物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理Ⅰ
科目番号 0016 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「総合物理I」 (啓林館), 「リードα 物理基礎・物理」 (数研出版),「新課程 フォトサイエンス物理図録」 (数研出版),「漆原の物理 物理基礎・物理 明快解法講座」 (旺文社)
担当教員 小野 慎司,穂坂 紀子

到達目標

いろいろな物理量をきちんと理解し,速度および加速度についてはその定義を説明することができる.
物体に働く力を正しく示すことができ,適切に成分分解することができる.
いろいろな運動について,運動方程式を正しく記述することができ,物体の運動に関する基礎的な計算ができる.
運動の法則や力学的エネルギー保存則,運動量保存則をいろいろな問題に応用することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安基礎的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
さまざまな物理量と単位,ベクトル量の計算様々な物理量の単位を正しく示すことができ,関係を理解してそれらを計算することができる. 速度,加速度の定義を説明し,微分及び積分の式で示すことができる. 速度の合成,相対速度について,ベクトルに結びつけて説明し,計算することができる.スカラー量,ベクトル量について理解し,様々な物理量の単位を正しく示し,それぞれを計算することができる. 速度,加速度の定義を説明し,等加速度直線運動の式を示すことができる. 2次元の速度の合成,相対速度の計算ができる.スカラー量,ベクトル量の違いを説明することができ,様々な物理量の単位を正しく示すことができる. 速度,加速度の定義を説明することができる. ベクトルの合成の計算ができる. 1次元の速度の合成,相対速度の計算ができる.スカラー量とベクトル量の違いを説明することができない. 物理量の単位を正しく示すことができない. 速度,加速度の定義を説明することができない. ベクトルの合成の計算ができない.
力のつり合いと運動方程式互いに力を及ぼしあう複数の物体に働く力を,物体ごとに区別して,すべて示すことができ,それらの力の大きさを適切に求めることができる. 力のつり合いの式,および運動方程式を適切に書くことができ,その物理的な意味を説明することができる. 運動方程式を連立して加速度を求め,物体の座標,速度,時間に関する計算ができる. 」パスカルの法則やアルキメデスの原理を説明し,必要な物理量を適切に求めることができる。 静水中の物体について,運動方程式,力のつり合いの式を適切に示し,物理量を求めることができる。物体に働く力について,何が何に及ぼす力か説明できる. 物体に働く力をすべて示すことができる. 弾性力,および摩擦力の大きさを適切に求めることができる. 力の成分分解を適切に行い,力のつり合いの式,および運動方程式を書くことができる. 運動方程式から加速度を求め,物体の座標,速度,時間に関する計算ができる. 圧力と力の違いを説明し,パスカルの法則から力や圧力を求めることができる。 アルキメデスの原理を説明でき,静水中の物体の運動方程式,力のつり合いの式を書くことができる。物体に働く力を示すことができる. 弾性力,摩擦力の大きさを求めることができる. 力の成分分解をすることができる. 力のつり合いの式を書くことができる. 運動方程式を書くことができる. 運動方程式から加速度を求めることができる. 速度,加速度,変位の関係を式に書くことができる. 密度,圧力の定義を説明できる。 パスカルの法則を式に示すことができる。 アルキメデスの原理から浮力を求めることができる。力を示すことができない. 力の成分分解ができない. 弾性力,摩擦力の大きさを求めることができない. 力のつり合いの式を書くことができない. 運動方程式を書くことができない. 運動方程式から加速度を求めることができない. 速度,加速度,変位の関係を式に書くことができない. 密度,圧力の定義を説明できない。 パスカルの法則,アルキメデスの原理を式に書くことができない。
力積と運動量2次元の運動について,力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書き,物理量を求めることができる. 反発係数の式と運動量保存則の式を用いて様々な物理量を計算できる.力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書き,物理量を求めることができる. 反発係数の式と運動量保存則の式を用いて速度を計算することができる.力積と運動量を求めることができる. 力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書くことができる. 反発係数の式を書くことができる.力積と運動量を求めることができない. 力積と運動量の関係,運動量保存則の式を書くことができない. 反発係数の式を書くことができない.
仕事と力学的エネルギー仕事と力学的エネルギーの関係を理解し,その関係式や力学的エネルギー保存則の式を書き,様々な物理量を求めることができる.仕事,力学的エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギー保存則の式を書き,速さや高さを求めることができる.仕事,運動エネルギー,位置エネルギー,弾性エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギーを求めることができる. 力学的エネルギー保存則の式を書くことができる.仕事,運動エネルギー,位置エネルギー,弾性エネルギーを求めることができない. 力学的エネルギーを理解していない. 力学的エネルギー保存則の式を書くことができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力

