基礎生物

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 基礎生物
科目番号 0005 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 マテリアル環境コース 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 マクマリー有機化学概説 John McMurry 東京化学同人
担当教員 佐藤 徹雄

到達目標

生体分子について代表的な構造と性質を説明できる
細胞の機能を有機化学と関連づけて解釈できる
細胞の機能から様々な生命現象を解釈できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生体分子糖、アミノ酸、タンパク質、脂質、核酸について構造の特徴を性質と関連づけて説明できる糖、アミノ酸、タンパク質、脂質、核酸について構造の特徴を説明できる糖、アミノ酸、タンパク質、脂質、核酸について構造の特徴を説明できない
生体分子と細胞の機能細胞の特徴的な機能の作用機序を分子の性質と構造から解釈できる細胞の特徴的な機能の作用機序を説明できるが、分子の性質を元にしていない細胞の特徴的な機能の作用機序を説明できない
生命現象細胞の機能と伝達物質から生命現象を解釈し、近年のバイオテクノロジー研究の背景を説明できる近年のバイオテクノロジー研究の背景をだいたい説明できる近年のバイオテクノロジー研究の背景を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
人間を含めた生物は有機化合物でできていて、生体内では絶えず化学反応が起こっています。そのため生体内での有機化合物の性質及びその反応を理解することは、様々な病気の原因の究明や治療法の開発、生体適合性を持った材料の開発などに繋がります。
この授業では3年生で学んだ有機化学I、4年生で学んだ有機化学IIの内容を発展させ、生体内での分子の働きと化学反応についての知識を身につけると共に生体材料の開発に必要な考え方を身に付けます。コース終了時には、生体関連分野である生体材料や医薬品の開発研究に必要な基礎知識を習得できます。
コースの前半では、生命の最小単位である細胞について、構成物質であるアミン、カルボン酸、アミノ酸、タンパク質ついて基礎的な知識を学び、それがどう細胞の機能に関連するかを学びます。コースの後半では前半で学んだ内容を代謝反応、細胞の仕組み、医薬品の作用といったより複雑な現象の説明や解釈と関連付けながら理解を深めます。
授業の進め方・方法:
・この授業は講師による講義(インプット)を授業の前半に、ジグソー法、ピアインストラクションなどのグループワーク(アウトプット)を授業の後半に行うように構成されています。この授業形式は、対人的なアウトプットが知識の定着度を向上させるという認知心理学の知見に基づいていて講義だけの授業よりも身につきやすい形式の授業です。最初はグループワークに抵抗があるかも知れませんが、積極的に参加して下さい。
・講義内容として教科書10章「カルボン酸とその誘導体」、11章「カルボニル化合物のα置換と縮合反応」、12章「アミン」、14、15、16章「生体分子」、17章「代謝経路の有機化学」に加え細胞生物学の基礎的な知識を学びます。
・授業で用いたスライドはブラックボード上に当日中に公開します。授業ではノートを取ることより議論への参加に集中して下さい。
・授業を受講するにあたっての予習復習は以下の通りになります。
予習:次回の授業トピックについて前提となる知識を教科書を用いて確認して下さい。予習内容は授業の最後に指示します。
復習:ブラックボードに掲載される授業スライドを用いて復習して下さい。毎回授業冒頭に前回の内容について小テストを行い、知識の定着を確認します。
注意点:
・毎回の講義においてシャトルカードを提出して下さい。シャトルカードには毎回の授業の評価と改善希望点を記入します。講師と共に、良い授業を作るため忌憚無い意見をフィードバックして下さい。この講義の主役は学習者である君達です。
・シャトルカードと小テストの提出を以って出席とします。欠席が5回を超えた場合、単位は認定しません。
・授業への質問はシャトルカードに書いてくれれば回答します。
また、オフィスアワーに直接質問に来ること、メールでの質問どちらも歓迎します。
オフィスアワー 木曜日16:10~17:10、月曜日4校時
メール:sekido@sendai-nct.ac.jp

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 「ガイダンス:生物化学とは」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
生物学・生化学・生物化学の違いを明確にしてこれからの学びの方向づけができる
生物とは何か定義を解釈できる
2週 「アミノ酸〜必須アミノ酸はなぜ必須なのか?」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
アミンに名前をつけることができる
アミノ酸の立体の区別ができる
3週 「アミの酸の反応〜タンパク質の作り方〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
カルボン酸とアミンの脱水反応の反応機構が書ける
反応機構を用いて未知の反応の生成物が予測できる
4週 「タンパク質の立体と性質〜細胞の中の構造体〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
タンパク質の二次構造(α-ヘリックシとβ-シート)について説明できる
タンパク質の立体構造と性質を関連づけて説明できる
5週 「炭水化物と立体化学〜なぜ砂糖は甘いのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
単糖の立体化学を正しく表記できる
分子の構造と性質の関係を解釈できる
6週 「核酸と脂質〜細胞はなぜ分裂できるのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
核酸と脂質の構造と性質を説明できる
DNAの複製機序を解釈できる
7週 「細胞のまとめ」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
2~6週の内容を総合して細胞の機能を解釈できる
8週 振り返り 1~7週までの確認問題が解ける
1~7週までの内容について総合的な演習問題が解ける
4thQ
9週 「生化学エネルギーの発生〜栄養を摂るとはどういうことか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
クエン酸回路について代表的な反応を説明できる
代謝について生化学の立場から解釈できる
10週 「炭水化物の代謝〜ラニンニングの生化学〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
炭水化物の分解について説明できる
糖尿病や虫歯について生化学の知識を適用し解釈できる
11週 「脂質とその代謝〜リポソームと美容〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
脂質の構造と性質を関連づけて説明できる
生体内での脂質の役割について糖の代謝と比較できる
12週 「化学メッセンジャー:ホルモン、神経伝達物質、薬物〜頭が良いとはどういうことか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
ホルモンの分子構造と作用を関連づけて説明できる
神経伝達物質の作用機序を解釈できる
13週 「生物化学から生命現象を解釈する①〜薬はなぜ効くのか?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
細胞の構造と構成要素を説明できる
細胞の機能をインフルエンザ治療薬と関連づけ、有効な治療薬の持つべき性質を提案できる
14週 「生物化学から生命現象を解釈する②〜再生医療とは?〜」
Think・Pair・Share・ピアインストラクション・ジグソー法
ES細胞、iPS細胞をコース全体で学習した内容と関連づけて解釈できる
15週 振り返り 9~14週までの確認問題が解ける
9~14週までの内容について総合的な演習問題が解ける
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

レポート発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000100100
基礎的能力1000010020
専門的能力600000060
分野横断的能力200000020