到達目標
1.論理回路分野では,データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解し,データを処理するための簡単な回路を設計できること。2.基数変換実習分野では,基数が異なる数値の間で相互に変換できること。3.論理回路設計実習では,簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できること。4.NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できること。5.順序論理回路に関して,フリップフロップの原理を理解し,NAND回路で構成できること。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
論理回路 | データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を正しく理解し,データを処理するための複雑な回路を設計できる。 | データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解し,データを処理するための簡単な回路を設計できる。 | データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解しておらず,データを処理するための回路を設計できない。 |
基数変換実習 | 基数が異なる数値の間で相互に正しく変換できる。 | 基数が異なる数値の間で相互に変換できる。 | 基数が異なる数値の間で相互に変換できない。 |
論理回路設計実習 | 複雑な組合せ論理回路と順序回路を設計できる。 | 簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できる。 | 組合せ論理回路と順序回路を設計できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
2進数と基数変換,ブール代数,基本ゲート回路(AND,OR,NOT,NAND等)を学習し,組合せ論理回路の論理式の導き方,およびカルノー図と論理式の簡単化を学習する。さらに,順序論理回路と各種フリップフロップ回路の動作を学ぶ。カウンタおよびレジスタの動作を学ぶ。
論理演算,組合せ論理回路,フリップフロップ回路など,ディジタル回路を理解する基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
1年次の「コンピュータリテラシ」とも一部関連する科目である。電子回路の知識をまだ持っていないという前提で,純論理的な展開を行う。論理回路図の作成演習,NAND回路の実習等を行うので,テンプレート,工具類が必須である。それらの使い方を覚えることも重要である。
事前学習:毎回の授業前までに,教科書や配布プリントを読み,授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。
事後学習:毎回の授業後に,ドリル演習や実習報告書作成を行い,授業で学んだことを振り返り,今後へ活かす方法を考えること。
注意点:
授業中はしっかりノートをとり,自学自習としてはテキスト,授業ノート,配布プリント資料をよく読み復習を重視すること。
参考書等:
「論理回路の基礎」長島他 著(日刊工業新聞社),「レジスタと演算回路」加藤他 著(日刊工業新聞社),「痛快!コンピュータ学」坂村健(集英社文庫)
授業の属性・履修上の区分
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1.論理回路の基礎 ・数の体系 |
・整数を2進数,10進数,16進数で表現できる。 ・整数をコンピュータのメモリー上でディジタル表現する方法を理解している。
|
2週 |
・基数変換実習 |
・基数が異なる数の間で相互に変換できる。 ・与えられた数値を別の基数を使った数値に変換できる。
|
3週 |
・論理関数(1) |
・基本的な論理演算を行うことができる。
|
4週 |
・論理関数(2) |
・基本的な論理演算を組合わせて,論理関数を論理式として表現できる。
|
5週 |
・論理式の簡単化手法 |
・論理式の簡単化の概念を説明できる。
|
6週 |
・ブール代数の基本問題演習 |
・ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。
|
7週 |
<演習> |
・ブール代数の公式やカルノー図を使い式の簡単化ができる。
|
8週 |
2.組合せ論理回路の設計 ・組合せ論理回路(1) |
・論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。
|
2ndQ |
9週 |
・組合せ論理回路(2) |
・与えられた簡単な組合せ論理回路の機能を説明することができる。
|
10週 |
・論理式,真理値表,論理回路図相互間の変換の演習(1) |
・真理値表,カルノー図,論理式,論理回路図相互間の変換が自在にできる。
|
11週 |
・論理式,真理値表,論理回路図相互間の変換の演習(2) |
・真理値表,カルノー図,論理式,論理回路図相互間の変換が自在にできる。
|
12週 |
・簡単な論理回路の設計,特に演算回路の設計(1) |
・組合せ論理回路に関して,真理値表,カルノー図,論理式,論理回路図を駆使して自在に設計ができる。
|
13週 |
・簡単な論理回路の設計,特に演算回路の設計(2) |
・組合せ論理回路に関して,真理値表,カルノー図,論理式,論理回路図を駆使して自在に設計ができる。
|
14週 |
<演習> |
・組合せ論理回路を設計することができる。
|
15週 |
前期期末試験 |
|
16週 |
前期期末試験の返却,まとめと演習 |
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
3.NAND回路の実習 ・原理:ダイオードトランジスタ論理のNAND回路 |
・ダイオードトランジスタ論理のNAND回路の原理を理解できる。
|
2週 |
<演習>・論理回路設計実習(1) |
・与えられた仕様に合致した簡単な組合せ論理回路や順序回路を設計できる。
|
3週 |
<演習>・論理回路設計実習(2) |
・与えられた仕様に合致した簡単な組合せ論理回路や順序回路を設計できる。
|
4週 |
・実習:基本論理回路,簡単な組合せ論理回路の製作(1) |
・NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できる。
|
5週 |
・実習:基本論理回路,簡単な組合せ論理回路の製作(2) |
・NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できる。
|
6週 |
・実習:基本論理回路,簡単な組合せ論理回路の製作(3) |
・NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できる。
|
7週 |
・実習:基本論理回路,簡単な組合せ論理回路の製作(4) |
・NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できる。
|
8週 |
4.順序論理回路の考え方 ・時間と記憶の概念 |
・時間と記憶の概念を説明できる。
|
4thQ |
9週 |
・順序回路 |
・順序回路の概念を説明できる。
|
10週 |
・フリップフロップの機能と動作概念(1) |
・フリップフロップなどの順序回路の基本素子について,その動作と特性を説明することができる。
|
11週 |
・フリップフロップの機能と動作概念(2) |
・フリップフロップなどの順序回路の基本素子について,その動作と特性を説明することができる。
|
12週 |
・フリップフロップの製作実習(1) |
・順序論理回路に関して,フリップフロップの原理を理解し,NAND回路で構成できる。
|
13週 |
・フリップフロップの製作実習(2) |
・順序論理回路に関して,フリップフロップの原理を理解し,NAND回路で構成できる。
|
14週 |
<演習> |
・与えられた仕様に合致した簡単な組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 ・カウンタおよびレジスタの動作を説明することができる。
|
15週 |
後期期末試験 |
|
16週 |
後期期末試験の返却,まとめと演習 |
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 情報リテラシー | 情報リテラシー | 論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。 | 3 | 前2,前6 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 計算機工学 | 整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 1 | 前1,前2 |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 3 | 前1,前2 |
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 3 | 前1,前2 |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 1 | 前1,前2 |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 3 | 前3 |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 3 | 前4 |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 3 | 前5 |
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。 | 3 | 前7 |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 3 | 前8 |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 3 | 前9 |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 3 | 前12,前13,前14 |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 3 | 後10,後11 |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 2 | 後14 |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 2 | 後9 |
順序回路を設計することができる。 | 2 | 後14 |
情報数学・情報理論 | ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。 | 2 | |
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。 | 2 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 | 3 | 後2,後3 |
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。 | 3 | 後4,後5,後12 |
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。 | 3 | 後6,後7,後13 |
評価割合
| 定期試験 | 演習レポートや実習報告書 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 15 | 55 |
専門的能力 | 30 | 15 | 45 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |