回路実習基礎

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 回路実習基礎
科目番号 0034 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材 配布プリント他
担当教員 那須 潜思,竹島 久志,鈴木 哲

到達目標

目的:コンピュータならびにその周辺回路の理解および設計・製作をするための基礎として,基本的なデジタル回路およびアナログ回路を設計・製作できるようになることを目指す。
目標1:電子部品のデータシートから設計や解析に必要な事項を抽出できる
目標2:回路図を読む/書く、回路設計ができる
目標3:ブレッドボードおよびユニバーサル基板に回路実装(配線)ができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ディジタル回路の実習与えられたディジタル回路の動作を説明でき、ブレッドボード上で動作確認し、ユニバーサル基板上に製作できる。さらに、簡単なディジタル回路を設計できる。与えられたディジタル回路の動作を説明でき、ブレッドボード上で動作確認し、ユニバーサル基板上に製作できる。与えられたディジタル回路を製作できない。
オペアンプの実習オペアンプの基本的な特徴および使用法を十分に理解し,実際に回路設計およびブレッドボード上に回路の組立てを行うことができる。さらに,回路の動作を十分に理解し,回路に動作不良ががあってもその原因を考察して特定できる。オペアンプの基本的な特徴および使用法を理解し,実際に回路設計およびブレッドボード上に回路の組立てを行うことができる。さらに,回路の動作についても理解できる。オペアンプの基本的な特徴および使用法の理解が不十分で,実際に回路を組み立てることはできても,その動作を理解することができない。
過渡現象複雑なRC回路およびRL回路の過渡現象を定性的および解析的に求めることができる。基本的なRC回路およびRL回路の過渡現象を定性的および解析的に求めることができる。基本的なRC回路およびRL回路の過渡現象を定性的および解析的に求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力

