電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 0003 科目区分 専門 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 マテリアル環境コース 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 書名:電気基礎(上)   著者:高橋 寛 他   発行所:コロナ社
担当教員 熊谷 晃一

到達目標

「ものづくり」の基盤素養として、直流回路と交流回路の取り扱い方や解析方法を習得し、総合工学を履修するのに必要な基本的な能力を養うことを目標とする。抵抗、コイル、コンデンサ素子における電圧と電流の関係を理解し、電気回路の計算に用いることができる。キルヒホッフの法則や重ねの理等の定理を理解し、電気回路の計算に用いることができる。総合工学の実験・実習の場で、それを活用できるようになる。
・ キルヒホッフの法則、重ねの理、テブナンの定理、Δ-Y変換などを理解し、電気回路の計算に用いることができる。
・ 抵抗、コイル、コンデンサ素子における電圧と電流の関係を理解し、正弦波交流回路の計算に用いることができる。
・ 瞬時値表示、フェーザ表示、複素数表示などを理解し、これらを正弦波交流回路の計算に用いることができる。
・ 交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。
・ 共振回路の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基本的な直流回路の特性の理解と 計算オームの法則やキルヒホッフの法 則を適用して直流回路の特性を定 量的かつ正確に説明できる。オームの法則やキルヒホッフの法 則を適用して直流回路の特性を説 明できる。オームの法則やキルヒホッフの法 則を適用して直流回路の特性を説 明できない。
電気抵抗の特性の理解と計算材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を定量的かつ正確 に評価して説明できる。材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を評価して説明で きる。材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を評価して説明で きない。
電力と電力量の意味の理解と計算直流回路における電力と電力量の 意味の違いを説明でき、電力を定 量的かつ正確に評価・説明できる。直流回路における電力と電力量の 意味の違いを説明でき、電力を評 価・説明できる。直流回路における電力と電力量の 意味の違いを説明でき、電力を評 価・説明できない。
正弦波交流の基本の理解正弦波交流の特徴を定量的かつ正 確に説明できる。正弦波交流の特徴を説明できる。正弦波交流の特徴を説明できない。
交流電力直並列交流回路網の力率,皮相・ 有効・無効電力を計算できる。簡単な交流回路網の力率,皮相・ 有効・無効電力を計算できる。交流の電力を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 マテリアル・環境の講義・実験を通して、環境に視点を持ち、多様なマテリアル開発や工業製品 への応用の素養をもつ技術者の養成を目標とする。

教育方法等

概要:
工学の一般素養である電気回路技術の入門として、直流回路と交流回路の基礎を学ぶ。授業内容としては、電気技術発展の歴史、 社会的意義、電気回路の構成、抵抗に流れる電流と電圧の関係、直列、並列、直並列回路など典型的な直流回路の電圧、電流、抵抗に関する計算法を演習を通して学ぶ。引き続いて、正弦波交流に関しても、波形の表現法、発生原理、インピーダンス、アドミタンス、交流電力及び力率についても学ぶ。
授業の進め方・方法:
予習:授業トピックについて教科書やweb教材等を用いた事前学習を行う。
復習:授業トピックについてレポートなどの事後課題を行う。
注意点:
化学Ⅰ、物理Ⅰ、基礎数学A,Bでの知識を導入し、継続する内容を学習する科目として、マテリアル工学実験や材料物性と連携する。つねに基本に立ちかえって把握する学習姿勢が望ましい。演習問題は必ず自ら解き、理解を確認する。 随時演習を行うので必ず専用のノートを準備すること。授業の時には関数電卓を持参すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1. 電気技術概説 電気技術の発展史と社会的意義を理解できる。
2週 2. 直流回路 電気回路の構成を回路図で表現できる。
3週 3. 電流と電圧
  3.1 抵抗に流れる電流と電圧

電荷と電流、電圧を説明できる。
4週   3.2 起電力と電圧降下 オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。
5週 4. 直流回路の計算
  4.1 直列・並列接続

直列、並列接続と合成抵抗を説明できる。
6週   4.2 直並列接続 直並列接続を説明できる。
7週 5. 回路網の計算 ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。
8週   5.2 キルヒホッフの法則 キルヒホッフの法則を説明できる。
2ndQ
9週   5.3 キルヒホッフの法則の適用 キルヒホッフの法則を説明し、直流回路の計算に用いるこ とができる。
10週 6. 導体の抵抗
  6.1 抵抗率と導電率

抵抗率と導電率を説明できる。
11週   6.2 抵抗値の表示法、抵抗温度係数 抵抗値の表示法と抵抗温度係数を説明できる。
12週 7. 電力と電力量 ジュールの法則と電力、電力量を説明できる。
13週 8. 正弦波交流
  8.1 正弦波交流の表し方

正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算でき る。平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。
14週   8.2 正弦波交流の発生 正弦波交流起電力の発生のしくみを説明できる。
15週   8.3 正弦波交流の位相 正弦波交流の位相と位相差を説明できる。
16週 9. 基礎電気A総合演習 基本的な直流回路に関する演習を行い、知識を確かめる。
後期
3rdQ
1週 アドミタンス1 アドミタンスを説明し、計算できる。
2週 アドミタンス2 アドミタンスとインピーダンスを相互変換ができ、それら を計算できる。
3週 2端子回路の直列接続1 合成インピーダンスや合成アドミタンスを説明できる。
4週 2端子回路の直列接続2 合成インピーダンスや合成アドミタンスを計算できる。
5週 直列共振回路1 直列共振回路について説明できる。
6週 直列共振回路2 直列共振回路の共振周波数を計算できる。
7週 2端子回路の直並列接続1 直並列回路の合成インピーダンスや合成アドミタンスが計 算できる。
8週 2端子回路の並列接続2 直並列回路の合成インピーダンスや合成アドミタンスが計 算できる。
4thQ
9週 交流電力の概要 交流電力を分類し、説明できる。
10週 交流電力1 交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。
11週 交流電力2 皮相電力を計算できる。
12週 交流電力3 有効電力と無効電力を計算できる。
13週 交流電力4 直列回路の皮相電力、有効電力、無効電力を計算できる。
14週 交流電力5 直並列回路の皮相電力、有効電力、無効電力を計算できる。
15週 結合回路1 相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。
16週 結合回路2 理想変圧器を説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1,前2,前3
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前1,前2,前4,前10,前11
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前1,前2,前8,前9,前16
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前2,前5,前6,前16
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4前7,前16
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前12,前16
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前1,前13,前14,前15
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4前13,前14
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前14
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前15,後1,後2
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前15,後1
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前15,後1,後2
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前13,前15,後1,後2,後3,後4,後7,後8
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前1,前9,後7,後8
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4後4,後7,後8
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後5,後6,後7,後8
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4後15
理想変成器を説明できる。4後16
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前1
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3前1
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前1
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前1
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前1
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前1

評価割合

試験課題相互評価態度宿題その他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力4000010050
専門的能力4000010050
分野横断的能力0000000