教育方法等

概要:
自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の事物や諸現象を,科学的に解明,また探究するための物理的な見方,考え方を身に付ける.
力学の基本的な物理量の表し方と,力と運動の関係について学習する。直線運動,平面の運動など,典型的かつ理想的な物体の運動を学習する.
本科目は基礎数学A,基礎数学B,微分・積分,代数・幾何,物理II,物理III,電磁気学に関連する.
授業の進め方・方法:
物理Ⅰの授業はアクティブラーニング形式を取り入れた方法で行う.調べ学習や教え合いを通して知識の習得と定着を図るので,授業への主体的な参加が前提である.
授業では,物理量の定義や物理法則について学び,その数学的表現方法を習得する.また,問題演習を通して,物理の概念の確認と習得および知識の定着を図る.
物理の理解に必要な数学のうち,1,2年生で学習する三角比および三角関数,べクトル,微分積分については,随時確認を行いながら授業を進める.二次方程式や連立方程式は頻繁に使うので,種々の解法をきちんと習得している必要がある.また,二次方程式は式とグラフの関係を理解していることも重要である.中学校までに既習の数学について,きちんと習得出来ていない場合には,復習しておくこと.

[事前学習(予習)]
前回までの授業で学習した内容に関して,物理量の定義や物理法則の式の作り方を確認し,使えるようにしておくこと.
学年の数学の進捗に応じて,連立方程式や二次方程式,三角関数,ベクトル,微分積分の計算ができるようにしておくこと.
[事後学習(復習)]
授業中に学習した物理量や物理法則の記述を再確認すること.
物理量の定義や物理法則を意識しながら問題演習に取り組み,学習した知識の使い方に習熟しておくこと.
注意点:
図やグラフを自ら描き,物体の動きの具体的なイメージを持つように意識して学習すること.
学習した内容を理解し,身に着けるためには問題演習が必須である.解法を会得するだけでなく,実際に自分で多くの問題を解けるようになることが特に重要である.授業中にも問題演習の機会を出来るだけ多くとるが,自主学習として問題演習に取り組むことが望ましい.
各自の学習の必要に応じて参考書等を利用する場合,市販の参考書から以下の3点に留意して自分に合ったものを探すと良い.
 1.いろいろな問題を同じ方針で説明していること.
 2.例題が多く,その解法が行間を想像しなくても追えるようにきちんと説明されていること.
 3.解答例に図とその説明が書かれていること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理のための数学(三角関数とベクトル)1
ベクトルの基本的な考え方を理解する.
二次元のベクトルの足し算,引き算ができる.
2週 物理のための数学(三角関数とベクトル)2
三角比,三角関数の基本的な考え方を理解する.
三角比を使ったベクトルの成分分解ができる.
3週 速度の合成と相対速度1
二次元の速度ベクトルの加減計算ができる.
2物体の合成速度,相対速度の考え方を理解できる.
4週 速度の合成と相対速度2

2物体の合成速度,相対速度を求めることができる.
5週 次元と単位,変位と速度・加速度
スカラー量とベクトル量の概念を理解し,物理量を正しく記述することができる.
速度,加速度の定義を説明し,式にすることができる.
速度,加速度,変位,時間の関係を式に記述できる.
6週 等速直線運動と等加速度直線運動 等加速度直線運動の式を用いて,物体の変位(座標),時間,速度に関する計算ができる.
7週 いろいろな力

物体に働く力について,何が何に及ぼす力か説明できる.
弾性力の大きさを求めることができる.
物体に作用する力を図示することができる.
8週 力のつり合い1 物体に働く複数の力をすべて図に描き出すことができる.
力のつり合いの式を書くことができる.
2ndQ
9週 中間試験
10週 力のつり合い2
摩擦力が働く場合の力のつりあいについて理解している.
最大静止摩擦力に関する計算ができる.
力のつり合いの式から物理量を求めることができる.
11週 運動の法則(慣性の法則,作用反作用の法則) 力が作用することの意味を理解する.
慣性の法則について説明できる.
作用と反作用の関係を具体例を挙げて説明できる.

