到達目標
・多成分系を物理的に取り扱う標準的な方法論としての統計力学に習熟する.
・熱力学との深い関わりについて関心を持つ.
・古典統計系や量子統計系の具体的な問題の理解を深める.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
統計力学の課題 | 授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えることにより,授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えても授業で提示した標準的な問題を独力で解けない. |
統計力学の基本的な考え方 | 授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えることにより,授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えても授業で提示した標準的な問題を独力で解けない. |
統計力学の基本的な応用例 | 授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えることにより,授業で提示した標準的な問題のほとんどを独力で解ける. | 誘導を与えても授業で提示した標準的な問題を独力で解けない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
粒子の運動を直接取り扱う力学等の方法と異なり,統計力学では多成分系の集団としての性質を記述する統計的な手法を学ぶ.熱力学との関わりだけでなく,物性物理や情報理論等の今後学ぶ科目においても重要な役割を果たすので,具体的な問題を通して統計力学の考え方と方法論に習熟することを目的とする.
授業の進め方・方法:
3年生までに学修した数学と物理学は理解できているという前提で授業を進める.授業内容の理解度を確認するため,学生への質問などを通じて授業への能動的な参加を促す.
注意点:
3年生までに学修した基礎数学A,基礎数学B,基礎数学C,微分積分Ⅰ,微分積分Ⅱ,代数幾何,物理Ⅰ,物理Ⅱ,物理Ⅲは理解できているという前提で授業を進める.授業では必要に応じて,これまでに学修した数学や物理学を確認する機会も設けるが,理解が不十分なところは復習を行うこと.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
授業の導入 |
物理学の体系における統計力学の立ち位置や課題を理解する.
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2週 |
熱力学から統計力学へ |
巨視的な記述と微視的な記述の違いを,温度の異なる2つの系の接触を例にとって理解する.
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3週 |
ミクロカノニカルアンサンブルⅠ |
等重率とエントロピー,古典理想気体の状態方程式,2準位系について理解する.
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4週 |
ミクロカノニカルアンサンブルⅡ |
具体的な幾つかの例題を通して,ミクロカノニカルアンサンブルの特徴を詳しく理解する.
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5週 |
カノニカルアンサンブルⅠ |
熱溜に接した系,2準位系について理解する.
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6週 |
カノニカルアンサンブルⅡ |
分配関数と自由エネルギーについて理解する.
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7週 |
カノニカルアンサンブルⅢ |
古典理想気体,調和振動子(古典論,量子論)について理解する.
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8週 |
カノニカルアンサンブルⅣ |
エネルギーの揺らぎと比熱について理解する.
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4thQ |
9週 |
前半部分のまとめ |
統計力学の基礎法則について,具体的な課題を通して理解の定着を確認する.
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10週 |
カノニカルアンサンブルの応用 |
カノニカルアンサンブルの応用例として,固体‐気体の相平衡における昇華曲線について理解する.
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11週 |
グランドカノニカルアンサンブルⅠ |
大分配関数について理解する.
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12週 |
グランドカノニカルアンサンブルⅡ |
量子系の統計の特徴について理解する.具体的な幾つかの例題を通して,グランドカノニカルアンサンブルの特徴を詳しく理解する.
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13週 |
フェルミ粒子とボーズ粒子 |
同種粒子の識別不可能性やパウリの排他率など,量子力学的な粒子の持つ統計的性質について理解する.
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14週 |
フェルミ分布とその応用 |
フェルミ分布関数を導出し,物質の低温における電子状態の基本的な性質を理解する.
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15週 |
ボーズ分布とその応用 |
ボーズ分布関数を導出し,ボーズアインシュタイン凝縮や格子振動のデバイ模型について理解する.
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16週 |
期末試験とまとめ |
期末試験を実施し,講義全体の内容を整理する.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 50 | 50 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 50 | 50 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |