到達目標
第一学年「現代社会」と第二学年「世界史」の知識を前提に,第五学年「技術者倫理」に接続すべく,1) 紀元前以来の倫理思想史を概観し,高卒程度の「倫理」の基礎知識(人物・概念)をその歴史的背景をあわせて学び,もって2) 人類史上の基礎的倫理問題の枠組みを理解し,3) 現代に生きる社会人としての基礎的な倫理的態度を理解・形成する,ことを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
基礎知識定着 | 高校「倫理」相当の基礎知識が8割(以上)定着すること | 高校「倫理」相当の基礎知識が7割程度定着すること | 高校「倫理」相当の基礎知識の定着が6割以下に留まる |
自学自習 | 参考図書を2~3冊程度読んで考察を試みることができる | 参考図書を1~2冊程度読んで考察を試みることができる | 参考図書読解のような課外学習の跡が看取されない |
思考と表明 | 講義中に適宜の討論ができるようになる。 | 講義内容を踏まえた試験問題(予想)を作成することができる。 | 講義内容の理解が不足し、問題の構成ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
第一学年「現代社会」と第二学年「世界史」の知識を前提に、第五学年「技術者倫理」に接続すべく、まず高校「倫理」水準の内容を総ざらえする。その上で受講者に自学自習を求め、紀元前以来の倫理思想史を概観して人類史上の基礎的倫理問題の枠組みを理解し、現代に生きる社会人としての基礎的な倫理的態度を理解・形成する。本校の現在のカリキュラムでは、人文科学系の講義の時間配当が少ない。出来る限り多様な領域について講義し、他学校種の学生に比してやや不足しがちな領域の知識水準向上に努める。
授業の進め方・方法:
教科書は設定しない。全15回の講義は概ね以下の如く、概ね五回を1セットに、1) 古代思想史+基礎知識確認、2) 近代哲学基礎講座、3) 現代思想への流れ、を講じる。基礎事項を確認するのは、思考をするに際しては、分析概念が用意されなければならないからである。その上で多少の発展的議論に言及する。受講者は、配布された資料をもとに基礎事項を理解し、さらに例示された参考書籍を読み、考察を試みること。講義中に講師から質問があるが、これに回答してもらう。こうして、理論的に一貫した論及の様式とはどのようなものか学習し、さらにはその評価の仕方について学ぶことになる。
注意点:
扱う範囲が広いため、どうしても平明な概説が中心となる。それでも多数の、多様な思想・評価軸を提示されて、学生は自己の価値判断基準を揺るがされるように思い、講義に反感をもつかもしれない。本講義の目的はまさしく、そのような日常的に埋没した精神に客観視の視座を提供するところにある。学生は、以上の如く行われる講義を通じて基礎事項を踏まえ、事例を参照したうえでの思考実験ができるようになることが望ましい。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
哲学の曙光:古代ギリシャ,プレ・ソクラティカからヘレニズムまでの概説 |
世界文化の基層としてのギリシア思想について基礎知識を身につけ、その歴史的背景と価値について理解できる
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2週 |
西欧思想の源流:ユダヤ教からキリスト教まで |
ユダヤ教・キリスト教の成立の事情とその展開について基礎的問題意識を理解できる
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3週 |
東洋思想1:古代インドから仏教,ジャイナ教まで |
世界文化の基層としての古代インド思想および仏教思想の基礎知識を身につけ、その価値について理解できる
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4週 |
東洋思想2:中国思想の基礎知識:儒家思想と道教,法家思想 |
東アジア世界の文化の基層として中国思想の基礎知識を身につけ、その価値について理解できる
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5週 |
東洋思想3:日本の仏教諸宗派概説 |
日本仏教史と日本の政治史・社会史との関係、各時代の課題の所在を理解できる
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6週 |
イスラームの基礎知識:イスラーム勃興とイスラーム法学派の概説 |
世界文化の基層の一つとしてのイスラームの基礎知識を身につけ、その特質について理解できる
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7週 |
宗教改革:ルターとカルヴァン |
宗教改革が近現代人の世界観形成に寄与した次第を理解できる
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8週 |
近代哲学の開始:デカルトとベーコン |
近現代哲学史の基礎としてのデカルトおよびベーコンの思想を理解できる
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4thQ |
9週 |
社会契約説 |
ホッブズ、ロック、ルソーの思想の概要を学び、社会契約説の概要とその登場の歴史的価値を理解できる
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10週 |
カントの実践哲学;ヘーゲルの歴史認識と国家観 |
カントおよびヘーゲルの存在論と倫理思想、社会の構想について理解できる
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11週 |
マルクスの労働観,資本主義分析と人間観 |
社会契約説および功利主義の理解のうえで社会的な存在としての人間のあり方を理解することができる
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12週 |
実存哲学者たちの試み |
主体性を問う諸思想の問題の所在について理解ができる
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13週 |
理性の限界:フロイトから言語哲学・レヴィストロースまで |
人間理性の限界の所在について、諸思想家の論じたところを理解すること
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14週 |
フランクフルト学派の冒険:前史としてのマルクス・フロム等からハバーマスまで |
人間性の疎外の状況について、歴史的文脈において理解し、人間性の回復について考えることができる
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15週 |
現代の正義論:ロールズとセン |
社会的現実を直視しつつ、自らの将来の社会参画について考えることができる
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16週 |
定期試験を行った後、講評・解説を付す |
特に分野横断的知識について問うた問題について解説するので、知識の応用的使用の意義について理解すること
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 50 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 60 |
専門的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 20 |
分野横断的能力 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 |