物理Ⅰ(2C)

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 物理Ⅰ(2C)
科目番号 0022 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 一般教科(自然科学系) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書: 高専テキストシリーズ「物理 上 力学・波動」 「物理 下 熱・電磁気・原子」森北出版  問題集: 高専テキストシリーズ「物理問題集」 森北出版   資料集: 「フォトサイエンス物理図録」 数研出版   冊子: 物理実験の手引き    その他: 自製の配布物
担当教員 金田 保則

到達目標

1. 変位, 速度, 加速度の定義が理解できる. 等加速度直線運動を表わす式や図を理解し, これらを用いた具体的な計算ができる.
2. 力と質量の意味を理解できる.運動の三法則を理解し, これらを用いて具体的な計算ができる.重力・万有引力・ばねの弾性力が理解できる.
3. 二物体間にはたらく力を理解し, 運動方程式をたてることができる.自由落下・鉛直投げ上げ・摩擦がはたらくときの運動が理解できる.
4. 力積, 運動量, さらに運動量保存則が理解できる. また, 力積や2物体の衝突による運動の変化について具体的な計算ができる.
5. 仕事の定義を理解し, 運動エネルギーと位置エネルギーの表式がわかる. さらに力学的エネルギー保存則を用いた具体的な計算ができる.
6. 二次元での各種の運動を図(ベクトル)と式を用いて理解し, 成分(方向)に分解することにより具体的な計算ができる.
7. 剛体の運動における力のモーメントについて理解し, 具体的な計算ができる.
8. 実験を通して物理現象を理解し, 考察する力を身につける.実験機器の使用法やレポートの作成方法を修得する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 等加速度直線運動等加速度直線運動を理解し説明ができる.この運動についての応用問題が解ける.等加速度直線運動を理解し説明ができる.この運動についての基本的問題が解ける.変位, 速度, 加速度, 等加速度直線運動を理解・説明できない.等加速度直線運動運動についての基本的問題が解けない.
2. 力と運動の三法則運動の三法則を理解し説明ができる.重力・万有引力・ばねの弾性力を理解し説明できる.これらについての応用問題が解ける.運動の三法則を理解し説明ができる.重力・万有引力・ばねの弾性力を理解し説明できる.これらについての基本問題が解ける.質量と重さの区別, 各種力が説明できない. 運動の三法則を理解できない. これらの基本問題が解けない.
3. 運動方程式とさまざまな力互いに拘束された2物体の運動方程式をたてることができる.さらに重力や摩擦力が関わる運動についての応用問題が解ける.互いに拘束された2物体の運動方程式をたてることができる.さらに重力や摩擦力が関わる運動についての基本問題が解ける.運動方程式をたてることができない.さらに重力や摩擦力が関わる運動についての基本問題が解けない.
4. 力積と運動量力積・運動量・運動量保存則について理解し説明ができる.これらについての応用問題が解ける.力積・運動量・運動量保存則について理解し説明ができる.これらについての基本問題が解ける.力積・運動量・運動量保存則について理解・説明ができない.これらについての基本問題が解けない.
5. 力学的エネルギー仕事と力学的エネルギー, さらにエネルギー保存則について理解し説明ができる.これらについての応用問題が解ける.仕事と力学的エネルギー, さらにエネルギー保存則について理解し説明ができる.これらについての基本問題が解ける.仕事と力学的エネルギー, さらにエネルギー保存則について理解・説明ができない.これらについての基本問題が解けない.
6. 平面・空間での運動2次元空間内での物体のいろいろな運動を理解し説明ができる.これらの運動についての応用問題が解ける.2次元空間内での物体のいろいろな運動を理解し説明ができる.これらの運動についての基本問題が解ける.2次元空間内での物体のいろいろな運動を理解・説明ができない.これらの運動についての基本問題が解けない.
7. 剛体にはたらく力力のモーメントを理解し説明ができる.これについての応用問題が解ける.力のモーメントを理解し説明ができる.これについての基本問題が解ける.力のモーメントを理解・説明ができない.これについての基本問題が解けない.
8. 物理実験実験を遂行できる.実験結果をふまえ, 手法・結果・考察・まとめが十分に記述された報告書が作成できる.実験を遂行できる.実験結果をふまえ, 最低限の手法・結果・考察・まとめが含まれた報告書が作成できる.実験が遂行できない. 報告書が作成できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では, 物理学の基本である, 質点系の力学を中心に学ぶ. 基本的な物理現象/法則を理解し, 基礎知識を修得するとともに, 自らの理工学分野に応用できる能力を養う.さらにその過程で, 自然現象を系統的・論理的に考えていく能力を養う.
授業の進め方・方法:
講義形式で行う. 後期には通常の講義に加え, 班編成で全四回の物理実験を行う.
本講義でとりあげる質点の力学は, 理工学分野の学問の基礎である. 自然現象の観察・観測から導かれた基本法則を理解し, 例題の解法から順序立てた考え方を学ぶ.
物理実験では、1.表面張力, 2.線膨張率, 3.固体の比熱, 4.熱の仕事当量, の四つの実験を行い, 成果品としての各テーマの実験報告書(レポート)を作成し提出する.
さらに基本問題・応用問題に取り組みながら, 基礎学力・問題解決能力を養う.
注意点:
【注意点】講義/試験/実験には関数電卓を使用する場合がある.
四回の到達度試験に加え, 後期中間試験前に試験(後期前半)を実施する. 試験結果が合格点に達しない場合は, 再試験を行うことがある.
適宜, 課題レポート/小テストを実施する. なお, 物理実験では全ての実験報告書の提出が必須である.
