材料物性Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料物性Ⅰ
科目番号 0012 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 マテリアル環境コース 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 書名:電子物性入門 著者: 中村嘉孝 発行所:コロナ社
担当教員 栁生 穂高

到達目標

材料の様々な物理現象を理解する上で必須となる電子の量子力学的挙動、それを反映した原子の構造に関する基礎知識を習得することを目標とする。
・ 電子の量子力学的な挙動のについて説明できる。
・ 井戸型ポテンシャルについてシュレディンガー方程式を用いて説明できる。
・ 物質内部の電子の基本的な構造について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
原子の構造と量子力学的計算教員の助言が無くても原子の構造を理解し、量子力学的計算により電子のエネルギー状態を説明できる。教員の助言があれば原子の構造を理解し、量子力学的計算により電子のエネルギー状態を説明できる。原子の構造を理解しておらず、量子力学的計算により電子のエネルギー状態を説明できない。
電子構造教員の助言が無くても電子の配置、軌道を理解し、説明できる。教員の助言があれば電子の配置、軌道を理解し、説明できる。電子の構造、軌道を理解しておらず、説明できない。
電子の性質教員の助言が無くても電子の性質やそれを表す実験内容について説明できる。教員の助言があれば電子の性質やそれを表す実験内容について説明できる。電子の性質やそれを表す実験内容について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料のもつさまざまな性質を理解する上で基礎となる電子物性に関する授業である。授業は、ナノスケール以下の世界での電子の量子力学的挙動に始まり、それを反映した原子の構造や電子配置、構造について学ぶ。この科目は、3年次後期の材料物性Ⅱへ継続し、機能材料を学習するための基礎となる。
材料の諸物性を決定する電子の微視的振舞いに関する学習を通して、現象とその原因について物理・化学的立場から説明できる。
授業の進め方・方法:
事前に教科書および配布資料等を参照し、予習をして授業に臨むこと。
授業中に小テストをおこなう。復習として授業後に同演習課題を複数回解き、知識を定着させること。
予習:事前に教科書および配布資料をよく読んでおく。
復習:次週以降に確認の演習問題を行うので、授業の板書内容や教科書の確認問題をよく確認しておく。
注意点:
本科目は、物理I,Ⅱ、化学I,Ⅱの知識を前提とし、応用物理と関連する。後期に設定されている材料物性Ⅱへ継続し、機能材料を学習するための基礎となることを念頭において、単に数式を丸暗記することなく、常に数式で表出される物性現象の本質に立ち返って理解するよう努めて欲しい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料物性概説 マテリアルエ学および環境工学に占める材料物性の役割を理解できる。
2週 光の性質 光の性質について説明できる。
3週 電子の性質 電子の性質について説明できる。
4週 不確定性原理 不確定性原理について説明できる。
5週 波動関数と存在確率1 波動関数と存在確率について説明できる。
6週 波動関数と存在確率2 波動関数と存在確率を利用した計算ができる。
7週 原子の構造 原子の構造について説明できる。
8週 水素原子のエネルギー 古典力学的に水素原子のエネルギーを説明できる。
2ndQ
9週 シュレディンガ一方程式1 シュレディンガー方程式の導出過程を説明できる。
10週 シュレディンガ一方程式1 シュレディンガー方程式を使った計算ができる。
11週 井戸形ポテンシャル中の電子1 無限に深い井戸型での粒子の運動について計算ができる。
12週 電子雲と電子軌道 電子雲と電子軌道について説明できる。
13週 電子配置 電子がどの軌道に割り当てられるかを説明できる。
14週 分子軌道法1 同核二原子分子の分子軌道形成の予想ができる。
15週 分子軌道法2 異核二原子分子の分子軌道形成の予想ができる。
16週 前期期末試験の返却 試験答案の返却、問題の解説と正答の説明。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。4
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。4前13
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力5000002070
専門的能力300000030
分野横断的能力0000000