物理Ⅲ(3B)

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理Ⅲ(3B)
科目番号 0056 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 一般教科(自然科学系) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 「力学II」大日本図書,高専テキストシリーズ「物理 上 力学・波動」 「物理 下 熱・電磁気・原子」森北出版,問題集:「高専の物理問題集」, 高専テキストシリーズ「物理問題集」 森北出版,資料集: 「フォトサイエンス物理図録」 数研出版,その他: 自製の配布プリント
担当教員 上田 学

到達目標

1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学を理解し,運動方程式からさまざまな現実の運動を数学的に表すことができる. これに関する基本問題や応用問題を解くことができる.
2. 静電場を中心とした電磁気学の基礎を理解し,静電気力,電界とガウスの法則,電位,コンデンサーなどの概念を説明できる.これらに関する基本問題や応用問題を解くことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学: (1) 位置,変位,速度,加速度位置,変位,速度,加速度の相互関係を,微分積分を用いた形で理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.位置,変位,速度,加速度の相互関係を,微分積分を用いた形で理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.位置,変位,速度,加速度の相互関係を,微分積分を用いた形で理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学: (2) 運動の三法則,微分方程式としての運動方程式運動の三法則を理解でき,運動方程式が微分方程式として表わされることを理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.運動の三法則を理解でき,運動方程式が微分方程式として表わされることを理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.運動の三法則を理解できない.運動方程式が微分方程式として表わされることを理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学: (3) 回転に関するいろいろな物理量角速度,角運動量,力のモーメントなどを理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.角速度,角運動量,力のモーメントなどを理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.角速度,角運動量,力のモーメントなどを理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
1.微分積分とベクトルを用いた質点の力学: (4) 回転に関する運動方程式と角運動量保存則角運動量に対する運動方程式,角運動量保存則を理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.角運動量に対する運動方程式,角運動量保存則を理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.角運動量に対する運動方程式,角運動量保存則を理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
2. 電磁気学の基礎(静電場): (1) 静電気力帯電,電荷保存の法則と静電気力,クーロンの法則が理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.帯電,電荷保存の法則と静電気力,クーロンの法則が理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.帯電,電荷保存の法則と静電気力,クーロンの法則が理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
2. 電磁気学の基礎(静電場): (2) 電界とガウスの法則電界,電気力線,ガウスの法則を理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.電界,電気力線,ガウスの法則を理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.電界,電気力線,ガウスの法則を理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
2. 電磁気学の基礎(静電場): (3) 電位電位,電位差,等電位面,静電誘導,静電遮蔽が理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.電位,電位差,等電位面,静電誘導,静電遮蔽が理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.電位,電位差,等電位面,静電誘導,静電遮蔽が理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.
2. 電磁気学の基礎(静電場): (4) コンデンサーコンデンサー,電気容量,誘電体,誘電分極,合成容量,静電エネルギーが理解できる.これらに関する基本問題と応用問題を解くことができる.コンデンサー,電気容量,誘電体,誘電分極,合成容量,静電エネルギーが理解できる.これらに関する基本問題を解くことができる.コンデンサー,電気容量,誘電体,誘電分極,合成容量,静電エネルギーが理解できない.これらに関する基本問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