試験や小テストの結果のみならず, 課題レポート・実験報告書の提出がないと単位取得が困難となるので注意を要する.
物理Iではこれまで学習した数学の内容も利用するので, 適宜, 数学の自学自習による復習も要する.
【評価方法】合格点は 総合評価 において50点である.(100点満点) 前期中間の成績は到達度試験(前期中間)の得点とする. 前期末の成績は, 次の式で計算される得点とする: 到達度試験(前期中間, 前期末)結果の平均点×80% + 平素の成績(レポートなど)×20%. 後期中間の成績は試験(後期前半)と到達度試験(後期中間)結果の平均点とする. 学年末時点での総合評価は, 次の式で計算される得点とする: 総合評価=全到達度試験結果の平均(定期試験)×52% + 試験(後期前半)×13% + 物理実験(レポート)×12% + 平素の成績(レポートなど)×23%.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス
1 運動の表し方 (1) 速さ, 速度と変位
授業概要や受講上の注意点を理解する.
直線上を運動する物体の, 速さ・変位・速度を図式を用いながら理解できる.
2週 1 運動の表し方 (2) 平均と瞬間の速度, 加速度, (3) 等速直線運動, 等加速度直線運動 平均と瞬間の速度を理解し, 加速度の定義が理解できる.
直線上を 一定の速度/加速度 で運動する物体の性質が理解できる.
3週 1 運動の表し方 (3) 等速直線運動, 等加速度直線運動(つづき) 直線上を 一定の速度/加速度 で運動する物体の性質が理解できる.
4週 2 力と運動の法則 (1) 力, (2) 質量 物理で扱う力の定義と単位, また合力などの基礎事項が理解できる.
場所に依存しない物体に固有な質量の基礎概念が理解できる.
5週 2 力と運動の法則 (3) 運動の三つの法則(慣性, 運動方程式, 作用・反作用) 運動の三つの法則が理解できる.
6週 2 力と運動の法則 (4) 重力と万有引力, (5) ばねの力 重力と万有引力の基礎事項が理解できる。ばねの伸縮によって生じる弾性力の基礎事項が理解できる.
7週 到達度試験(前期中間) これまでに学習した内容の理解度を試験により確認する.
8週 試験の解説と解答
2 力と運動の法則 (6) 垂直抗力と摩擦力
到達度試験の解説と解答.
床上にある物体にはたらく, 垂直抗力と静止および動摩擦力が理解できる.
2ndQ
9週 3 いろいろな運動 (1) 2物体の運動 二つの物体が一体となり動く運動とこの二物体間に働く力が理解できる.
10週 3 いろいろな運動 (2) 自由落下, 鉛直投げ上げ 重力を受け 落下/真上に投げ上げられた 物体の運動が理解できる.
11週 3 いろいろな運動 (3) 摩擦力がはたらく運動 静止摩擦力や動摩擦力がはたらく物体の運動が理解できる.
12週 4 力積と運動量 (1) 力積, (2) 運動量 力積の定義を学び, 力積が物体の運動を変化させることを理解できる.
運動量の定義を学び, 運動する物体が運動量を持つことが理解できる.
13週 4 力積と 運動量 (3) 力積と運動量の変化, (4) 運動量保存の法則 物体に力積を加えることにより運動量が変化することを理解できる.
物体の衝突の前後で, 全運動量は保存されていることが理解できる.
14週 4 力積と運動量 (4) 運動量保存の法則(つづき), (5) 反発係数 物体の衝突の前後で, 全運動量は保存されていることが理解できる.
反発係数の定義を学び, 衝突による速度変化の現象を理解できる.
15週 到達度試験(前期末) これまでに学習した内容の理解度を試験により確認する.
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答.
後期
3rdQ
1週 5 力学的エネルギー (1) 仕事, (2) 仕事とエネルギー (3) 運動エネルギー, (4) 位置エネルギー 仕事と仕事率の意味・定義が理解できる.
エネルギーが仕事をする能力であることが理解できる.
運動エネルギーの意味と定義が理解できる.
重力による位置エネルギー・弾性エネルギーが理解できる.
2週 5 力学的エネルギー (4) 位置エネルギー(つづき), (5) 力学的エネルギーの保存 重力による位置エネルギー・弾性エネルギーが理解できる.
(孤立系での)エネルギーの総和が常に保存されることが理解できる.
3週 6 平面・空間での運動 (1) 運動方程式の表し方, (2) 力の表し方とベクトルの性質, 力の合成・分解 二次元平面上の運動方程式が, ベクトルで表現できることがわかる.
力がベクトルで表され, 合力がベクトルの合成/分解として理解できる.
4週 6 平面・空間での運動 (2) 力の表し方とベクトルの性質, 力の合成・分解 (つづき)
試験(後期前半)
力がベクトルで表され, 合力がベクトルの合成/分解として理解できる.
これまでに学習した内容の理解度を試験により確認する.
5週 試験の解説と解答
6 平面・空間での運動 (3) 速度の合成, (4) 相対速度, (5) 平面における運動量保存の法則
試験(後期前半)の解説と解答.
速度の合成の意味を理解し, 速度ベクトルの和で表されることがわかる.
相対速度の意味を理解し, 速度ベクトルの差で表わされることがわかる.
2次元空間における運動量ベクトル・運動量保存則が理解できる.
6週 6 平面・空間での運動 (6) 仕事の原理, (7) 水平方向に投げ出した運動, 斜めに投げ上げた運動 理想的な状況では, 仕事は道筋によらないことが理解できる.
水平投射・斜方投射された物体の運動が理解できる.
7週 6 平面・空間での運動 (7) 水平方向に投げ出した運動, 斜めに投げ上げた運動(つづき), (8) 斜面上にある物体の運動 水平投射・斜方投射された物体の運動が理解できる.
斜面上にある物体の摩擦を含めた運動が理解できる.
8週 到達度試験(後期中間) これまでに学習した内容の理解度を試験により確認する.
4thQ
9週 試験の解説と解答
6 平面・空間での運動 (9) 等速円運動
到達度試験の解説と解答.
等速円運動が理解できる.
10週 6 平面・空間での運動 (9) 等速円運動(つづき)
物理実験ガイダンス
