人文科学

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 人文科学
科目番号 0086 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 自作資料
担当教員 朱 琳

到達目標

第一学年「現代社会」と第二学年「世界史」の知識を前提に,第五学年「技術者倫理」に接続すべく,1) 紀元前以来の倫理思想史を概観し,高卒程度の「倫理」の基礎知識(人物・概念)をその歴史的背景をあわせて学び,もって2) 人類史上の基礎的倫理問題の枠組みを理解し,3) 現代に生きる社会人としての基礎的な倫理的態度を理解・形成する,ことを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基礎知識定着高校「倫理」相当の基礎知識が8割(以上)定着すること高校「倫理」相当の基礎知識が7割程度定着すること高校「倫理」相当の基礎知識の定着が6割以下に留まる
自学自習参考図書を2~3冊程度読んで考察を試みることができる参考図書を1~2冊程度読んで考察を試みることができる参考図書読解のような課外学習の跡が看取されない
思考と表明講義中に適宜の討論ができるようになる。講義内容を踏まえた試験問題(予想)を作成することができる。講義内容の理解が不足し、問題の構成ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 4 技術者として社会的役割や責任を自覚して行動する姿勢

教育方法等

概要:
第一学年「現代社会」と第二学年「世界史」の知識を前提に、第五学年「技術者倫理」に接続すべく、まず高校「倫理」水準の内容を総ざらえする。その上で受講者に自学自習を求め、紀元前以来の倫理思想史を概観して人類史上の基礎的倫理問題の枠組みを理解し、現代に生きる社会人としての基礎的な倫理的態度を理解・形成する。本校の現在のカリキュラムでは、人文科学系の講義の時間配当が少ない。出来る限り多様な領域について講義し、他学校種の学生に比してやや不足しがちな領域の知識水準向上に努める。
授業の進め方・方法:
・教科書は設定しないが、毎回授業後参考書籍を提示する。
・全15回の講義は概ね以下の如く、1) 古代思想史+基礎知識確認、2) 近代哲学基礎講座、3) 現代思想への流れ、を講じる。基礎事項を確認するのは、思考をするに際しては、分析概念が用意されなければならないからである。その上で多少の発展的議論に言及する。受講者は、配布された資料をもとに基礎事項を理解し、さらに例示された参考書籍を読み、考察を試みること。後半には授業の内容に沿って、読書レポートを課す。こうして、理論的に一貫した論及の様式とはどのようなものか学習し、さらにはその評価の仕方について学ぶことになる。
・事前学習:シラバスに掲載された各週のテーマについて、日常生活での出来事から国際社会の情勢まで積極的に関連情報を収集すること。
・事後学習:講義を聞いたうえ、配布資料を参考しながら、ノートをまとめること。
注意点:
扱う範囲が広いため、どうしても平明な概説が中心となる。それでも多数の、多様な思想・評価軸を提示されて、学生は自己の価値判断基準を揺るがされるように思い、講義に反感をもつかもしれない。本講義の目的はまさしく、そのような日常的に埋没した精神に客観視の視座を提供するところにある。学生は、以上の如く行われる講義を通じて基礎事項を踏まえ、事例を参照したうえでの思考実験ができるようになることが望ましい。
*進度を調整するため、適宜内容を増減する可能性があり。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 哲学の曙光:古代ギリシャ,プレ・ソクラティカからヘレニズムまでの概説 世界文化の基層としてのギリシア思想について基礎知識を身につけ、その歴史的背景と価値について理解できる
2週 西欧思想の源流とイスラーム思想 ユダヤ教・キリスト教・イスラームの成立の事情とその展開について基礎的問題意識を理解できる
3週 東洋思想1:古代インドの仏教と日本での受容 世界文化の基層としての古代インド思想および仏教思想の基礎知識を身につけ、さらに日本における仏教の受容と各時代との関係を理解できる
4週 東洋思想2:中国思想の基盤と日本での受容 儒家思想と道教、法家思想を中心に、中国思想の基礎知識を身につけ、その価値について理解できる
5週 近代西洋思想の幕引き:ルネサンスと宗教改革 ルネサンスと宗教改革が近現代人の世界観形成に寄与した次第を理解できる
6週 17世紀の科学・技術と新しい知性:ベーコンとデカルト 近現代哲学史の基礎としてのデカルトおよびベーコンの思想を理解できる
7週 社会契約説 ホッブズ、ロック、ルソーの思想の概要を学び、社会契約説の概要とその登場の歴史的価値を理解できる
8週 18世紀~19世紀のドイツ観念論:カントの実践哲学;ヘーゲルの歴史認識と国家観 カントおよびヘーゲルの存在論と倫理思想、社会の構想について理解できる
4thQ
9週 市民社会論1:スミス、ベンサム、ミル 社会契約説および功利主義の理解のうえで社会的な存在としての人間のあり方を理解することができる
10週 市民社会論2:マルクスとフランクフルト学派 人間性の疎外の状況について、歴史的文脈において理解し、人間性の回復について考えることができる
11週 実存哲学者たちの試み:キルケゴール、ニーチェ 主体性を問う諸思想の問題の所在について理解ができる
12週 理性の限界:フロイトから言語哲学・レヴィストロースまで 人間理性の限界の所在について、心理学・言語学・文化人類学などの諸視点の注目したところを理解できる
13週 現代の正義論:ロールズとセン 社会的現実を直視しつつ、自らの将来の社会参画について考えることができる
14週 ドキュメンタリー視聴 後期の授業の内容に沿って、ドキュメンタリーを視聴し、理解を深化できる
15週 グループ討論 与えられたテーマをめぐって、グループ討論を行い、意見交換をする
16週 定期試験を行った後、講評・解説を付す 特に分野横断的知識について問うた問題について解説するので、知識の応用的使用の意義について理解できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験ポートフォリオレポート合計
総合評価割合701515100
基礎的能力50101070
専門的能力105520
分野横断的能力100010