(B)工学基礎知識の習得 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義の前半では,微分積分とベクトルを用いた質点の力学について学ぶ.これまで物理Iで学習してきた運動方程式が数学的には微分方程式として表現され,これを解くことによって物体の運動の時間変化が得られることを学ぶ.さらに,回転に関する運動方程式についても学び,角運動量の概念についても学ぶ.後半では,静電場を中心とした電磁気学の基礎について学ぶ.いずれの分野においても,基本問題・応用問題に取り組みながら,基礎学力・問題解決能力を養う.
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行う.また,小テストの実施やレポート課題を課す場合がある.
講義/試験には関数電卓を使用する場合がある.
注意点:
【注意点】 二回の到達度試験の実施とともに,適宜,課題レポート/小テストを課する.試験結果が合格点に達しない場合は,再到達度試験を行う場合がある.
試験や小テストの結果のみならず, 課題レポートの提出がないと単位取得が困難となる場合があるので注意を要する.
物理IIIではこれまで物理I, 物理II, 数学などで学習した内容を利用するので,適宜,これら科目の自学自習による復習も要する.
【評価方法】合格点は 総合評価 において50点である.(100点満点) 
後期中間の成績は到達度試験 (後期中間) の得点とする.
後期末における総合評価の成績は,次の式で計算される得点とする.
総合評価 = 到達度試験 (後期中間, 後期末) 結果の平均点× 75% + 平素の成績 (レポートなど) × 25%.
なお,CBT試験(物理) の結果も平素の成績として考慮する場合がある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス
1. 質点の力学:位置・速度・加速度、平面運動
授業の進め方と評価の仕方について説明する.
ベクトルで表わされた位置,変位,速度,加速度の相互関係を,微分積分を用いた形で理解できる.
2週 1. 質点の力学:運動の三法則、運動方程式とその適用例(1) 運動の三法則を理解できる.
運動方程式が微分方程式として表わされることを理解し,一定の外力がはたらいている場合の運動方程式を解くことができる.
3週 1. 質点の力学:運動方程式とその適用例(2) 空気抵抗がある場合の自由落下・鉛直投げ上げ等の場合の運動方程式を書き表し、与えられた条件を満たす解を求めることができる.
4週 1. 質点の力学:運動方程式とその適用例(3) 弾性力がはたらく場合の運動方程式を書き表し、与えられた条件を満たす解(単振動)を求めることができる.
5週 1. 質点の力学:回転に関するいろいろな物理量 角速度,角運動量,力のモーメントなどを理解できる.与えられた条件の下でこれらの物理量を計算して求めることができる。
6週 1. 質点の力学:回転に関する運動方程式、角運動量保存則 角運動量に対する運動方程式,角運動量保存則を理解し,これらを具体的な問題に適用し解くことができる.
7週 到達度試験(後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する.
8週 試験の解説と解答
2. 電磁気学:静電気力(帯電,クーロンの法則)
到達度試験の解説と解答
帯電,クーロンの法則を理解し,具体的な問題が解ける.
4thQ
9週 2. 電磁気学:静電気力(重ね合わせの原理)、電界とガウスの法則(電界,電気力線) 重ね合わせの原理を用いながら複数の点電荷からはたらくクーロン力を求めることができる.電界の概念を理解し,重ね合わせの原理を用いて点電荷の作る電界が計算できる.
点電荷が作る電気力線の性質を理解し,作図ができる.
10週 2. 電磁気学:電界とガウスの法則(ガウスの法則) ガウスの法則を理解し,簡単な場合についてこれを適用して,電界を求めることができる.
11週 2. 電磁気学:電位(電位と電位差) 電位,電位差の概念を理解し,電界の中を移動する電荷に及ぼす仕事を求めることができる.複数の点電荷から生ずる空間内の電位を重ね合わせの原理を用いながら求めることができる.
12週 2. 電磁気学:電位(等電位面,導体と静電誘導,静電遮蔽) 等電位面の概念を理解し,ある断面における等電位線を作図できる.導体と静電誘導、静電遮蔽について説明できる.
13週 2. 電磁気学:コンデンサー(コンデンサーと電気容量,誘電体と誘電分極) コンデンサーと電気容量にまつわる物理量を理解し,簡単な例でのコンデンサーの電気容量を求めることができる.
誘電体と誘電分極を理解し,誘電体の誘電率とコンデンサーの容量の関係を具体的な例に適用できる.
14週 2. 電磁気学:コンデンサー(コンデンサーの接続,コンデンサーのエネルギー) 複数のコンデンサーが接続された場合の合成容量が計算できる.
コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーを求めることができる.
15週 到達度試験(後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する.
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物理速度と加速度の概念を説明できる。2後1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2後1
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2後1
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2後1
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2後1,後3,後4,後11
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2後1
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2後1
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2後1
物体に作用する力を図示することができる。2後2
力の合成と分解をすることができる。2後2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2後2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2後2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2後2
慣性の法則について説明できる。2後2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2後2
運動方程式を用いた計算ができる。2後2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2後2,後3,後4,後12
運動の法則について説明できる。2後2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2後2
最大摩擦力に関する計算ができる。2後2
動摩擦力に関する計算ができる。2後2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2後2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2後2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2後2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2後2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2後2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2後2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2後2,後4,後5
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2後2,後4,後5
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2後2,後4,後5
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.2後2
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。2後2
力のモーメントを求めることができる。2後5,後6
角運動量を求めることができる。2後5,後6
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2後5,後6
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。2後12
電場・電位について説明できる。2後8,後9,後10,後11,後12
クーロンの法則が説明できる。2後8,後9
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2後8,後9

評価割合

定期試験レポート/小テストその他合計
総合評価割合75250100
基礎的能力6520085
専門的能力0000
分野横断的能力105015