物理化学

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物理化学
科目番号 0022 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 情報電子システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 マッカーリ,サイモン 物理化学(上)分子論的アプローチ 東京化学同人
担当教員 松枝 宏明

到達目標

原子の構造・周期律表の性質・化学結合・分子構造などを,量子力学的概念・手法を用いて体系的に記述する方法を学ぶ.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
量子力学の基礎波動方程式を量子論の諸問題に適用し,粒子と波の二重性について説明できる.量子力学の基本的な問題に波動方程式を適用できる.波動方程式の取り扱いが不十分である.
水素様原子の電子構造3つの量子数や軌道の形が波動方程式の解として自然に表れることが理解できる.波動方程式の角度方向・動径方向の量子化の意味が理解できる.波動方程式の変数分離の構造が理解できない.
周期律表の性質構成原理の電子のフェルミオン的性質に基づいて周期律表中の原子の構造が理解できる.構成原理やフェルミ粒子としての電子の性質が説明できる.水素様原子の解析を基に周期律表が理解できることを把握していない.
化学結合行列表示の波動方程式を使いこなして軌道混成の計算ができる.原子内混成軌道や分子軌道法の基礎的な計算ができる.軌道混成という概念が理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学は物質そのものの変化を取り扱う学問であるが,近年は工学・物理・生物など多くの分野と相互に関連を深めている.エンジニアが扱う各種材料も全て化学物質であるという認識のもと,自然科学や科学技術を専攻する理工系学生にとって,基礎・応用を問わずどの分野に進むとしても必須の物理化学の基礎知識を講義する.
授業の進め方・方法:
授業は基本的にホワイトボードに記述しながら進めます.適宜,パワーポイントも使用します.キーワードの単なる暗記ではなく,量子力学に基づいて定量的に原子・分子の性質を記述することに重点を置いているため,計算の詳細の理解・双方向のコミュニケーション・周囲との積極的なディスカッションを大事にします.
注意点:
成績評価は以下の通りとします.
試験:70点,レポート:30点,合計:100点満点

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 量子論の基本的な考え方 量子力学的世界における波と粒子の二重性について説明ができる.
2週 シュレディンガー方程式 ド・ブロイの関係式と波動方程式の関係について説明できる.
3週 井戸型ポテンシャル 一次元無限に深い井戸型ポテンシャルの問題が解ける.
4週 固有値問題としてのシュレディンガー方程式 シュレディンガー方程式と行列の固有値問題の類似性を理解できる.
5週 水素様原子のシュレディンガー方程式 水素様原子の波動方程式を変数分離形に表すことができる.
6週 角度方向の性質1 s・p・d軌道の具体的な関数形がシュレディンガー方程式の解となることが証明できる.
7週 角度方向の性質2 方位量子数と磁気量子数の関係が説明できる.
8週 動径方向の性質 主量子数・ボーア半径について説明できる.
4thQ
9週 多電子原子 スピン自由度・パウリの排他律・フントの規則について説明できる.
10週 有効核電荷 スレーターの規則の使い方を身につける.可能であれば,変分法を用いて有効核電荷を決めるための式が導出できる.
11週 元素の周期的性質 同族元素の類似性が周期律表の観点から説明できる.
12週 微分方程式の固有値問題への変換 行列の手法で量子力学の問題を取り扱う数学的手法を身につける.
13週 分子軌道法 典型的な分子の軌道混成を行列計算で表現できる.
14週 混成軌道 原子内混成軌道について説明ができる.
15週 定期試験 この講義で学んだことを確認するための試験を実施する.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000