物理Ⅲ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理Ⅲ
科目番号 0047 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「初歩から学ぶ基礎物理学 電磁気・原子」 (大日本図書),「新課程 フォローアップドリル物理 電気と磁気」(数研出版),「漆原 の物理 物理基礎・物理 明快解法講座」 (旺文社)
担当教員 松枝 宏明,佐久間 実緒,園田 潤

到達目標

いろいろな物理量をきちんと理解し,その定義を説明することができる.
力を正しく示すことができ,適切に成分分解することができる.
電気に関する様々な現象を,物理法則と関連づけて考えることができる.
エネルギー,電場,磁場などの基本概念の物理的イメージを掴む.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安基礎的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
さまざまな物理量と単位,ベクトル量の計算様々な物理量の単位を正しく示すことができ,関係を理解してそれらを計算することができる. スカラー量,ベクトル量について理解し,様々な物理量の単位を正しく示し,それぞれを計算することができる. スカラー量,ベクトル量の違いを説明することができ,様々な物理量の単位を正しく示すことができる. スカラー量とベクトル量の違いを説明することができない. 物理量の単位を正しく示すことができない. ベクトルの合成,分解の計算ができない.
電場クーロンの法則を説明し,点電荷間に働く静電気力を適切に求めることができる. 電場と電位の概念,電場と電気力線の関係を適切に説明し、電荷の分布から電場を求めることができる. 導体と不導体の違いを自由電子と関連させて適切に説明することができる. コンデンサーの性質を理解し,コンデンサーの電気容量,蓄えるエネルギーを適切に計算することができる.クーロンの法則を理解し,点電荷間に働く静電気力を求めることができる. 点電荷の作る電場のベクトルを計算でき,対称性のよい電荷分布に対して,ガウスの法則で電場を求めることができる. 導体と不導体の違いを自由電子と関連させて説明することができる. コンデンサーの性質を理解し,並列,直列の場合の電気容量を計算することができる.コンデンサーのエネルギーの式を書くことができる.クーロンの法則を書くことができる. 電位と電場の関係を説明できる. 点電荷の作る電場のベクトルを計算できる. 導体と不導体の違いを説明することができる. 平行板コンデンサーの簡単な合成容量を計算することができる.クーロンの法則を書くことができない. 電位と電場の関係を理解していない. 導体と不導体の違いを説明することができない. コンデンサーの性質について理解していない.
電流電流の意味を理解し,ミクロな視点から適切に説明することができる. 回路の合成抵抗の計算を適切に行うことができ,また,ジュール熱や電力を適切に求めることができる.電流の意味を理解し,ミクロな視点から説明することができる. 直列,並列接続の合成抵抗を求めることができる. ジュール熱や電力を求めることができる.抵抗を流れる電流と電圧の関係を式に書くことができる. 簡単な回路のジュール熱や電力を求めることができる. 電流の意味を理解していない. 抵抗について理解していない. 電力について理解していない.
電流と磁場強磁性体,常磁性体,反磁性体の特徴を説明し,代表的な物質名を挙げることができる. 電流と磁場の関係を理解し,電流が作る磁場の大きさと向き,電流が磁場から受ける力の大きさと向きについて,適切に示すことができる.磁場と磁力線の対応を理解している. 強磁性体,常磁性体,反磁性体の特徴を説明することができる. 直線,円形,ソレノイドの電流が作る磁場の公式を書くことができ,空間の各点での磁場の向きを正しく説明することができる. ローレンツ力の力の大きさと向きを求めることができる.磁場と磁力線の対応を理解している. 磁性体について説明できる. 電流と磁場の関係を理解し,直線および円形の電流が作る磁場の向きを説明することができる. ローレンツの公式を書くことができる.磁場について理解していない. 磁場と電流の関係について理解していない.
