情報理論

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 情報理論
科目番号 0090 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合工学科Ⅰ類 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「情報科学の基礎」 山崎秀記 著 (サイエンス社)
担当教員 岡本 圭史

到達目標

 記号を扱う数学的概念の総称である離散構造の範疇の中で,特にコンピュータサイエンスに関係深い概念を理解していること。具体的には,以下の到達目標を設定する。
・ 集合及び論理に関する概念,記法を理解し,それらに関する基本的な性質を示せる。
・ 帰納的定義及び帰納的証明法を理解し,形式言語等の具体例に適用できる。
・ グラフ及び2項関係に関する概念,記法を理解し,それらに関する基本的な性質を示せる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
集合に関する概念,記法を理解し,それらに関する基本的な性質を示せる。集合に関する性質を証明できる。集合に関する概念を具体例を用いて説明できる。集合に関する基本的定義を説明できない。
帰納的定義を理解し,形式言語等の具体例に適用できる。帰納的定義に関する性質を証明でき、帰納的証明を実行できる。帰納的定義に関する概念を具体例を用いて説明できる。帰納的定義に関する概念を具体例を用いて説明できない。
オートマトンに関する概念を説明できる。オートマトンに関する概念・性質を説明でき,性質を証明できる。オートマトンに関する概念を説明できる。オートマトンに関する概念を説明できない。
情報のモデル化・符号化について理解し,応用できる。情報のモデル化・符号化について説明でき,応用事例に適用できる。情報のモデル化・符号化について説明でき,簡単な計算を事項できる。情報のモデル化・符号化についてせつめいできない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 工学分野についての幅広い知識と技術を活用できる実践的な能力
JABEE (A) 実践技術者としての高度でかつ幅広い基本的能力・素養

教育方法等

概要:
基本的な数学概念である集合,関係,写像をまず理解し,学習する。さらに,知識処理や推論の基礎として有用な数理論理学を理解する。コンパイラや言語認識の土台となるオートマトンと言語理論や,計算機上の情報表現ついても修得する。
授業の進め方・方法:
* 授業は講義形式と演習を組み合わせて実施される。
* 事前学習として,次回の授業内容について配布資料を確認し,登場する用語や概念の理解に努めること。
* 事後学習として,授業内容を振り返り,用語や概念の理解の定着に努め,演習問題の解答例の理解に努めること。
注意点:
 数学という名称は付いているが,学習内容の大半は新規に登場する抽象度の高い概念である。これらの概念を定着させ,実際に応用するためにも,多くの具体例に習熟するよう留意すること。また,新規に登場した記法は,積極的にそれらを用いて習熟するよう留意すること。
参考書:
「やさしく学べる離散数学」 石村園子 著 (共立出版株式会社)
「基礎 情報数学」 横森貴/小林聡 著 (サイエンス社)
「グラフ理論」 R.ディーステル 著, 根上 生也/太田 克弘 訳 (丸善出版)

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 集合とその記法 集合に関する基本的な概念を理解し,集合を記述できる。
2週 集合演算 集合演算を理解し,集合演算を実行できる。
3週 関係 集合の間の関係(関係)に関する基本的な概念を説明できる。
4週 写像 集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。
5週 文字列と言語の記法1 文字列の概念について説明できる。
6週 文字列と言語の記法2 形式言語の概念について説明できる。
7週 数学的帰納法と帰納的定義 離散数学に関する知識がアルゴリズムの設計に利用できることを理解している。
8週 小テスト 集合に関する基本的概念を理解,説明,計算できる.形式言語に関する基本的概念を説明できる.帰納法に関する基本的概念とアルゴリズム設計へ利用できることを理解している.
2ndQ
9週 言語における帰納1 形式言語の帰納的定義について説明できる。
10週 言語における帰納2 形式言語が制限の多さにしたがって分類されることを説明できる。
11週 有向グラフ,無向グラフ グラフに関する基本的な概念を理解している。
12週 有限オートマトン 有限オートマトンに関する基本的な性質を理解している。コンパイラの役割と仕組みについて説明できる。
13週 計算の数学的モデル プログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。主要な計算モデルを説明できる。
14週 コンピュータが扱うデータ 情報量の概念・定義を理解し、実際に計算することができる。
15週 符号化 情報源のモデルと情報源符号化について説明できる。
16週 まとめ(期末試験答案返却と解説) 形式言語に関する基本的概念と分類を理解している.有限オートマトンやコンパイラの役割を理解,説明できる.計算の数学モデル,コンピュータが扱うデータ,符号化に関する基本的性質を理解,説明できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野プログラミングプログラミング言語は計算モデルによって分類されることを説明できる。4前13
主要な計算モデルを説明できる。4前13
システムプログラム形式言語の概念について説明できる。4前5,前6
オートマトンの概念について説明できる。4前12
コンパイラの役割と仕組みについて説明できる。4前12
形式言語が制限の多さにしたがって分類されることを説明できる。4前10,前12
正規表現と有限オートマトンの関係を説明できる。4前10,前12
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。4前1,前2
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4前3,前4
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4前7
情報量の概念・定義を理解し、実際に計算することができる。4前14
情報源のモデルと情報源符号化について説明できる。4前15
通信路のモデルと通信路符号化について説明できる。4前15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100