化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学Ⅰ
科目番号 0015 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 数研出版 化学基礎 / フォトサイエンス化学図録 / フォローアップドリル
担当教員 小松 京嗣

到達目標

我々の身の回りにある物質やその変化・性質を理解するため,「物質の成り立ち」,「原子の構造とそれから発現する性質」,「化学結合」,「化学反応」などの基礎を習得する。高校化学要領基礎化学の目標である「日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,目的意識を持って観察,実験などを行い,化学的に探究する能力と態度を獲得し,化学の基本的な概念や原理・法則を理解し,科学的な見方,考え方ができるようになる」事を基本目標にする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
化学と人間生活観察や実験などを通して物質と人間生活、化学の役割についての基本概念や、基本的な原理などの知識を身に付けている。物質と人間生活、化学の役割に興味を持ち、具体的な物質や社会との関連、歴史中の問題などを見出せる。物質と人間生活、化学の役割に興味が無い。
物質の成分と構成元素物質の探求には、物質の構造、化学結合などの基本的な概念や原理・法則が必要であることを理解している。物質の分離、精製、確認方法の基本的知識を持ち、必要の応じてそれらを活用する方法を的確に表現できる。身の回りの物質に興味が無い。
物質の三態と粒子の熱運動物質の状態変化が温度と関係する熱運動と分子間力によって決まることを理解し、身の回りの現象の理解にも応用できる。物質の三態を調べる方法を身に付け、それらを熱運動と分子間力の関係で理解している。物質の状態に興味がない。元素、原子、単体の区別ができない。
気体分子の熱運動、状態変化、ボイルの法則、シャルルの法則、ボイルシャルルの法則気体の基本的な法則を検証する化学的な実験を理解し、その結果と意味を的確に表現できる。物質の三態、蒸気圧、沸騰などについて関心を持ち、状態変化とエネルギーや分子間力との関係を意欲的に探究し、気体の基本的な法則について理解している。物質の状態変化とエネルギーの関係を理解していない。
原子の構造、電子配置原子の電子配置について基本的な概念を理解し、電子配置と周期表の具体的な関連性について述べることができる。原子の電子配置と価電子等の概念をもとに原子の構造と性質を考察できる。周期表の構成とその意味を理解できる。原子の構造と電子配置の規則性について理解していない。
化学結合物質を構成する元素の性質と化学結合の関係を理解し、イオン性の物質、分子、金属の特徴を化学結合の概念から説明できる。イオン結合、共有結合、金属結合の区別ができ、それぞれの結合の特徴を理解している。イオン結合、共有結合、金属結合の区別ができない。
原子量、分子量、式量、物質量相対質量、原子量、分子量、式量について正確な知識を持ち、様々な状態の物質の量を正確に表現できる。相対質量の概念を理解し、原子量、分子量、物質量の関係を説明できる。アボガドロ数と物質量の関係を説明できる。物質量の計算ができる。相対質量の概念を理解していない。物質量の概念を理解していない。
化学反応式と量的関係相対質量、原子量、分子量、式量、アボガドロ数、物質量の関係を正確に理解し、様々なケースについて量的な関係を論じることができる。化学反応式の書き方とその意味を理解している。係数と物質量の関係を理解し、その量的な計算ができる。化学反応式の書き方を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力