等速円運動が理解できる.
実験を行うにあたっての注意事項, 各実験項目の原理を理解できる.
11週 6 平面・空間での運動 (10) 惑星の運動(ケプラーの法則)
物理実験(第1回)
ケプラーの法則を理解し, 惑星の運動の基本的性質が理解できる.
実験を行い, 成果品としての各テーマの実験報告書を作成する.
12週 6 平面・空間での運動 (11) 単振動
物理実験(第2回)
振動現象の基本となる単振動の変位, 速度, 加速度が理解できる.
実験を行い, 成果品としての各テーマの実験報告書を作成する.
13週 6 平面・空間での運動 (11) 単振動(つづき)
物理実験(第3回)
振動現象の基本となる単振動の変位, 速度, 加速度が理解できる.
実験を行い, 成果品としての各テーマの実験報告書を作成する.
14週 6 平面・空間での運動 (12) 単振り子, (13) 慣性力
物理実験(第4回)
単振り子の周期, 振り子の等時性がわかる.
加速している観測者が受ける見かけ上の力を理解できる.
実験を行い, 成果品としての各テーマの実験報告書を作成する.
15週 7 剛体や流体にはたらく力 (1) 力のモーメント:剛体にはたらく力 力のモーメントが剛体を回転させる作用であることを理解できる.
16週 到達度試験(後期末) これまでに学習した内容の理解度を試験により確認する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2前1,前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2後5
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2前3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2後3,後5
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2前10
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2後6,後7
物体に作用する力を図示することができる。2前4,後3,後4
力の合成と分解をすることができる。2前4,後3,後4
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2前6,前9
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2前6
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2前4,後3,後4
慣性の法則について説明できる。2前5
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2前5,前9
運動方程式を用いた計算ができる。2前9
運動の法則について説明できる。2前5
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2前8,前11
最大摩擦力に関する計算ができる。2前8,前11,後4
動摩擦力に関する計算ができる。2前8,前11,後4
仕事と仕事率に関する計算ができる。2後1,後6
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2後1
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後1,後2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後1,後2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2後2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2前12
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2前12,前13
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2前13,前14,後5
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2後12,後13,後14
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2後12,後13,後14
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2後9,後10,後11
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2前6,後11
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後2
力のモーメントを求めることができる。2後15
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。2後15
重心に関する計算ができる。2後15
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。2後10,後11,後12,後13,後14
安全を確保して、実験を行うことができる。2後10,後11,後12,後13,後14
実験報告書を決められた形式で作成できる。2後11,後12,後13,後14
有効数字を考慮して、データを集計することができる。2後11,後12,後13,後14
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2後11,後12,後13,後14
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2後11,後12,後13,後14

評価割合

定期試験試験(後期前半)物理実験(実験レポート)小テストレポートその他合計
総合評価割合52131213100100
基礎的能力401010108078
専門的能力123232022
分野横断的能力0000000