教育方法等

概要:
コンピュータならびにその周辺回路を設計するための基礎として,またハードウェアの理解と応用ができるために,オペアンプを使ったアナログ電子回路および簡単なディジタル回路について,実際に設計・製作をおこなう。本実習を通じて,電気・電子回路への理解を深めるとともに,その大切さと面白さを実感してもらいたい。なお、本授業は、第2学年までのディジタル技術や電気回路等の発展であり、第4学年の電子回路や電子デバイスに接続され、さらには、融合型PBLや卒業研究等で電子回路製作をする場合に役立つものである。
授業の進め方・方法:
授業は,①ディジタル回路実習,②アナログ回路実習,および電気回路基礎の続編として③過渡現象に関する講義,の3つのパートから構成される。ディジタル回路実習では,ディジタルICの使用方法の基本事項の習得するためにロジックICを用いたカウンタ回路を製作し、ユニバーサル基板による回路実装を習得するためにインバータICを用いたLED点滅回路を製作する。アナログ回路実習では,はじめにオペアンプの基本的な動作と使い方について,講義と実習を交えて学ぶ。次に,音声信号で変調されたLED光を用いた,アナログ光通信における受信回路を作る。オペアンプ等を使って受光して得られた微小な音声信号を増幅し,スピーカーを鳴らす実験を行う。過渡現象に関する講義では,回路の電圧や電流を微分方程式で表し,微分方程式を解くことにより,過渡状態における電圧および電流を計算する方法を学ぶ。
【事前学習】次回の授業について、実施内容を確認し必要な準備を行うこと。
【事後学習】授業中に課題が完了しなかった場合は、放課後等を利用して実習を完了させること。授業内容について復習し理解を深めてておくこと。
注意点:
・実習の際には、工具およびテスターを持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 (ディジタル回路)
講義:ガイダンス、ロジックICを用いたカウンタ回路設計1
・フリップフロップを用いたカウンタの動作をタイムチャートで説明できる。
・データシートから必要事項を読み取れる。LEDの電流制限抵抗値を決定できる。
2週 (ディジタル回路)
講義:ロジックICを用いたカウンタ回路設計2
実習:LED点灯実験、プッシュスイッチ入力回路実験、インバータICの利用実験
・C-MOSロジックICの特徴を説明できる。ICを用いたカウンタの回路図を描ける。
・LED点灯回路、スイッチによる信号入力回路を製作できる。インバータICを用いてスイッチでLED点灯を制御できる。
3週 (ディジタル回路)
実習:カウンタ回路の製作
講義:復習と確認テスト
・カウンタ回路をブレッドボード上に製作できる。
・カウンタ回路の重要事項について説明できる。
4週 (ディジタル回路)
講義:LED点滅回路の解析
実習:ブレッドボード上での動作確認
・インバータICを用いたLED点滅回路の回路図を描き動作を説明できる。
・LED点滅回路をブレッドボード上で製作できる。
5週 (ディジタル回路)
実習:ユニバーサル基板の配線設計・実装
・LED点滅回路のユニバーサル基板上での配線を設計できる。
・LED点滅回路のユニバーサル基板上で製作できる。
6週 (ディジタル回路)
実習:ユニバーサル基板への実装
講義:復習と確認テスト
・LED点滅回路の重要事項について説明できる。
7週 (アナログ回路)
講義:ガイダンス,理想オペアンプの特徴および反転増幅・非反転増幅回路の増幅度
実習:反転増幅回路および非反転増幅回路の組立てと動作確認
・オペアンプの基本的な特徴と使用法について理解できる。
・反転増幅回路および非反転増幅回路について,必要な増幅度を得るのに適切な抵抗値を決めることができる。
8週 (アナログ回路)
講義:増幅回路の周波数特性
実習:非反転増幅回路における周波数による増幅度の違い
・増幅回路の周波数特性について説明できる。
・GB積等について説明でき,GB積を用いた簡単な計算ができる。
・オペアンプを使って基本的な増幅回路をブレッドボード上で組み立て,回路の動作を説明できる。
4thQ
9週 (アナログ回路)
講義:増幅以外のオペアンプの利用,復習と確認テスト
実習:微分回路および積分回路を組立てと動作確認
・オペアンプを使って,バッファ回路,微分回路,積分回路を構成できる。
・微分回路や積分回路の動作について説明できる。
10週 (アナログ回路)
講義:オペアンプの応用としてのアナログ光通信回路の各部の動作
実習:アナログ光通信回路の組立てと各部の動作確認1
・アナログ光通信における音声の強弱で変調された光信号の受光回路,電圧増幅回路および電力増幅回路の各部の動作について理解できる。
・それらの回路各部を組み立てて,所望の動作が得られているか特性の測定ができる。
11週 (アナログ回路)
実習:アナログ光通信回路の組立てと各部の動作確認2
・光信号の受光回路,電圧増幅回路および電力増幅回路の各部を組み立てて,所望の動作が得られているか特性の測定ができる。
12週 (アナログ回路)
実習:アナログ光通信回路全体の動作確認
講義:復習と確認テスト
・アナログ光通信回路の回路全体を完成させることができる。
・アナログ光通信回路の回路を構成する各部の動作について説明できる。
13週 予備日 未完了の課題があれば取り組む
14週 (過渡現象)
講義:RC回路の過渡現象
RC回路について,定性的(グラフ描画)および解析的(回路方程式を立てて計算)に過渡応答を求めることができる。
15週 (過渡現象)
講義:RL回路の過渡現象、確認テスト
RL回路について,定性的(グラフ描画)および解析的(回路方程式を立てて計算)に過渡応答を求めることができる。
確認テストを解答することができる。
16週 予備日 未完了の課題があれば取り組む

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3後13,後15
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3後14,後15
情報系分野その他の学習内容トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。3後1,後2
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。3後7,後8,後9,後10,後11,後12
論理回路の動作について実験結果を考察できる。3後2,後3,後4

評価割合

回路製作の進捗・完成度実習・演習確認テスト合計
総合評価割合321652100
ディジタル回路実習1681640
アナログ回路実習1681640
電気回路(過渡現象)002020