が酸化還元反応を利用してエネルギーを取り出す装置であることを理解する。イオン化傾向の知識をもとにボルタ電池を理解する。ダニエル電池について、その反応が説明できる。
14週 二次電池、鉛蓄電池 一次電池、二次電池の種類を知っている。鉛蓄電池の反応が書ける。
15週 電気分解とその量的関係 電気分解を説明できる。電気分解の社会的な利用例を説明できる。ファラデーの法則を使って電気分解の量的計算ができる。
16週 試験返却、解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3前1,前2,前3
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3前4,前5,前6,前7,前8
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3後1
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3後2
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3後3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3後4
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3後5
中和滴定の計算ができる。3後6,後7
酸化還元反応について説明できる。3後9,後10,後11,後12
イオン化傾向について説明できる。3後13
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3後13
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3後13
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3後14
一次電池の種類を説明できる。3後14
二次電池の種類を説明できる。3後14
電気分解反応を説明できる。3後15
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3後15
ファラデーの法則による計算ができる。3後15
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3後5
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3後5
測定と測定値の取り扱いができる。3前1
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前1
ガラス器具の取り扱いができる。3後5
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3後5
試薬の調製ができる。3後6
代表的な気体発生の実験ができる。3後6
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3後6

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力601070
専門的能力20525
分野横断的能力055