材料組織学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 材料組織学Ⅰ
科目番号 0011 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 マテリアル環境コース 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 書名:機械・金属材料学   編著:黒田大介  出版社:実教出版
担当教員 武田 光博

到達目標

材料組織領域では、材料組織の基礎となる原子の幾何学的な配列状態や平衡状態図の見方、変形や熱処理における組織変化を学習することを目標とする。
・ 平衡状態図を用いてミクロ組織変化を説明できる。
・ 金属材料の性質とミクロ組織を関連付けて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基本平衡状態図の理解指導教員の助言無しに基本平衡状態図の模式図が描け、どのような反応なのかを説明できる。加えて、状態図において温度と組成が指定された物質に含まれる相と相の割合を説明できる。指導教員の助言をうけつつ基本平衡状態図の模式図が描け、どのような反応なのかを説明できる。加えて、状態図において温度と組成が指定された物質に含まれる相と相の割合を説明できる。指導教員の助言をうけても基本平衡状態図の模式図が描けず、どのような反応なのかを説明できない。また、てこの法則による相の割合を計算できない。
金属材料の性質とミクロ組織2成分系合金状態図において組成と温度がわかれば、合金中に含まれる相ならびに相の組成を指導教員の助言無しで説明できる。指導教員の助言があれば、2成分系合金状態図において組成と温度がわかれば、合金中に含まれる相ならびに相の組成を説明できる。指導教員の助言を受けても、2成分系合金状態図における合金の状態を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
前期開講の基礎材料学を引き継ぐ科目である。材料を構成する原子の挙動、結晶構造に関する理解を基に、金属の組織や相反応の基本概念と、その集大成である状態図を理解する。
材料を開発・製造するための知識として不可欠な物質の結晶構造、原子の挙動、材料の組織と状態図の見方などを学習する。
授業の進め方・方法:
教室で講義を行い、講義時間の終盤に授業進度に応じて演習問題を行う。授業ごとに課題を課しているのですべての課題を提出すること。
予習:教科書の授業内容に関わる内容を確認する。
復習:授業内容をA4用紙1枚にまとめて次回授業時に提出する。
注意点:
基礎材料学で学習した物質の構造、化学、物理、数学などの基礎科目を理解していること。
本科目はマテリアル工学実験Ⅰ、4年次以降開講科目であるマテリアル工学実験Ⅱ、材料組織学Ⅱ、構成材料等にも深く
関連する科目であることを留意して授業に臨むこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 状態図の基礎 系、相、成分など基本用語を説明できる。
ギブスの相律から自由度を導出でき、系の自由度を説明できる。
水の状態図を説明できる。
2週 てこの法則 2成分系の相図において、てこの原理を用いて、各相の割合を計算でき、相の組成を求めることができる。
3週 格子欠陥と合金の種類 点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。
固溶体、金属間化合物など合金の種類を説明できる。
4週 原子パーセントと重量パーセント 原子パーセントと重量パーセントの意味が説明できる。原子パーセントから重量パーセント、重量パーセントから原子パーセントの換算ができる。
5週 2成分系合金状態図(1) 全率固溶型の状態図を説明できる。
共晶反応型の状態図を説明できる。
共晶反応、一般的な共晶組織を説明できる。
熱分析曲線から共晶反応型における組織変化を説明できる。
状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
6週 2成分系合金状態図(2) 包晶反応型の状態図を説明できる。
包晶反応、一般的な共晶組織を説明できる。熱分析曲線から包晶反応型における組織変化を説明できる。
状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
7週 2成分系合金状態図(3) 偏晶反応型の状態図を説明できる。熱分析曲線から偏晶反応型における組織変化を説明できる。状態図から相の割合、相の組成を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 成分が同素変態を有するときの状態図 中間相、金属間化合物、規則合金が説明できる。
共析反応型、包析反応型など同素変態する元素を含む合金状態図の説明ができる。
10週 2成分系合金状態図の熱力学 固溶体の自由エネルギー曲線から求められる合金の安定状態について理解できる。
自由エネルギー曲線と状態図の関係を系統的にまとめ、説明することができる。
全率固溶型、共晶反応型、包晶反応型合金の状態図から自由エネルギー曲線を予想できる。
11週 Fe-C系状態図(1) Fe-C合金状態図に含まれる基本状態図を説明できる。
共析鋼、亜共析鋼、過共析鋼に含まれる組織を状態図から説明できる。
12週 Fe-C系状態図(2) A1変態、A2変態、A3変態、A4変態を説明できる。
A1変態の過程を定性的に説明できる。
13週 3成分系状態図(1) 3成分系状態図の成分の表し方を説明できる。
3成分系等温断面図からてこの法則を用いて相の割合を計算できる
14週 3成分系状態図(2) 全率固溶型3成分系状態図から等温断面図、垂直断面図が描ける
15週 3成分系状態図(3) 共晶反応型3成分系状態図から等温断面図が描ける
16週 振り返り 材料組織学Ⅰで学習した内容を振り返り、学習到達度を自己評価にて確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料組織物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。3
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力100100