到達目標
工学の基本的問題を解決するために必要な数学の知識、計算技術および応用能力を修得させ、この知識および技術等を工学における現象面と関連づけて活用する能力を養う。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
線形代数 | ベクトル,行列の性質を理解し,ベクトルや行列の計算を行うことができる。加えて行列の対角化,特異値分解を行うことができ、それらの幾何的な概念を説明できる。 | ベクトル,行列の性質を理解し,ベクトルや行列の計算を行うことができる。加えて行列の対角化,特異値分解を行うことができる。 | ベクトルや行列の計算、行列の対角化,特異値分解を行うことができない。 |
ベクトル空間 | ベクトル空間の公理について理解し、それらの意味や意義を説明することができる。
具体的な系がベクトル空間をなすかどうかを論理的に判定することができる。 | ベクトル空間の公理について理解し、具体的な系がベクトル空間をなすかどうかを論理的に判定することができる。 | ベクトル空間の公理について理解できず、具体的な系がベクトル空間をなすかどうかを判定できない。 |
関数空間 | 直交関数関数展開やフーリエ解析を実際に行うことができる。さらに、関数空間の文脈において、直交関数系やフーリエ解析の幾何的概念を説明できる。 | 直交関数関数展開やフーリエ解析を実際に行うことができる。 | 直交関数関数展開やフーリエ解析を実際に行うことができない。 |
学科の到達目標項目との関係
JABEE (A) 実践技術者としての高度でかつ幅広い基本的能力・素養
教育方法等
概要:
線形代数は,力学,量子力学などの物理的,工学的問題の解法に欠かせない数学的手段である。学生が将来数学を理工学の道具として使えることを目的とし,本科で学んできたベクトルと行列の概念を拡張し,線形空間の考え方からこれまで学んできた行列、フーリエ級数を理解するとともに,理工学分野への応用を取り扱う。
授業の進め方・方法:
講義形式で授業を進める。
事前学習:各回の授業で次回の授業範囲を示すので、あらかじめ予習を行い、不明な点などをまとめておくこと。
授業では各項目の概要と重要な概念の説明を講義形式で行った後、学生からの質問やコメントに答えたり、ディスカッション(学生同士のディスカッションも含む)を行ったりする方法で授業を進める。
事後学習:理解度を確認するため、課題(レポート)を複数回実施する。
レポート内容としては、計算問題、証明問題に加え、学んだ事項についてのプログラムによる実装と評価も含まれる。
成績評価は,期末試験と課題・レポートで行う。
注意点:
本科目の学習内容は,物理学,工学分野への応用に欠かせない。
本科で学習したベクトル,行列などの数学的基礎、フーリエ級数には充分習熟していることを前提に授業を行う。
必要に応じて復習しておくこと。
参考書:
- 高遠 節夫 他、「新訂 線形代数」、大日本図書、2003年 (このテキストの内容は充分に習得できていることを前提に授業を行う)
- 中原 幹夫 、「量子物理学のための線形代数―ベクトルから量子情報へ」、培風館 、2016年
- 斎藤 毅、「線形代数の世界―抽象数学の入り口 (大学数学の入門)」 、東京大学出版会、2007年
- 塚田真 他、「Pythonで学ぶ線形代数学」、オーム社、2020年
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス ベクトル空間 |
- ベクトル空間の公理を理解し、数ベクトルや関数のつくる空間がベクトル空間をなすことを説明できる。
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2週 |
最小二乗法 |
- 最小二乗法を学び、それを関数が作るベクトル空間(関数空間)での文脈で説明できる。
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3週 |
直交関数展開 |
- 関数空間に計量(内積)を導入した計量空間の概念を学び、直交関数系による関数の展開を行うことができる。
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4週 |
フーリエ解析 |
- フーリエ解析による信号処理の手法を学び、スペクトル、パワー、自己相関関数等の概念を理解し説明できる。
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5週 |
離散フーリエ解析 |
- 離散フーリエ解析の手法を学びディジタルデータの解析が行えるようになる。高速フーリエ変換や離散コサイン変換の仕組みを学び、実装できるようになる。
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6週 |
固有値問題と2次形式 |
- 線形代数の基本的な概念(行列式、線形独立、固有値、固有ベクトル等)についてそれらの定義や計算方法を理解し、説明できる。それらを応用し2次形式の関数の解析が行える。
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7週 |
主軸変換とその応用 |
- 固有値問題や2次形式の関数の解析手法を活用し、多数の多次元データを解析する主成分分析や特異値分解の手法について学び、その幾何的概念を説明し、分析を実施できる。
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8週 |
期末試験 |
- これまでに学んだことを総括し、ベクトル空間に関する事柄の性質について、実際に計算をおこなったり、証明を行うことができる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 期末試験 | 課題・レポート | 合計 |
総合評価割合 | 50 | 50 | 100 |
基礎的能力 | 25 | 20 | 45 |
専門的能力 | 25 | 20 | 45 |
分野横断的能力 | 0 | 10 | 10 |