到達目標
エネルギー保存則や運動量保存則を流体に適用して,具体的な流れを計算する手法を身につける。それを用いて,基本的な管流れや物体を通る流れについて,エネルギー損失を計算する能力をみにつける。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
レイノルズ数の意味の理解 | 物理的意味を理解し、問題に応用できる | 定義だけは書き下せる | レイノルズ数の意味を説明できない |
管摩擦の計算が出来る | 教員の助言なしにできる | 教員の助言があればできる | 教員の助言があっても出来ない |
| | | |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 1 機械工学、電気工学、材料工学の分野にわたるエネルギーシステムに関する体系的な知識と技術を身に付ける
JABEE D1 専門分野に関する工業技術を理解し、応用する能力
学士区分 1 機械系
選択科目 12 機械系
教育方法等
概要:
流体の基本的な性質を学んだあと、流体の運動方程式であるオイラーの方程式と、エネルギー保存を表すベルヌーイの定理の2つを主要な手段として、工学的に重要な主な二つの問題をあつかう。一つは、物体が流れから受ける力を求めること。もう一つは、管を流れる流体が受ける摩擦抵抗を求めること、である。前者の解説に際して、流体版の運動量の保存則と翼の理論も扱う。また後者については、乱流の理論を少々扱う。また、この授業では粘性流体の従うNavier-Stokes方程式までは到達しない。また、potential flowの理論や2次元非圧縮流体の複素関数論も基本的かつ重要であるが、この授業では扱わない。
授業の進め方・方法:
講義による解説のあと、演習問題を解く時間をなるべく多く取る。また授業で関連する話題について、デモ実験を行う。デモ実験の種類は前期5回、後期5回ほどであるが、さらに充実させていく予定である。
注意点:
この授業を受けて内容が理解できないとしたら、それは永弘の説明が下手なせいもあるかも知れないが、多くの場合は流体力学がそれほど簡単な学問ではないためである。高専の4学年より上で行われる講義は授業のみで理解できる者はごく少数であり、本当の理解のためでは、落ち着いた状態で自分の頭をつかいじっくり悩む時間が必要である。質問はいつでも歓迎するので、積極的に教官室まで足を運んでほしい。ただし「テストは何がでるのですか?」という質問は受け付けない。毎回の授業前までに、授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。毎回の授業後には、指定された演習問題を行うこと。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス |
授業の進め方など
|
2週 |
レイノルズ数,無次元数の応用例 |
流れを無次元のパラメータで特徴付けることを理解する
|
3週 |
管流れの安定性 |
ポアズイユ流れの安定性とレイノルズ数の関係を理解する
|
4週 |
圧力損失と管摩擦係数 |
管摩擦係数の定義を理解する
|
5週 |
流れの安定性とレイノルズ数 |
力の釣り合いの関係式を無次元化して、レイノルズ数を導出。レイノルズ数によって流れの様相が特徴付けられることを理解する。レイノルズの実験を理解し、ハーゲン・ポアズイユ流れは低レイノルズ数でのみ成り立つことを理解する。
|
6週 |
乱流の速度分布1 |
レイノルズ応力が発生する仕組みを理解する。
|
7週 |
乱流の速度分布2 |
渦粘性の概念から,対数速度分布が出てくるところを理解する
|
8週 |
これまでのまとめ |
前半部分を概観する
|
4thQ |
9週 |
乱流の管摩擦係数1 滑らかな管 |
乱流の速度分布を用いて,管摩擦係数を求められる。
|
10週 |
乱流の管摩擦係数2 荒い管ー>ムーディ線図 |
荒い管の乱流の管摩擦係数とムーディ線図を理解する
|
11週 |
損失のある流れのベルヌーイの定理 |
損失を考慮したベルヌーイの定理をつかった計算ができるようになる。
|
12週 |
キャビテーション |
キャビテーションの発生機構を理解し説明できる。
|
13週 |
球の周りの流れ(レイノルズ数が小さい場合) |
ストークス則を使った簡単な計算ができる
|
14週 |
球の周りの流れ(レイノルズ数が大きい場合)と,抗力係数 |
抗力係数の説明ができる。
|
15週 |
抗力の急減 |
抗力の急減が発生する仕組みを説明できる
|
16週 |
期末試験 |
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 4 | |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 4 | |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 4 | |
パスカルの原理を説明できる。 | 4 | |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 4 | |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 4 | |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 4 | |
流線と流管の定義を説明できる。 | 4 | |
オイラーの運動方程式を説明できる。 | 4 | |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 4 | |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 5 | 0 | 10 | 15 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 70 | 5 | 0 | 10 | 15 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |