ディジタル技術Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 ディジタル技術Ⅰ
科目番号 0034 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「ドリルと演習シリーズ ディジタル回路」春日健著(電気書院)
担当教員 平塚 眞彦,今井 裕司

到達目標

1.基本的な論理演算を組合わせて,論理関数をブール代数の論理式として表現できる。2.論理回路分野では,データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解し,データを処理するための簡単な回路を設計できる。3.論理回路設計実習では,簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できる。4.NAND回路を用いて,種々の組合せ論理回路を自在に構成できる。5.順序論理回路に関して,フリップフロップの原理を理解し,NAND回路で構成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
論理演算複雑な論理演算を組合わせて,論理関数をブール代数の論理式として正しく表現できる。基本的な論理演算を組合わせて,論理関数をブール代数の論理式として表現できる。論理演算を組合わせて,論理関数をブール代数の論理式として表現できない。
論理回路データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を正しく理解し,データを処理するための複雑な回路を設計できる。データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解し,データを処理するための簡単な回路を設計できる。データをディジタル表現する原理とディジタル表現されたデータを処理する原理を理解しておらず,データを処理するための回路を設計できない。
論理回路設計実習複雑な組合せ論理回路と順序回路を設計できる。簡単な組合せ論理回路と順序回路を設計できる。組合せ論理回路と順序回路を設計できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力

教育方法等

概要:
ブール代数,基本ゲート回路(AND,OR,NOT,NAND等)を学習し,組合せ論理回路の論理式の導き方,およびカルノー図と論理式の簡単化を学習する。さらに,順序論理回路,各種フリップフロップ回路,カウンタおよびレジスタの動作を学ぶ。
論理演算,組合せ論理回路,フリップフロップ回路など,ディジタル回路を理解する基礎知識を習得する。
授業の進め方・方法:
1年次の「ディジタル技術基礎」に継続する科目である。電子回路の知識をまだ持っていないという前提で,純論理的な展開を行う。論理回路図の作成演習,NAND回路の実習等を行うので,テンプレート,工具類が必須である。それらの使い方を覚えることも重要である。
事前学習:毎回の授業前までに,教科書や配布プリントを読み,授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。
事後学習:毎回の授業後に,ドリル演習や実習報告書作成を行い,授業で学んだことを振り返り,今後へ活かす方法を考えること。
注意点:
授業中はしっかりノートをとり,自学自習としてはテキスト,授業ノート,配布プリント資料をよく読み復習を重視すること。実習報告書,演習課題に未提出がある場合,不合格となるので計画的に取り組むこと。
参考書等:
「論理回路の基礎」長島他 著(日刊工業新聞社),「レジスタと演算回路」加藤他 著(日刊工業新聞社),「痛快!コンピュータ学」坂村健(集英社文庫)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ●基本論理回路
・ANDゲート,ORゲート,NOTゲート(インバータ)
・基本的な論理演算を行うことができる。
2週 ●代表的な論理ゲート
・NANDゲート,NORゲート,XORゲート
・基本的な論理演算を行うことができる。
3週 ●ブール代数と基本論理演算
・ブール代数の基本演算,基本定理,ド・モルガンの定理
・ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。
4週 ●組合せ回路
・真理値表から論理式の作成
・基本的な論理演算を組合わせて,論理関数をブール代数の論理式として表現できる。
5週 ・カルノー図を用いた論理式の簡単化 ・論理式の簡単化の概念を説明でき,与えられた論理式を様々な手法で簡単化できる。
6週 ・論理回路の構成 ・論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現でき,回路の機能を説明できる。
7週 <演習>
・ブール代数の基本問題演習
・ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。
8週 <実験>基本論理回路(Lv. 1)
・ダイオードトランジスタ論理のNAND回路
・ダイオードトランジスタ論理のNAND回路の原理を理解できる。
2ndQ
9週 <実験>組合せ論理回路(Lv. 2)(1)
・多入力NAND回路,多数決回路
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路を設計,評価できる。
10週 <実験>組合せ論理回路(Lv. 2)(2)
・比較回路,パリティ回路
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路を設計,評価できる。
11週 <実験>組合せ論理回路(Lv. 2)(3)
・エンコーダ,デコーダ
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路を設計,評価できる。
12週 <実験>組合せ論理回路(Lv. 2)(4)
・マルチプレクサ,デマルチプレクサ
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路を設計,評価できる。
13週 <演習>(ドリル)
・比較回路,誤り検出,誤り訂正
・組合せ論理回路を設計できる。
14週 <演習>(ドリル)
・エンコーダ,デコーダ,マルチプレクサ,デマルチプレクサ
・組合せ論理回路を設計できる。
15週 前期期末試験
16週 前期期末試験の返却,まとめと演習
後期
3rdQ
1週 <実験>組合せ論理回路(Lv. 2)(5)
・半加算器,全加算器
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路を設計,評価できる。
2週 <演習>(ドリル)
・2進加算,加算器
・組合せ論理回路を設計できる。
3週 <実験>順序論理回路(Lv. 3)(1)
・RSフリップフロップ,Dフリップフロップ
・与えられた仕様に合致した順序回路を設計,評価できる。
4週 <実験>順序論理回路(Lv. 3)(2)
・JKフリップフロップ,Tフリップフロップ
・与えられた仕様に合致した順序回路を設計,評価できる。
5週 <演習>(ドリル)
・順序回路とは,RSフリップフロップ,Dフリップフロップ
・フリップフロップなどの順序回路の基本素子について,その動作と特性を説明でき,与えられた順序回路の機能を説明できる。
6週 <演習>(ドリル)
・JKフリップフロップ,Tフリップフロップ
・フリップフロップなどの順序回路の基本素子について,その動作と特性を説明でき,与えられた順序回路の機能を説明できる。
7週 ●情報を記憶する順序回路
・フリップフロップのまとめ
・時間と記憶の概念を説明できる。
8週 ●代表的な順序回路
・順序回路の設計法
・順序回路の概念を説明できる。
・順序回路を設計できる。
4thQ
9週 ・非同期式/同期式カウンタ ・非同期式と同期式のカウンタの違いを説明できる。
10週 ・非同期式カウンタの設計 ・順序論理回路の設計法により,同期式と非同期式のカウンタを設計できる。
11週 ・同期式カウンタの設計 ・順序論理回路の設計法により,同期式と非同期式のカウンタを設計できる。
12週 <実験>カウンタの実験(1)
・非同期式/同期式カウンタ
・レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。
13週 <実験>カウンタの実験(2)
・シフトレジスタ
・レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。
14週 <演習>
・論理回路の総合演習
・与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計,評価できる。
15週 後期期末試験
16週 後期期末試験の返却,まとめと演習

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎情報リテラシー情報リテラシー論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3後2
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学基本的な論理演算を行うことができる。4前1,前2
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4前4
論理式の簡単化の概念を説明できる。4前5
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。4前5
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。3前6
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。3前13,前14
組合せ論理回路を設計することができる。3前13,前14
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。3後5,後6
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。2後12,後13
与えられた順序回路の機能を説明することができる。2後12,後13
順序回路を設計することができる。2後3,後4,後8
情報数学・情報理論ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。4前3,前7
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。2前3,前7
分野別の工学実験・実習能力情報系分野【実験・実習能力】情報系【実験・実習】与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。3前9,前10,前11,前12,後1,後14
基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。3前9,前10,前11,前12,後1
論理回路などハードウェアを制御するのに最低限必要な電気電子測定ができる。3前9,前10,前11,前12,後1

評価割合

定期試験演習課題や実習報告書合計
総合評価割合7030100
基礎的能力401555
専門的能力301545