教育方法等

概要:
原子の電子配置とイオンの概念を学習する。そして、化学反応における物質の量的関係が物質の量の単位「モル」比で理解されることを学習する。物質の変化や化学反応を,物質を構成する基本粒子である原子,分子,イオンの概念を通して理解していく能力を育成する。
授業の進め方・方法:
一般的な講義に加え、一部アクティブラーニングを取り入れ、調査、ディスカッション、知識の共有を行い、演習によって知識の定着を図る。必要に応じて実験を行い、レポートを提出する。
事前学習として、前回の授業内容を復習し、次回の内容に該当する教科書の記述に目を通しておくこと。事後学習として、教科書傍用のフォローアップドリルを用いて理解度を確認すること。
注意点:
本科目は, 「物理」, 「基礎数学A」, 「基礎数学B」, 「化学Ⅱ」, 「化学特論」に関連する。
目に見えない原子や分子の存在をイメージするうえで,化学の基本法則の理解が重要である。
また,化学では基本単位「モル」を用いる。この化学に特徴的な単位の理解のために,さらに,化学変化の定量性を理解するために,授業前の予習と, 問題集による十分な演習が必要である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学と人間生活とのかかわり、数値の扱い 代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて理解する。洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて理解する。科学で取り扱う数値、有効数字を理解する。
2週 物質の成分と構成元素 純物質と混合物が説明できる。単体と化合物が説明できる。混合物の分離を理解し、分離法を選択できる。 原子の構造を理解する。同位体を説明できる。
3週 物質の成分と構成元素  電子配置 元素、単体、化合物、同素体が説明できる。炎色反応、沈殿の生成による元素の確認方法を理解する。電子殻を理解する。最外殻電子、価電子を説明できる。
4週 物質の三態と粒子の熱運動  希ガスの電子配置 物質を構成する分子・原子が常に運動している事を理解する。物質の三態とその状態変化を説明できる。 オクテット則を説明できる。希ガスが安定であることを理解する。
5週 気体分子の熱運動、状態変化、温度 状態変化が物質を構成する粒子の集合状態や運動状態の変化によって起こることを理解する。温度はそれを作る分子等の熱運動の激しさに対応することを理解する。
6週 シャルルの法則、ボイルの法則
ボイルシャルルの法則
圧力一定の条件で、温度の変化による気体の体積変化について理解する。また、温度一定の条件で、気体の体積と圧力の関係を理解する。
7週 気体の状態方程式 ボイル・シャルルの法則から、気体の状態方程式を理解し、気体の状態方程式を様々なケースに適用し計算できるようにする。
8週 試験
2ndQ
9週 原子の構造、同位体 原子の構造、陽子、中性子、電子を理解し、原子の種類、同位体について理解する。   
10週 電子配置、周期表 価電子数と元素の性質、周期律を理解する。希ガスが安定であることを理解する。
11週 イオンの生成 静電的な引力による結びつきを理解する。オクテット則との関連からイオン化について説明できる。代表的なイオンを化学式で書ける。
12週 イオン化エネルギー、電子親和力、イオン半径 原子からイオンに成る成り易さとエネルギーの関係を理解する。イオンの生成とイオン半径の関係を理解する。
13週 周期表、元素の分類    原子番号から価電子数を見積もり、原子の性質について考えられる。元素の性質を周期律から考えることができる。
14週 試験返却、解説
15週 イオン結合とイオン結晶、組成式 どの様な組み合わせでイオン結合になるのか説明できる。イオン結合性物質の性質を説明できる。イオン結晶がどの様なものか説明できる。
16週 共有結合と分子、分子からなる物質    最外殻電子の重要性を理解する。電子式が書ける。電子式から分子の形を推測できる。どのような物が分子からできているか理解する。  
後期
3rdQ
1週 電気陰性度と極性、分子間力、共有結合の結晶 結合に関与する電子の偏りを理解する。分子間に働く力について理解する。
2週 金属結合と金属の結晶 自由電子と金属結合を説明できる。金属の性質を説明できる。
3週 原子量・分子量・式量 相対質量を説明できる。同位体を説明できる。原子量を説明できる。分子量・式量を説明できる。
4週 アボガドロ定数と物質量 アボガドロ定数を説明できる。物質量を用いて物質の量を表すことができる。
5週 原子量、分子量、式量 物質量を説明できる。
6週 物質量 様々な物質の1モルについて考え、物質量と質量の関係を理解できる。
7週 物資量と気体の体積 物質量と気体の体積の関係を説明できる。
8週 試験
4thQ
9週 溶液の濃度 質量パーセント濃度、モル濃度を説明、計算できる。
10週 化学反応式 化学反応を反応物、生成物、係数を理解し組み立てることができる。
11週 未定係数法 複雑な化学反応式の係数決定法を理解し、計算できる。反応に関与するイオンだけを記述することができる。
12週 未定係数法、イオン反応式 化学反応式の係数の意味と量的関係を説明できる。電荷を含めた考察から化学反応式の係数を決定できる。
13週 化学反応の量的関係 化学反応式を用いて化学量論的な計算ができる。
14週 化学反応の量的関係 化学反応式を用いて過不足のある化学量論的な計算ができる。
15週 化学反応の量的関係 化学反応式を用いて過不足のある化学量論的な計算ができる。
16週 試験返却、解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3前1
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3前1
物質が原子からできていることを説明できる。3前2
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前2
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前3
純物質と混合物の区別が説明できる。3前2
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3前2
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3前4
水の状態変化が説明できる。3前4
物質の三態とその状態変化を説明できる。3前4
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3前6
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3前7
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前9
同位体について説明できる。3前9
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3前9
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前10
価電子の働きについて説明できる。3前10
原子のイオン化について説明できる。3前11
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前11
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前13
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前13
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前11
イオン結合について説明できる。3前15
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前15
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前15
共有結合について説明できる。3前16
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前16
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3後2
金属の性質を説明できる。3後2
原子の相対質量が説明できる。3後1
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3後3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3後4,後5
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3後5
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3後5
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3後10,後11,後12
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3後13,後14,後15
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後9
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3後9
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3後9
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3後6
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3後6
測定と測定値の取り扱いができる。3前1
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3後6
ガラス器具の取り扱いができる。3後6
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3後6
試薬の調製ができる。3後6
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3前6

評価割合

試験演習合計
総合評価割合8020100
基礎的能力601070
専門的能力20525
分野横断的能力055