量子力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 量子力学Ⅰ
科目番号 0005 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用科学コース(名取キャンパス) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は特に指定しないが、
丸善出版「わかりやすい量子力学ー原始の世界の謎を解く」高田健次郎著
を、本講義と一致する部分が多い入門書として挙げておくので、必要に応じて購入すること
担当教員 永弘 進一郎

到達目標

・Maxwellの電磁気学により示された光の波動性が、熱輻射の問題において困難に直面すること、プランクの公式の説明において「エネルギー量子仮説」が誕生するまでの理解。
・「エネルギー量子仮説」から光の粒子性が指摘され、それが光の波動性からは説明困難であった光電効果やコンプトン効果をよく説明する点の理解。光のエネルギーと運動量の理解。
・原子の発光のスペクトルパターンについてのリュードベリの式が、物質波の存在と量子化条件により説明可能であることの理解。
・物質波が従うべき波動方程式として、シュレーディンガーの方程式が導出される考え方の理解。波動関数の意味と位置演算子・運動量期待値の意味の理解。
・固有値問題としての時間に依存しないシュレディンガーの方程式の性質と、平面波解の重ね合わせとフーリエ変換の関係、波の一般的な性質としての不確定性関係の理解。
・「1次元箱型」「調和振動子」の2例についてシュレーディンガーの方程式を解く数学的な手続きの理解。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
粒子性と波動性それぞれの性質について実験事実を理解し説明できる。助言付きでそれぞれの性質について実験事実を理解し説明できる。それぞれの性質について説明できない。
シュレーディンガー方程式式を使って必要な値を求めることができる。助言付きで式を使って必要な値を求めることができる。式を使って必要な値を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では、量子力学の形成を歴史的順序にそって説明する。現在においてはより洗練された定式化によって書かれた教科書が多数を占めるが、歴史的順序は、人間が理解する順序に近く、入門者にとってはこの方法がもっともわかりやすい。また、全くの未知であったミクロな原子・分子の力学を、当時の人類がどのように切り込んで理解していったかを追体験することができる。ミクロな現象のさまざまな奇妙な実験結果をどのように解釈し、仮説を立て、検証していくかという科学の基本的なプロセスを学ぶことができる。
授業の進め方・方法:
授業中に前回の復習などを行いながらスライドを用いて進める。予習ができるように次の内容を授業最後に紹介する。必要な数学的知識は、すでに受講済みの内容であっても、あるていどはフォローする。
注意点:
微分方程式など数学の知識を必要とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
選択必修A

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
気体分子運動論とボルツマン定数
ボルツマン定数の意味を説明できる
2週 固体の比熱,真空の比熱
エネルギー等分配の法則を使い,物質のエネルギーを計算できる
3週 プランクの公式,プランク定数 プランクの公式を理解し,プランク定数の意味を理解できる
4週 エネルギー量子の発見 エネルギ量子の考え方が芽生えた状況を理解する
5週 光電効果,光の粒子性 光電効果について説明できる
6週 コンプトン効果,波と光の二重性 コンプトン効果の計算ができる
7週 ボーアの理論 ボーアの理論を水素原子に適用した計算を理解する.
8週 ハイゼンベルグの不確定性関係 光を用いた観測の結果から,不確定性関係を導出できる
2ndQ
9週 物質波,波動方程式 波動方程式を理解し,説明できる
10週 シュレディンガーの波動方程式 物質波の従う方程式としてシュレディンガー方程式を導出できる
11週 井戸型ポテンシャル 時間に依存しないシュレディンガー方程式を簡単な系において解ける
12週 トンネル効果 境界条件の計算を行い,トンネル効果の計算ができる
13週 調和振動子 級数解法の計算ができる。
14週 物理量と期待値1 零点振動について説明できる。
15週 物理量と期待値2 零点振動について説明できる。
16週 期末試験 総括する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力400000040
専門的能力600000060
分野横断的能力0000000