電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 0003 科目区分 専門 / 必修
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 マテリアル環境コース 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 書名:電気回路(上)   著者:加藤 修司 他   発行所:コロナ社
担当教員 熊谷 晃一

到達目標

「ものづくり」の基盤素養として、直流回路と交流回路の取り扱い方や解析方法を習得し、総合工学を履修するのに必要な基本的な能力を養うことを目標とする。抵抗、コイル、コンデンサ素子における電圧と電流の関係を理解し、電気回路の計算に用いることができる。キルヒホッフの法則や重ねの理等の定理を理解し、電気回路の計算に用いることができる。総合工学の実験・実習の場で、それを活用できるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基本的な直流回路の特性の理解と計算オームの法則やキルヒホッフの法則を適用して直流回路の特性を定 量的かつ正確に説明できる。オームの法則やキルヒホッフの法則を適用して直流回路の特性を説 明できる。オームの法則やキルヒホッフの法則を適用して直流回路の特性を説 明できない。
電気抵抗の特性の理解と計算材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を定量的かつ正確に評価して説明できる。材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を評価して説明できる。材料の抵抗率や導電率を使って、 材料の電気抵抗を評価して説明できない。
電力と電力量の意味の理解と計算直流回路における電力と電力量の意味の違いを説明でき、電力を定 量的かつ正確に評価・説明できる。直流回路における電力と電力量の意味の違いを説明でき、電力を評 価・説明できる。直流回路における電力と電力量の意味の違いを説明できず、電力を評 価・説明できない。
正弦波交流の基本の理解正弦波交流の特徴を定量的かつ正 確に説明できる。正弦波交流の特徴を説明できる。正弦波交流の特徴を説明できない。
交流電力直並列交流回路網の力率,皮相・ 有効・無効電力を計算できる。簡単な交流回路網の力率,皮相・ 有効・無効電力を計算できる。交流の電力を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 マテリアル・環境の講義・実験を通して、環境に視点を持ち、多様なマテリアル開発や工業製品 への応用の素養をもつ技術者の養成を目標とする。

教育方法等

概要:
工学の一般素養である電気回路技術の入門として、直流回路と交流回路の基礎を学ぶ。授業内容としては、電気回路の構成、抵抗に流れる電流と電圧の関係、直列、並列、直並列回路など典型的な直流回路の電圧、電流、抵抗に関する計算法を演習を通して学ぶ。電流と磁気について学ぶ。静電気について学ぶ。交流回路に関しては、波形の表現法、インピーダンス、交流電力及び力率についても学ぶ。
授業の進め方・方法:
予習:授業トピックについて教科書やweb教材等を用いた事前学習を行う。
復習:授業トピックについてレポートなどの事後課題を行う。
授業資料の公開や課題提出のためにブラックボードシステムを援用します。ブラックボードシステムの利用方法を確認しておくこと。授業期間中の一部がTeamsを使った遠隔授業となることもあります。Teamsの利用方法も確認しておくこと。
注意点:
化学Ⅰ、物理Ⅰ、基礎数学A,Bでの知識を導入し、継続する内容を学習する科目として、電磁気学Ⅰ、マテリアル工学実験、材料物性と連携する。つねに基本に立ちかえって把握する学習姿勢が望ましい。演習問題は必ず自ら解き、理解を確認する。 随時演習を行うので必ず専用のノートを準備すること。授業の時には関数電卓を持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気回路の要素 電流と電圧 電気回路の構成を回路図で表現できる。電荷と電流、電位、電位差、電圧、電気抵抗を説明できる。オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。
2週 電気回路の要素 電気抵抗 静電容量 抵抗率と導電率を説明できる。抵抗値の表示法を説明できる。抵抗値の抵抗温度係数を説明できる。コンデンサの構造と性質を説明できる。コンデンサの静電容量Cと電荷Qと電圧Vの関係を説明できる。
3週 電気回路の要素 インダクタンス 自己インダクタンスLについて説明できる。自己インダクタンスLとコイルの巻き数について説明できる。
4週 直流回路 抵抗の接続 直列、並列接続と合成抵抗を説明できる。直並列接続の合成抵抗を説明できる。
5週 直流回路 計算 倍率器と分流器を説明できる。ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。
6週 直流回路 計算 キルヒホッフの法則を説明し、直流回路の計算に用いるこ とができる。
7週 直流回路 電流の作用 電力、電力量を説明できる。
8週 直流回路 電流の作用 ジュールの法則を説明できる。
2ndQ
9週 静電気 静電力 静電気に関するクーロンの法則を説明できる。
10週 静電気 電界 静電力と電界の定義を説明できる。電気力線と電界について説明できる。電束と電束密度につて説明できる。電界内の電位を求めることができる。
11週 静電気 コンデンサ コンデンサの構造と性質を説明できる。コンデンサの静電容量Cを求めることができる。コンデンサの接続による合成静電容量を求めることができる。コンデンサに蓄えられる静電エネルギーを求めることができる。
12週 静電気 放電現象 絶縁破壊を説明できる。各種放電現象を説明できる。放電現象の応用を説明できる。
13週 電流と磁気 磁界 磁気に関するクーロンの法則を説明できる。磁界の定義と強さについて説明できる。磁力線と磁界、磁束と磁束密度について説明できる。
14週 電流と磁気 電流による磁界 アンペアの右ねじの法則を説明できる。ビオ・サバールの法則を説明できる。
15週 電流と磁気 電流による磁界 アンペアの周回路の法則を説明できる。直線状導体の周りの磁界の大きさを求めることができる。
16週 電流と磁気 電流による磁界 環状コイルや細長いコイルの内部の磁界の大きさを求めることができる。
後期
3rdQ
1週 電流と磁気 電磁力 フレミングの左手の法則を説明できる。
2週 電流と磁気 電磁力 平行電流間に働く力を求めることができる。
3週 電流と磁気 電磁力 コイルに働くトルクを求めることができる。直流電動機の原理を説明できる。
4週 電流と磁気 磁気回路と磁性体 磁性体について説明できる。磁化曲線、ヒステリシス曲線について説明できる。磁気回路について説明できる。
5週 電流と磁気 電磁誘導 ファラデーの法則とレンツの法則を説明できる。フレミングの右手の法則を説明できる。
6週 電流と磁気 電磁誘導 誘導起電力の大きさを求めることができる。直流発電機の原理を説明できる。
7週 電流と磁気 自己誘導と相互誘導 自己インダクタンスLを求めることができる。相互インダクタンスMを求めることができる。
8週 電流と磁気 自己誘導と相互誘導 電磁結合と理想変圧器を説明できる。コイルに蓄えられる電磁エネルギーを求めることができる。
4thQ
9週 交流回路 正弦波交流 正弦波交流の特徴を説明し、周期、周波数、角周波数を計算でき る。平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。
10週 交流回路 正弦波交流 正弦波交流の位相と位相差を説明できる。
11週 交流回路 正弦波交流とベクトル 正弦波交流をベクトル図で表現できる。
12週 交流回路 交流回路の計算 R,L,C直列回路 抵抗、誘導リアクタンス、容量リアクタンスを説明できる。R,L,C直列回路の合成インピーダンスと電流と電圧の位相差を計 算できる。
13週 交流回路 交流回路の計算 R,L,C並列回路 並列回路の合成インピーダンスと電流と電圧の位相差を計 算できる。
14週 交流回路 交流回路の計算 共振回路 直列共振回路について説明できる。直列共振回路の共振周波数を計算できる。並列共振回路について説明できる。
15週 交流回路 交流電力 交流電力を分類し、説明できる。交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。
16週 交流回路 交流電力 皮相電力を計算できる。有効電力と無効電力を計算できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前2,前3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前5
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前3,前4,前6
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4前4,前5
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前8
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4後10,後11
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4後10
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4後12
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4後13
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4後13
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4後13
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4後14
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4後13,後14
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4後13,後14
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後15
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4後5
理想変成器を説明できる。4後5
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4後16
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前5
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前5
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前5
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前5
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3後6
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3後7
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3後8
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3後8
静電エネルギーを説明できる。3後8
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。2前9,前10,後1
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。2前11
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。2前12
磁界中の電流に作用する力を説明できる。2前14,前15,後2
ローレンツ力を説明できる。2前16
磁気エネルギーを説明できる。2後5
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。2後3
自己誘導と相互誘導を説明できる。2後4,後5
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。2後5

評価割合

試験課題相互評価態度宿題その他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力4000010050
専門的能力4000010050
分野横断的能力0000000