物理Ⅲ(3B)

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 物理Ⅲ(3B)
科目番号 0065 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 一般教科(自然科学系) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 「力学II」大日本図書,高専テキストシリーズ「物理 上 力学・波動」 「物理 下 熱・電磁気・原子」森北出版,問題集:「高専の物理問題集」, 高専テキストシリーズ「物理問題集」 森北出版,資料集: 「フォトサイエンス物理図録」 数研出版,その他: 自製の配布プリント
担当教員 金田 保則

到達目標

1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学を理解し,運動方程式からさまざまな現実の運動を数学的に表すことができる. これに関する基本問題や応用問題を解くことができる.
2. 静電場を中心とした電磁気学の基礎を理解し,静電気力,電解とガウスの法則,電位,コンデンサーなどの概念を説明できる.これらに関する基本問題や応用問題を解くことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
1. 微分積分とベクトルを用いた質点の力学微分積分とベクトルを用いた質点の力学が理解でき,これに関する基本問題と応用問題を解くことができる.微分積分とベクトルを用いた質点の力学が理解でき,これに関する基本問題を解くことができる.微分積分とベクトルを用いた質点の力学が理解できない.これに関する基本問題を解くことができない.
2. 電磁気学の基礎(静電場)静電場を中心とした電磁気学の基礎を理解し,これに関する基本問題と応用問題を解くことができる.静電場を中心とした電磁気学の基礎を理解し,これに関する基本問題を解くことができる.静電場を中心とした電磁気学の基礎が理解できない.これに関する基本問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義の前半では,「微分積分とベクトルを用いた質点の力学」について学ぶ.これまで物理Iで学習してきた運動方程式が,数学的には微分方程式として表現され,これを解くことによって物体の運動の時間変化が得られることを学ぶ.さらに,回転に関する運動方程式についても学び,角運動量・慣性モーメントの概念についても学ぶ.
後半では,静電場を中心とした電磁気学の基礎について学ぶ.
いずれの分野においても,基本問題・応用問題に取り組みながら,基礎学力・問題解決能力を養う.
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行う.また,小テストの実施やレポート課題を課す場合がある.
講義/試験には関数電卓を使用する場合がある.
注意点:
【注意点】 二回の到達度試験の実施とともに,適宜,課題レポート/小テストを課する.試験結果が合格点に達しない場合は,再到達度試験を行う場合がある.
試験や小テストの結果のみならず, 課題レポートの提出がないと単位取得が困難となる場合があるので注意を要する.
物理IIIではこれまで物理I, (物理II,) 数学などで学習した内容を利用するので,適宜,これら科目の自学自習による復習も要する.
【評価方法】合格点は 総合評価 において50点である.(100点満点) 後期中間の成績は到達度試験(後期中間)の得点とする.後期末における総合評価の成績は,次の式で計算される得点とする.
総合評価 = 到達度試験 (後期中間, 後期末) 結果の平均点× 75% + 平素の成績 (レポートなど) × 25%.
なお,CBT試験(物理) の結果も平素の成績にて考慮する場合がある.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス
1. 質点の力学:位置・速度・加速度、平面運動
授業の進め方と評価の仕方について説明する.
位置・速度・加速度の相互関係を微分積分を用いた形で理解できる.
直交座標・極座標でのベクトル表記による速度・加速度を理解できる.
2週 1. 質点の力学:運動の三法則、運動方程式とその適用例(1) 運動の三法則を理解できる.
運動方程式が微分方程式として表わされることを理解し,一定の外力がはたらいている場合の運動方程式を解くことができる.
3週 1. 質点の力学:運動方程式とその適用例(2) 空気抵抗がある場合の自由落下,(抵抗力がなく)弾性力がはたらく場合,それぞれの運動方程式をたてそれらを解くことができる.
4週 1. 質点の力学:運動方程式とその適用例(3) 複数の物体が関与する場合や向心力がはたらく場合についての運動方程式をたてそれらを解くことができる.
5週 1. 質点の力学:回転に関する運動方程式 角運動量を理解し,角運動量に対する運動方程式をたてることができる.力のモーメント,角運動量保存則,慣性モーメントを理解し,基本的な問題に適用できる.
6週 1. 質点の力学:座標変換と慣性力 慣性系を理解できる.並進方向に加速している座標系での慣性力,回転運動している座標系でのコリオリの力が理解できる.
7週 到達度試験(後期中間) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する.
8週 試験の解説と解答
2. 電磁気学:静電気力
到達度試験の解説と解答
帯電,クーロンの法則,重ね合わせの原理を理解し,基本的な問題が解ける.
4thQ
9週 2. 電磁気学:電界とガウスの法則(電界,電気力線) 電界の概念を理解し,重ね合わせの原理を用いながら点電荷の作る電界が計算できる.点電荷が作る電気力線の性質を理解し,作図ができる.
10週 2. 電磁気学:電界とガウスの法則(ガウスの法則) ガウスの法則を理解し,簡単な場合についてこれを適用して,電界を求めることができる.
11週 2. 電磁気学:電位(電位と電位差) 電位・電位差の概念を理解し,重ね合わせの原理を用いながら電界の中を移動する電荷に及ぼす仕事を求めることができる.複数の点電荷から生ずる空間内の電位を求めることができる.
12週 2. 電磁気学:電位(等電位面,導体と静電誘導,静電遮蔽) 等電位面の概念を理解し,ある断面における等電位線を作図できる.導体と静電誘導、静電遮蔽について説明できる.
13週 2. 電磁気学:コンデンサー(コンデンサーと電気容量,誘電体と誘電分極) コンデンサーと電気容量にまつわる物理量を理解し,簡単な例でのコンデンサーの電気容量を求めることができる.誘電体と誘電分極を理解し,誘電体の誘電率とコンデンサーの容量の関係を具体的な例に適用できる.
14週 2. 電磁気学:コンデンサー(コンデンサーの接続,コンデンサーのエネルギー) 複数のコンデンサーが接続された場合の合成容量が計算できる.コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーを求めることができる.
15週 到達度試験(後期末) 上記項目について学習した内容の理解度を授業の中で確認する.
16週 試験の解説と解答 到達度試験の解説と解答、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2後11
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2
運動方程式を用いた計算ができる。2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。2後12
運動の法則について説明できる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
力のモーメントを求めることができる。2
角運動量を求めることができる。2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。2
電場・電位について説明できる。2
クーロンの法則が説明できる。2
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2

評価割合

定期試験レポート/小テストその他合計
総合評価割合75250100
基礎的能力6520085
専門的能力0000
分野横断的能力105015