12週 運動の法則(運動方程式)
物体に働く力と加速度の比例関係,質量と加速度の反比例関係について理解する.
運動方程式の書き方を理解する.
13週 自由落下,鉛直投上1
運動方程式を書くことができる.
運動方程式から加速度を求めることができる.
速度,加速度,変位の関係を式に書くことができる.
14週 自由落下,鉛直投上2 自由落下した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
鉛直投上した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
15週 期末試験
16週 斜面上の物体の運動1
力の成分分解をして,斜面に平行および垂直な方向の力を示すことができる.
動摩擦に関する計算ができる.
後期
3rdQ
1週 斜面上の物体の運動2 斜面上を動く物体について,運動方程式を書くことができる.
物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
2週 複数の物体の運動1 互いに力を及ぼしあう物体について,物体に働く力をそれぞれ区別して示すことができる.
3週 複数の物体の運動2 互いに力を及ぼしあう物体の運動について,運動方程式を立て,連立方程式を利用して加速度を求めることができる.
4週 水平投射1 水平投射した物体の運動方程式を書くことができる.
加速度,速度,変位をベクトル表示できる.
5週 水平投射2 水平投射した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
6週 斜方投射1 斜方投射した物体の運動方程式を書くことができる.
加速度,速度,変位をベクトル表示できる.
7週 斜方投射2
斜方投射した物体の座標,速度,時間に関する計算ができる.
8週 力積と運動量 物体の質量と速度から運動量を求めることができる.
力と時間から力積を求めることができる.
4thQ
9週 中間試験
10週 運動量と力積の関係式
運動量と力積の関係を理解し,関係式を作ることができる.
運動量の差が力積に等しいことを理解している.
11週 運動量保存則
反発係数
運動量保存則について理解し、様々な物理量の計算に利用できる.
反発係数について理解し,物理量の計算に利用できる.
12週 仕事,および運動エネルギーと位置エネルギー
仕事と仕事率に関する計算ができる.
物体の運動エネルギーに関する計算ができる.
重力による位置エネルギーに関する計算ができる.
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる.
13週 仕事と力学的エネルギーの関係式 力学的エネルギーの概念を理解し,状況に応じた力学的エネルギーを書き出すことができる.
力学的エネルギーと仕事の関係式を作り、利用できる.
14週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則について理解し,様々な物理量の計算に利用できる.
様々な物理量の計算に仕事および力学的エネルギーを適切に利用できる.
15週 期末試験
16週 物理Iのまとめ 典型的な例題に対して,物理Iで学習した内容(力のつり合いや運動方程式,等加速度直線運動の式,力積・運動量と保存則やその関係式,仕事・力学的エネルギーと保存則やその関係式)を適切に組み合わせて利用し,物理量を求めることができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物理速度と加速度の概念を説明できる。3前4,前5,前6
平均の速度、平均の加速度に関する計算ができる。3前3,前4
直線及び平面運動において、速度をベクトルとして捉え、速度の合成・分解及び相対速度に関する計算ができる。3前6,後5,後7,後16
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の変位、時間、速度に関する計算ができる。3後4,後5,後6,後7
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前5
自由落下及び鉛直投射した物体の変位、速度、時間に関する計算ができる。3前14
水平投射及び斜方投射した物体の変位、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示できる。3前7,前8,前16,後2,後4,後6
力の合成と分解ができる。3前8,前16,後2
質点にはたらく力のつりあいに関する計算ができる。3前7
重力、弾性力、抗力、張力の概念を理解し、それぞれの力に関する計算ができる。3前7
運動の三法則について説明できる。3前11
運動方程式を用いて、物体に生じる加速度や物体にはたらく力などを求めることができる。3前11,後2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前10
最大摩擦力に関する計算ができる。3前10,後1
動摩擦力に関する計算ができる。3後1
仕事と仕事率に関する計算ができる。3後12,後13
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3後12
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後12
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後12
力学的エネルギー保存の法則について説明でき、その法則を用いて、物体の速度や変位などを求めることができる。3後14,後16
物体の質量と速度を用いて、運動量を求めることができる。3後8
物体の運動量変化が力積に等しいことを用いて、力積の大きさ、速度変化及び加わる平均の力などを求めることができる。3後10
運動量保存の法則について説明でき、その法則や反発係数を用いて、物体の衝突、分裂及び合体に関して、速度変化などを求めることができる。3後11,後16
物理実験物理実験適切なグラフを作成し、実験データ間の最も確からしい関係を見出すことができる。2
適切な有効数字及び単位を用いて物理量を表すことができる。(化学実験と共通)1
観察・実験結果を座学などで学んだ内容と関連付けて説明できる。(化学実験と共通)2
以下の6分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。力学に関する分野/熱に関する分野/波に関する分野/光に関する分野/電磁気に関する分野/原子(電子及び放射線を含む)に関する分野2

評価割合

試験課題合計
総合評価割合90100100
基礎的能力90100100
専門的能力0000
分野横断的能力0000