電磁誘導電磁誘導の現象を理解し,誘導起電力を適切に計算することができる.また、必要な物理量を求めることができる. 回路におけるコイルの性質を説明することができ,エネルギーなどの物理量を適切に求めることができる.レンツの法則を理解し,誘導電流の向きを説明できる. 磁場中を運動する同線に生じる誘導起電力を計算することができる. 自己誘導を理解し,コイルの性質を説明することができる. コイルに蓄えられるエネルギーを計算することができる.電磁誘導の現象を理解し,誘導起電力の向きを説明できる. 自己誘導を理解し,コイルに蓄えられるエネルギーを計算することができる.電磁誘導について理解していない. コイルの性質を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
自然現象を系統的,論理的に考えていく能力を養い,広く自然の事物や諸現象を,科学的に解明,また探究するための物理的な見方,考え方を身に付ける。
電磁気学の基礎について学習する。
本科目は基礎数学A,基礎数学B,微分・積分,代数・幾何,物理I,電磁気学に関連する。
授業の進め方・方法:
物理Ⅱは,通年で講義を行う。
授業はアクティブラーニング形式を取り入れた方法で行う。調べ学習や教え合いを通して知識の習得と定着を図るので、授業への主体的な参加が前提である。
授業では,物理量の定義や物理法則について学び,その数学的表現方法を習得する。また,問題演習を通して,物理の概念の確認と習得および知識の定着を図る。
物理の理解に必要な数学のうち,1,2年生で学習する三角比および三角関数,べクトル,微分積分について理解できていることが前提である。既習の数学について,きちんと習得出来ていない場合には、自主的に復習しておくこと。
注意点:
図やグラフを自ら描き,具体的なイメージを持つように意識して学習すること。
学習した内容を理解し,身に着けるためには問題演習が必須である。解法を会得するだけでなく,実際に自分で多くの問題を解けるようになることが特に重要である。授業中にも問題演習の機会を出来るだけ多くとるが,自主学習として問題演習に取り組むことが望ましい。
各自の学習の必要に応じて参考書等を利用する場合,市販の参考書から以下の3点に留意して自分に合ったものを探すと良い。
 1.いろいろな問題を同じ方針で説明していること。
 2.例題が多く,その解法が行間を想像しなくても追えるようにきちんと説明されていること。
 3.解答例に図とその説明が書かれていること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 静電気力1 クーロンの法則を書くことができる.
2週 静電気力2 点電荷の間に働く力を計算できる.
3週 電場 点電荷の周りの電場を求めることができる.
4週 電気力線,ガウスの法則 点電荷の周りの電場を求めることができる.
5週 電位 仕事,静電エネルギー,電位の関係を理解し,言葉で説明できる.
6週 点電荷と電位 点電荷の周りの電位を式で表すことができる.
7週 電位と電場 電位と電場の関係を理解し,一様な電場に対して式で表すことができる
8週 中間試験
2ndQ
9週 電場中の物体 導体と不導体の違いを理解し,自由電子という言葉を使って説明できる.
静電誘導と誘電分極について説明できる.
10週 コンデンサーの性質 平行板コンデンサーの電気容量の式を書くことができる.
誘電率の意味を理解し,式で表すことができる.
11週 コンデンサーの接続 コンデンサーの接続が直列と並列の場合について電気容量を計算できる.
12週 コンデンサーが蓄えるエネルギー コンデンサーのエネルギーの式をかくことができる.
13週 電流 電流の意味を理解し,ミクロな視点から説明できる.
14週 オームの法則 抵抗を流れる電流と電圧の関係をかくことができる.
15週 期末試験
16週 抵抗 抵抗と抵抗率の関係を式で表すことができる.
後期
3rdQ
1週 ジュール熱・電力・電力量 電力と電力量の意味を理解し,それらの計算ができる.
2週 抵抗の接続 直列,並列接続の合成抵抗を求めることができる.
3週 キルヒホッフの法則,回路の電位 キルヒホッフの法則を理解し,回路の各点での電位差を計算できる.
4週 電流計と電圧計 電流計と電圧計の内部抵抗を理解し,それらを接続した回路の計算ができる.
5週 磁場 磁場と磁力線の対応を理解し,説明できる.
6週 磁性体 強磁性体,常磁性体,反磁性体の特徴を理解し,代表的な物質名を挙げることができる.
7週 電流が作る磁場 直線,円形,ソレノイドの電流が作る磁場の公式をかくことができ,空間の各点での磁場の向きを正しく説明できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 アンペール力
電流が磁場から受ける力を理解し,力の向きを説明できる.
10週 平行電流間に働く力 平行電流間に働く力の公式を覚えていて,力の向きを正しく説明できる.
11週 ローレンツ力 ローレンツ力の公式を覚えていて,力の向きを説明できる.
12週 ファラデーの電磁誘導の法則 レンツの法則を理解し,誘導電流の向きを説明できる.
誘導起電力の大きさを求めることができる.
13週 運動する導線誘導起電力 磁場中を運動する導線に生じる誘導起電力を計算でき,運動を続けるために必要な力を計算できる.
14週 自己誘導 自己誘導を理解し,回路におけるコイルの性質を説明できる.
15週 期末試験
16週 コイルに蓄えられるエネルギー,相互誘導 コイルに蓄えられるエネルギーを計算できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3
物理実験物理実験電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験課題等合計
総合評価割合80200100
基礎的能力80200100
専門的能力0000
分野横断的能力0000