材料物性の科目では,材料の様々な物理現象を理解する上で必須となる電子の量子力学的挙動、それを反映した原子の構造、結晶構造に関する基礎知識を習得することを目標とする。
材料物性Ⅱでは,材料物性Ⅰで学んだ電子の量子力学的な振る舞いから発展して,物質中での原子と原子の結合や結晶構造の種類,結晶構造解析について説明できる。
概要:
材料のもつさまざまな性質を理解する上で基礎となる電子物性に関する授業である。材料物性Ⅱでは、材料物性Ⅰで学んだナノスケール以下の世界での電子の量子力学的挙動から発展して、それを反映した原子の構造、さらには原子の集合としての結晶構造とその結合および解析方法について学ぶ。この科目は、4年次に設定されている材料物性Ⅲへ継続し、機能材料を学習するための基礎となる。
授業の進め方・方法:
事前に教科書および配布資料等を参照し、予習をして授業に臨むこと。
授業中に演習課題を課す。講義資料等を参照しながら自ら解くこと。復習として授業後に同演習課題を複数回解き、知識を定着させること。
予習:事前に教科書および配布資料をよく読んでおく。
復習:次週以降に確認の演習問題を行うので、授業の板書内容や教科書の確認問題をよく確認しておく。
注意点:
本科目は、物理I,Ⅱ、化学I,Ⅱおよび材料物性Ⅰの知識を前提とし、応用物理と関連する。4年次に設定されている材料物性Ⅲへ継続し、機能材料を学習するための基礎となることを念頭において、単に数式を丸暗記することなく、常に数式で表される物性現象の本質に立ち返って理解するよう努めて欲しい。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 4 | |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 4 | |
不純物半導体のエネルギーバンドと不純物準位を描き、伝導機構について説明できる。 | 4 | |
真性半導体の伝導機構について説明できる。 | 4 | |
無機材料 | パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | |
原子価結合法により、共有結合を説明できる。 | 4 | |
イオン結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | |
金属結合の形成と特徴について理解できる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。 | 4 | |